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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第27回

『毒母は連鎖する 子どもを「所有物扱い」する母親たち』(旦木瑞穂 著、光文社新書)を読む

親から受けた“毒”を子どもに与えないために

2024年02月29日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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親と子が共依存関係に陥ってしまう

 この考え方を裏づけるかのように、本書にはさまざまな毒親が登場する。その多くは親から受けたトラウマを抱えており、それが自己肯定感の低さや人間的な未熟さ、その他、さまざまなコンプレックスとなって表れている。つまりはこの時点ですでに毒が引き継がれているわけだが、こうして誕生した新たな毒親は、その毒を自分の子へと“与えて”いく。

 必ず連鎖すると断定することはできないとはいえ、そうなる可能性が非常に多いのである。そのため本書で明らかにされている事実の多くは、率直に表現すれば「キツい」。なぜ子どもに対してそこまでひどいことをするのかと読んでいてつらくなってくるほどなのだが、そもそも毒親には自覚がないのだ。

 毒親の多くは子どもに対し、心から謝ることができない。なぜならそれは、子どもを自分の所有物だと思っているからだ。所有物だから、「子どもになんか謝る必要はない」という驕りと、「子どもだから謝らなくても許してくれるはずだ」という甘えが共存している。(169ページより)

 しかも、毒親に育てられた子どものなかからは多くの場合、大切なことが欠落してしまう。

 毒親育ちの子どもの多くが、大人になるまで自分の親が毒親とは気付かず、親に認められたいあまりに、いつまでも毒親から離れられない。離れられないから、苦しめられ続ける。(112ページより)

 つまりはこうして、親と子が共依存関係に陥ってしまうわけである。それは多くの毒親とその子との関係にあてはまることであるようだ。

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