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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第29回

『ワイド新版 思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)を読む

『思考の整理学』売れ続ける理由

2024年03月14日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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情報社会に溺れない方法

 外山さんはここで、テレビ、新聞、インターネットなどを通じておびただしい情報が流入してくる現代社会の問題点を指摘している。これだけ情報量が増えると、レム睡眠による自然の忘却だけでは、完全に頭が整理されないのではないかと。

 また、そうなると朝にすっきり目覚められなくなっても当然かもしれない。

 もともと“ものを考える”のは朝が最適である。朝、目を覚まして起き上がるまでの何分か。できれば十分から二十分ぐらいのあいだにものを考える。充分に目が覚めなくてもいい。ぼんやりした頭で天井を眺めているときがベストタイムである。中国では「枕の上」と書いて枕上(ちんじょう)の時間と呼ぶ。このとき、ふっと出てくる考えが前日の情報ではなく、何日か前のものが突然出てくるということがある。これこそが忘却がうまく進んだ頭で生まれるクリエイティブな思考である。(259ページより)

 共感できる方も多いのではないだろうか? たしかに目が覚めたばかりの時間は、いろいろなことを考えられるものだ。前の晩に悩んでいたことに対する答えが、自然に頭に浮かぶことも少なくない。つまりはそれだけ、朝は重要なのだ。

 夜の睡眠だけで充分な忘却ができなければ、散歩をすることを勧める。歩くことで血の巡りがよくなり、散歩のあいだは、ほかのことができないのでぼーっとすることができる。(259ページより)

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