Adobe Expressで作成の自己PRコンテンツを推奨する採用企業は約76%
生成AIでスーツ姿へ クリエイティブな就活を実現する「Adobe Business Hack」
2024年03月18日 15時30分更新
アドビは、2024年3月13日、Adobe製品を活用するビジネススキル「Adobe Business Hack」に関する記者説明会を開催。ビジネスマンだけでなく就活生も知っておくべきAdobe AcrobatやAdobe Expressの活用法や就活サイト「ワンキャリア」との取り組みを紹介するほか、就活生がAdobe Expressでエントリーシートを作成するワークショップも開かれた。
アドビツールをビジネス活用するヒントとは?
まずは、アドビ マーケティング本部の岩本崇氏が登壇。無料で利用できるアドビ製品を利用したビジネスハックが、デモを交えて紹介された。
まずは、「Adobe Scanアプリ」。同アプリでパンフレットを撮影すると、アプリが自動で整形して、写真をドキュメントとして取り込んでくれる。同時にOCR処理も行なわれ、文字列のコピーや検索ができるようになる。文書内のキーワードを検索したり、URLをコピーしてブラウザでアクセスすることも可能だ。
スキャンしたデータはAcrobatからアクセスできる。Acrobatの無料版では、「編集」や「圧縮」などの機能は利用できないが、「共有」機能は利用可能だ。
「PDFファイルはクラウド上にアップされているので、ここからレビューしてい欲しい人をスマホで招待できます。注釈を許可していれば、無料のツールでレビュープロセスを進められる。メールにPDFを添付すると、重たかったり、受信ができないことがあります。無料でもかなり大きなストレージを用意しているので、もう利用するしかないかなと」(岩本氏)
また、「Adobe Fonts」も無料で利用でき、さまざまなフォントを活用して表現力を上げれれる。Adobe Fontsは、Adobeアプリ以外にもMicrosoft 365といったアプリでも利用できるのもポイントだ。
オンラインの写真・デザインツール「Adobe Express」も無料プランを用意しており、豊富な機能やテンプレートを利用できる。「よく伝わる企画書や、広告のコンテンツバナーの作成など、ビジュアルを内製するスキルを持っていると、差を付けられます」(岩本氏)
Adobe Expressのデモではプロクオリティの複数ページテンプレートをカスタマイズしたり、生成AI機能で猫の画像を出力し、手軽にビジュアルコンテンツが作成できることをアピールしていた。
新卒採用プロセスでは、デジタルコンテンツを用いた自己PRが拡がる
続いて、アドビ 教育事業本部 小池晴子氏により、新卒採用の選考プロセスにおける業務課題と学生理解の実態調査が発表された。2024年2月26日から3月1日に、2023年から2026年卒の新卒採用を行なった企業の人事・採用担当者165名にウェブアンケートを実施したものだ。
履歴書・エントリーシートは、基本的な採用活動だが、採用担当が内容に目を通すのに時間が要するという課題がある。加えて、学生の個性や持っているスキルの程度が、これらからは読み取り辛い。そのため、回答した企業のうち4割は、学生の個性や経験、スキル理解のために施策を行っている。適性検査が一番実施されている施策で“18.8%”、続いてポートフォリオやプレゼンスライド、自己PRビデオ、ブログなどのデジタルコンテンツの提出といった項目が並んだ。
「適正検査は言語および数理領域の調査なため、個性が分かるかが難しい。そこでプレゼンテーションスライドであるとか自己PRビデオなど、いろいろな形で学生さんの個性や経験を早く把握しようと、試行錯誤されている様子が見受けられます」と小池氏は語る。
さらに調査では、Adobe Expressで作成した自己PRのウェブページを見てもらい、学生がエントリーシートの自己PRの欄にリンクを付けてきたらどう思うか?という設問も用意した。
その結果、「推奨する」と「ある程度は推奨する」が“計76.4%”に。属性を見ると、IT業界よりも製造業の方が推奨する割合が多かった。企業サイズでは、従業員数が300人未満もしくは1000人以上が推奨する傾向にあり、300人以上1000人未満の企業は少し推奨率が落ちていた。
「これは絵空事ではなく、Adobeの採用活動でも、履歴書とあわせて、Adobe Expressで自己PRコンテンツを作ってもらっています。履歴書を見る前に自己PRを見ると、個性や人となりが際立ちます。日本の新卒採用あるいは採用全般をもっとクリエイティブなものにしていきたい」(小池氏)
アドビとワンキャリアが就活・キャリア支援で協業
あわせてアドビは、就活サイト「ONE CAREER」を運営するワンキャリアと、クリエイティブな就職活動やキャリア支援で協業を発表している。ONE CAREERは、1年を通じてもっとも利用した就職サイトという調査で、第2位となっており、就活生の約3人に2人のキャリア選択を支援しているという。
「われわれは新卒採用をハックしたり、新卒採用のマーケットでプレゼンスを拡大することにとどまらず、ひとりひとりのキャリアをいかに支援できるかというミッションで日々活動しています」とワンキャリアのマーケティング事業部である厚地峻一氏。
厚地氏は、直近の新卒採用市場における変化として、押さえるべきポイントが3つあるという。一つ目が、約3割の学生が転職を前提に就職活動を行なっている点。スキルを前提にキャリアを主体的に築く流れが顕著になってきている。
二つ目は、学生がもっとも重視しているのは給料という点。次いで「なりたい職種」「自己成長できる環境」が続く。企業軸の選択肢は低下傾向になっており、より個人としてキャリアを形成していくかが今の就活マーケットにおける関心事となっている。
三つ目が採用手法の多様化。インターンシップの多様化やジョブ型採用・職種別採用への移行が進んでる上に、これまでの本選考の一括採用という「一つの大きな入り口」から、選考が多様化してきている。
「今回、アドビ様との連携によって、特にクリエイティブスキルの向上による就職就活やキャリアの成功を目指していきます。ビジネスシーンで広く使えるアドビツールのスキルが、就職活動やキャリア形成にいかに有用なのかを学生に認知してもらうような動画を一緒に作成。ワンキャリア限定で、すべての学生に公開しました。今後、クリエイティブスキルの獲得を支援するイベントも開催したいと思っています。われわれは学生さんのために、日本のHRマーケットがより多様性に溢れ、より輝くよう取り組んでいきたい」(厚地氏)
20人の学生がAdobe Expressでエントリーシートを作成
記者説明会の終了後、「Adobe Expressを使った学生向けワークショップ」も開催された。講師はイラストレーター/キャラクターデザイナーの北沢直樹氏が務めた。
約20人の学生が参加し、北沢氏のアドバイスに従いながら、Adobe Expressを操作し、実際にエントリーシートを作成。テンプレートを利用しながらも、自分の写真をはめ込み、複数ページのエントリーシートを作りこんでいた。生成AI機能も利用し、カジュアルな服装をスーツ姿に変身させる作業では、想定外の姿になった学生たちから笑いが漏れた。
ゆっくり作業しつつも、たった30分で、“いい感じ”のエントリーシートが完成。3ページに渡って、写真やテキストがまとめられていた。共有方法もレクチャーされていたので、参加した学生たちは今後の就職活動で“Adobe Express”することだろう。