サイバーパンク味溢れる世界の中で、復讐に燃える主人公が黒幕を追い詰めるために活躍する2Dプラットフォームアクションゲーム。それが、今回レビューする「SANABI」(PC、Nintendo Switch)だ。WONDER POTIONが開発し、NEOWIZがパブリッシングしている。
本作の特徴かつ魅力なのが、ハイスピードなワイヤーを使ったアクションだ。
2Dプラットフォームアクションで、ワイヤーを使ったアクションが楽しめるゲームといえば「海腹川背」がメジャーなところだろうか(個人的には「バイオニックコマンドー」も思い出深い)。
ステージを左右に移動したり、ジャンプしたりするというスタンダードなアクションに加えて、ワイヤーを天井などに刺し振り子のような動きを組み合わせて移動するアクションや、ゲームによってはワイヤーを使って敵を攻撃するようなアクションが加わるゲームもある。
ワイヤーを使えば、ジャンプでは届かない足場にもワイヤーと慣性の法則を使ってたどり着くことができるといった、独特な操作感やアクションが魅力的なジャンルだ。
スピード感のあるワイヤーアクションが難しいけど気持ちいい!
筆者が本作でもっとも魅力的に感じた点は、やはりアクション要素、とくにワイヤーを使ったアクションだ。
本作ではあらゆるアクションにワイヤーを使う。移動はもちろん、攻撃も基本的にはワイヤーを使っていく。
通常のジャンプでは届かないような足場でも、近くにはワイヤーでしがみつけるような天井やオブジェクトなどが必ず用意されている。それらにフックを引っかけ、振り子のように振られたり、ぶら下がったりしてステージの奥へと進んでいく。
チェーンの長さによりスピードが異なり、短いと小さく、長いと大きく揺れる。この長さを上手くコントロールしながら乗り継いでいく。時には空中で複数回ワイヤーを操作しなければいけないときもある。そういった少しテクニカルな操作を求められるのがアクセントになり、それが楽しいのだ。
攻撃する際も雑魚敵であれば、フックで掴めば一撃で倒せるのだが、少しずつゲームが進むにつれて、正面からはフックで掴めない敵や、そのまま倒すと何度も復活してしまう。ステージ上のダメージゾーンに誘導して倒す敵なども登場し、徐々に手強くなっていく。
以上のような操作の忙しさがある上に、本作はテンポも速いので、まだ操作に慣れていないゲーム序盤などは、考えるよりも先にコントローラーを持つ手が動くような時間が続いた。これは自分のゲーマーとしての本能がキャラクターを動かしているという感じで非常にエキサイティングだった。
そういった時間ももちろん面白いのだが、ゲームに慣れてきて、自分が思っているようにキャラクターを動かせるようになってきてからはもっと楽しくなる。
どの辺りにフックを引っかけて、どのくらいの長さのワイヤーになり、一番タイミング良いときにジャンプするとこの辺りに来るはずだから、そこからさらにフックを飛ばして……といった具合で、短い時間に考え、それを咄嗟に操作し、思惑通りにキャラクターが動く。
それが本作をプレイしているときに一番気持ちいい瞬間だと感じる。そしてそれが短い時間に何度も繰り返されるので、自分の腕が上達していくのもわかるし、さらにスムーズにキャラクターが動かせるので、快感のループが続くのだ。
正直なれるまでは簡単ではないかもしれない。だが、トライアンドエラーを繰り返せば、長い時間をかけずに次へと進めると感じた。トライアンドエラーをやりやすくする仕組みとして、ライフという概念はあるが、難易度設定で無限にもできるし、残機のような概念がないのでゲームオーバーもない。プレイしていれば必ず自分が上達して難所も乗り越えられるはずだ。
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