メルマガはこちらから

PAGE
TOP

都市デジタルツインで地域はどう変わる?仙台市民が考えた街を楽しむ新たなアイデア

「PLATEAU IDEA PITCH SENDAI 2023」開催レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

提供: PLATEAU/国土交通省

1 2 3

「仙台六芒星合戦」、「Vote!DATAでDATEなおもちゃ箱」

 惜しくも受賞を逃した残る2チームの作品を紹介する。

「仙台六芒星合戦」(チーム「ゲームと歩く仙台」)

 チーム「ゲームと歩く仙台」は「仙台市の魅力を知ってもらう」として、スマホ世代に向けたFPSゲームを提案した。3D都市モデルを活用して再現した仙台の街を舞台に六芒星の呪術のエネルギーで戦うというもので、回復アイテムに地元のものを使う、有名スポットを使った陣取りゲームを想定するなど、バーチャルからリアルに地域の魅力を伝える、行ってみたいという感情を生み出すことを目指す。

原氏:六芒星に着眼したところとか、陣取りで遊べる要素は面白いと思います。一方でバーチャルからリアルへ働きかける仕掛けをどのようにデザインするかという余地があるかなと。ゲームとリアルという事例でいうと、初期の『コロプラ』がまさにそんな感じでした。位置ゲーで実際ご当地のお土産が買えるという。全然お客さんが来なかった店に人が殺到したみたいな、社会現象にもなりました。3Dなら何ができるかという観点で考えていただけると、非常に可能性が膨らむと思いました。

「Vote! DataでDateなおもちゃ箱」(チーム「伊達富良党」)

 チーム「伊達富良党」は、仙台市の各種データをPLATEAUを中心に活用しようとArcGIS Onlineを使った情報提供プラットフォームを提案した。デモでは上下水道データと連携したUI案が示されたが、都市計画図、住民情報、ハザードマップ、観光情報など既存のデータを一元管理することで、まちづくりデザインの議論に活用できるようにすると説明した。

渡辺氏:いろいろなデータが使いやすいように考えられており、街の風景が変わっていく選択に多くの方が関わりやすくするという観点はすごくいいなと思ってお話を聞いていました。実際、まちづくりの取り組みがさまざまな形で行われていますが、一方はいいと思っていても、もう一方からは激しいダメ出しを食らうというように、なかなか難しいのが現状です。事前に形が見えるとか、形を作るところに参加できるというのは本当にいいなと思います。そこからもう一歩進んで、具体的にプラットフォームをどのように使えるかについて、アイデアがもう少しあればさらに良かったなと思います。

仙台が東北における3D都市モデル活用の先駆けになる

 会の締めくくりとして、審査員とメンターたちが今回のアイデアソンを振り返って全体を講評した。

国土交通省 都市局 椿 優里氏(メンター/審査員)

椿氏:短い中で、非常に濃密な議論ができたのかなというところが発表の中からも伝わってきました。特に、全体を通じてよかったなと思っているところは、たとえばゲームでも1回やってもらうだけではなくて、継続的に使ってもらうようなインセンティブをどうつけていくのかという議論がされていた点です。発表内容も全体通じてレベルが高かったと思います。

エイチタス株式会社 原 亮氏(審査員)

原氏:短い時間でこれだけのことが考えられたというのが非常に素晴らしかったと思います。特に、まだ東北地方ではPLATEAUが実装されている都市が少ないので、仙台が3D都市モデルデータで何ができるかをしっかりと示す必要があるかなと思います。そういう意味で、今回アイデアソンを開催できてよかったと思っています。

一般社団法人ワカツク 渡辺 一馬氏(審査員)

渡辺氏:久々にこうしたアイデアソンの場に来まして、こうやって人が集まって話ができるように、今年1年でやっと変わったなっていうところをしみじみと感じました。年代や背景が別々の初対面のメンバーでも、共通するテーマであれば、ここまで盛り上がるのですよね。このような場がまちづくりには大切ですね。

WOW inc. 加藤 咲氏(メンター)

加藤氏:短いながらも長い時間お疲れ様でした。いずれのチームも黙々と作業をされていて、モチベーションと集中力が高く、素晴らしいと思いました。みなさんはさぞかし疲れているのではないかなと思います。エンターテイメントに昇華しようとしているチーム、サービスを構築しようとしているチーム。各チームごとに着眼点が全然異なり、さまざまなアイデアの方向性を見ることができて大変興味深かったです。講評で出たコメントややり残したことなどをブラッシュアップしていくと、仙台市やPLATEAUを実際に盛り上げる企画になっていくのではないかと思いました。

 今回、ファシリテータおよびメンターを務めた小野桂介氏(東北工業大学)は次のように述べた。

東北工業大学 小野 桂介氏(ファシリテータ/メンター)

小野氏:各グループの作業に対する熱意が非常に高く、議論も活発に行われ、かつ笑顔が見られるような雰囲気があったので、素晴らしいなと思いました。もちろん自分の案が採用されなかった方もいらっしゃるし、やりたいことができなかった方もいらっしゃったかと思いますが、お互いに知識を共有して勉強している姿、情報収集をしている姿が印象的でした。このイベントが有意義なものになったのではないかと思います。ここで得た知識と、何より人とのつながりが、これからみなさんがPLATEAUのデータを使うときに有益に働くと思います。

 最後に、イベントを主催した仙台市から仙台市都市計画課長の井藤氏より閉会の挨拶があった。

仙台市 都市整備局 計画部 都市計画課 課長 井藤 由親氏

井藤氏:東北ではPLATEAUをなかなか実装している都市がないというところで、ぜひ仙台市としてどんどん進めたいと思っているところです。きっかけがないと新しいものに手を出すことはなかなか難しいので、純粋に3Dという空間、技術が好きだという方、もしくはビジネスになると考える方、いろいろな方にぜひ取り組んでいただきたいと思っています。何のきっかけでも、どういう形でもよいので、仙台市としては少しずつでもこの取り組みが広がっていけばと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー