NTT法を巡る議論に新展開だ。
自民党の政調審議会は12月5日、NTT法のあり方を巡っての提言をまとめ、11日に岸田文雄総理大臣に手渡した。提言では「NTT法は2025年までに廃止すべき」という結論でまとめられていた。
しかし、12月13日になって、急転直下、状況が大きく変化した。
NTTの島田明社長が「2025年のNTT法廃止にはこだわらない」と自民党の提言をひっくり返したのだ。
携帯キャリア「巨大なNTT」誕生に危機感
NTT法を巡る議論は、防衛財源を確保するために、国が保有するNTT株を売却する案が自民党内で浮上したのが発端だった。NTT法では国がNTT株を保有することを義務づけているため、NTT法の見直しが避けて通れないのだ。
しかし、このタイミングに合わせて、NTTからは外資規制や研究成果の開示義務、ユニバーサルサービス義務のあり方についての見直しもして欲しいという主張があった。
一方、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルを始めとした全国のケーブルテレビ局など181者は「NTT法の廃止には反対」という意見を出してきた。
NTT法が廃止されれば、NTT東日本と西日本、さらにはNTTドコモやNTTデータなどの関連会社がひとつになる「巨大なNTT」が誕生し、公平競争が阻まれると警戒したのだ。
実際、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルの通信サービスはNTT東西が持つ光ファイバー網に接続することで提供されている。
「巨大なNTT」ができれば、NTT東西はNTTドコモなどを優遇する一方、KDDIなどに不利な条件を突きつけ、結果として、接続料を値上げする可能性がゼロではなくなってくるのだ。
接続料というコストが上がれば、我々が支払う通信料も値上げを余儀なくされてしまう。
また、離島や山間部などでは、NTTが固定電話を引いているが赤字体質が続いている。NTT法が廃止されれば、そうした場所からの撤退も可能となるため、「地方で電話が使えなくなる」という事態も想定されるのだ。
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