生成AIの時代に求められるwatsonx
2つめのAIでは、watsonxの取り組みがあげられる。
IBMは、2023年5月に、エンタープライズ向け生成AI「watsonx」を発表。わずかなデータ、わずかな時間でAIアプリケーションを構築できるwatsonx.aiと、データガバナンスやAIワークフローに最適化したデータストアであるwatsonx.data、責任があり、透明性が高い、説明可能なAIワークフローを実現するwatsonx. governanceの3つを主要コンポーネントとして構成している。そのうち、watsonx.aiと、watsonx.dataの2つのコンポーネントは、2023年7月から一般提供を開始。2023年12月からは、watsonx. governanceの提供も開始している。
さらに注目しておきたいのは、「Granite」である。
Graniteは、watsonx.aiで利用可能な基盤モデルの新しいファミリーであり、その一部として、granite.8b.japaneseを発表している。ここでは、1兆6000億トークンの高品質な英語、日本語、コードデータを学習したことを公開。そのうち、日本語では5000億トークンを占めているという。
ギルディレクターは、「日本語で高い精度で回答し、他のオープンソースモデルの一般的な回答と比較しても正確に回答できる。最良のパブリックモデルと比較しても満足できるパフォーマンスを発揮している」と、日本語性能の高さを強調する。
また、日本IBMの山口社長は、2024年2月以降、Graniteをベースにして、日本語環境に最適化した業種特化型のLLMを日本市場に投入する計画があることを明かす。ここでは、医療や保険、メディア分野などの業界ごと、あるいは特定の顧客ごとを対象にしたLLMが開発するという。
2024年は、日本IBMの生成AIが、日本の企業や業界に浸透する環境が整うことになる。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ