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レッドハット・HPEと連携、2026年度までに関連売上100億を目指す

SCSK、アジャイル伴走やコンテナ対応含むクラウドネイティブ支援「NebulaShift」提供開始

2023年12月14日 10時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 SCSKは、2023年12月13日、包括的なクラウドネイティブ化推進サービス「NebulaShift(ネビュラシフト)」を同日より提供開始することを発表した。

 SCSKの執行役員 常務 プロダクト・サービス事業グループ長である小峰正樹氏は、「NebulaShiftは、アジャイル開発の定着やアプリケーションのモダナイズなど、企業のクラウドネイティブ化を実現するサービスを総称したものであり、OPEX型の料金プランで、ハードウェアやミドルウェアを含めて提供する」と説明する。

SCSK 執行役員 常務 プロダクト・サービス事業グループ長 小峰正樹氏

 NebulaShiftは主に3つのサービスから構成される。

 1つ目は、企業のアジャイル開発を成功に導くための教育や伴走型技術支援サービス。2つ目は、既存のアプリケーションをモダンな環境へシフトさせる技術支援サービス。3つ目は、コンテナ基盤からミドルウェア領域までのインフラ環境のフルマネージドサービスとなる。

 「NebulaShiftは、長年SCSKが展開するアプリケーション開発の領域とインフラの運用サービス、これらをコンテナ技術に対応させたもの。ユーザーのDX推進に共に取り組み、ビジネスの価値向上を支援する」と小峰氏。

NebulaShiftのロゴと概要

NebulaShiftの提供サービスと構成ツールの一覧

SCSK・レッドハット・HPEの3社でのクラウドネイティブ化を支援

 NebulaShiftを提供する背景として、企業がDXを推進する中で、サービスの市場投入に時間がかかっていることや、システム上の制約や互換性の問題などでサービスや事業の軌道修正が難しいといった課題があるという。

 小峰氏は、「IT担当者は、既存システムの運用に加えて、DXを実現するスピードと変化に対応できるシステムの構築を求められており、それにはクラウドネイティブな考え方に基づいた技術が必要となる」と語る。

 NebulaShiftでは、SCSKが実績を有するアプリケーション開発やビジネス協創、技術支援に加えて、レッドハットとの協業によりアジャイル促進やコンテナ技術を強化し、日本ヒューレット・パッカード(HPE)との協業によりNewオンプレミスのニーズに応え、3社で企業のクラウドネイティブ化を推進する。

レッドハットおよびHPEとの協業

 レッドハットとの連携においては、同社のDXやアジャイル開発の伴走型コンサルティングサービス「Red Hat Open Innovation Labs」を活用して、アジャイルコーチングの強化を図る他、同社のJBossプレミアム・ビジネス・パートナーとしてミドルウェア技術を活用し、クラウドネイティブアプリケーションによるシステムマイグレーションを促進する。また、両社で、SCSK内のコンテナ技術を扱えるクラウドネイティブ人材を500名に増強することを目標としている。

 ゲスト登壇したレッドハットの代表取締役社長 三浦美穂氏は「SCSKは昨年の(レッドハットの)SI of the Yearを受賞しており、長らく一緒にサービスやサポートを市場に届けてきた。今回改めてHPEと3社で新しい世界を広げていきたい」と語った。

レッドハット 代表取締役社長 三浦美穂氏

 HPEとの連携では、ハイブリッドクラウドの促進に寄与する同社の「HPE GreenLake」を採用し、ハードウェアからミドルウェア層までをOPEX型で提供する。両社の約30年にわたるパートナーシップをもとに、クラウドネイティブアプリケーションのインフラ環境としてHPE GreenLakeの利用拡大を推進する。

 ゲスト登壇した日本ヒューレット・パッカードの常務執行役員である田中泰光氏は、「HPE GreenLakeはもともと、SCSKのプライベートクラウドサービスであるUSiZEにて採用され、多数のユーザーに導入・運用いただいていたが、今回アジャイル開発という武器が加わる。アジャイル開発を進めながら、ハイブリッドクラウドのフルマネージドサービスを享受でき、ビジネスとしても、日本のDXを加速させる点でも期待している」と述べた。

日本ヒューレット・パッカード 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業 統括本部長 田中泰光氏

 また、セキュリティ面では、Sysdigとのパートナーシップにより得られた、コンテナ環境におけるセキュリティ対応のノウハウを活用するという。

2026年度までに100億円の売上、50社への導入を目指す

 NebulaShiftは、ユーザーの要件にあわせて個別見積りで提供され、基本はOPEX型の料金プランとなるが、ニーズに合わせて柔軟に対応していくという。

 SCSKは、2026年度までにNebulaShiftの関連事業で、売上100億円、導入社数50社を目標とする。主なターゲットとして、SCSKの顧客基盤である、製造・流通、通信、金融、電力・ガス関連のエンタープライズ企業に加えて、クラウドネイティブ技術に取り組む企業を挙げた。

NebulaShift関連事業におけるビジネス目標

 2024年1月以降には、レッドハット、HPEと共同セミナーを展開する他、NebulaShiftの検証環境も用意する。

 小峰氏は、「NebulaShiftを通じて、SCSKがお客様の良き相談相手となり、企業のクラウドネイティブ化を支援し、ベストパートナーになることを目指す」と抱負を語った。

左からレッドハット 三浦氏、SCSK 小峰氏、HPE 田中氏

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