富士フイルムが「X100Ⅵ」を発表した。クラシカルなデザインに、EVFと光学ファインダーを切り換えられる「アドバンスト・ハイブリッド・ビューファインダー」を搭載したAPS-Cレンズ一体型デジカメ「X100」シリーズの最新モデルだ。
前モデルに比べて2倍の解像度4020万画素の撮像素子を搭載し、シリーズ初の手ブレ補正も内蔵した。富士フイルムから試用機を借りたので、実際に写真を撮ったレビューをしていく。
EVF+光学のファインダーに
ダイヤル操作が楽しい
往年のレンジファインダーのような角型のデザインに、絞りリングやダイヤルのアナログな操作感は古くからのカメラ好きにはたまらない。シャッタースピードダイヤルの小窓に配置されたISO感度ダイヤルもマニア心をくすぐる。
グリップは小振りだがレンズを含めたボディー自体がコンパクトなので長時間撮り歩いても苦にならない。
絞りリングは1/3EV刻みでクリックできる。シャッタースピードダイヤルは1EV刻みだが、コマンドダイヤルを併用することで1/3EVでの設定が可能。シャッタースピードダイヤルを「T」に、ISO感度と露出補正のダイヤルは「C」のポジションにすると通常のデジカメのように前後のコマンドダイヤルだけで操作もできる。とはいえアナログダイヤルの感触を楽しみながら撮影するのが粋というものだろう。
シャッターボタンも昔ながらの形状で、半押しは適度なストロークがあり、そこから押し込むと軽いタッチでシャッターが切れて快適だ。またレリーズ穴でちゃんと汎用のケーブルレリーズが使用できるのもさすがの作りである。
背面はボタン整然と並ぶシンプルな配置。十字キーも兼ねる「フォーカスレバー」は小さいわりに指掛かりがよくスムーズに操作することができる。
背面の162万ドット液晶ディスプレーは上方90度下方45度のチルト式。収納時は背面がフラットになるあたりにはデザインへのこだわりが感じられる。撮影時や再生時はタッチ操作が可能だが、メニュー画面でのタッチ操作には非対応だ。
ファインダーは前面のレバーを操作することで369万ドットEVFと光学式が切り替えられる。また光学式のときにはファインダー右下の測距点部の拡大画像の表示も可能だ(エレクトロニック・レンジファインダー、略すとERF)。
精細感や利便性などの面ではEVFのほうが優れているといえるが、光学ファインダーを通して肉眼で覗く景色のほうが自然で、どこか安心した気持ちになるから不思議だ。撮影スタイルやその日の気分によって使い分けながら写真を楽しめるのもハイブリッドファインダーならではである。
バッテリーの公称撮影可能枚数はノーマルモードEVFで 約310枚、光学ファインダーなら約450枚とある。実際にEVFと光学ファインダーを切り換えながら撮り歩いてみたが、RAW+JPEGで300カット撮影した時点でバッテリー残量メモリが残り一つだった。
メディアはSDのシングルスロットでUHS-Ⅱには非対応。とはいえ大量に連写撮影をする性格のカメラではないので特に問題はないだろう。
4020万画素になって精細感向上
シリーズ初の手ブレ補正機構搭載
撮像素子は前モデル「X100Ⅴ」(2020年発売)の2620万画素から4020万画素と大幅に高解像度化された。おそらく2022年に発売されたミラーレス機「X-H2」や「X-T5」と同じ撮像素子だろう。高解像度化ではレンズ性能が追い付くかという心配もあり、実際「X-H2」と「X-T5」では推奨レンズを公表していた。
レンズのスペックは初代「X100」(2011年発売)から焦点距離23㎜(35mm換算35mm相当)開放絞りF2と変わらないが、実は前モデル「X100Ⅴ」から将来の高画素化にも対応する新設計のレンズが搭載されている。
そのおかげもあり、撮影した写真を見ると開放絞りでの光量低下や像の乱れ、最小絞りでの回折現象もほとんど気にならない。ピント部を拡大して見ると4020万画素の解像力を存分に引き出しているのがわかる。
。高感度は常用でISO12800、拡張でISO51200まで設定が可能。ISO6400程度までは解像感低下もわずかで、常用最高のISO12800でも実用的なレベルだ。拡張感度になると解像感低下が目立つが、そんなときはRAWからAIノイズ処理で現像するのが今時の対処法だ。
X100シリーズとして初のボディー内手ブレ補正を搭載した。効果は約6段分で実際に試しみると、しっかり構えれば1/2秒程度までは比較的ブレを防止できた。スナップでとっさに撮影するようなシーンではさすがにブレやすいが、従来モデルと大差ないサイズのボディーで手ブレ補正を実現したのはお見事である。
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