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UpdataNOW23のセッションで見た業務に役立つAIの具体例

ウイングアーク製品で生成AIを使ったら? データ活用の未来をリアルデモで披露

2023年11月27日 10時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ウイングアーク1st

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Dr.SumではSQLを自動生成 大規模データを生成AIからハンドリング

 2番目に紹介されたBIツールの「Dr.Sum」で目指すのは、エンタープライズクラスのデータを生成AIで取り扱うこと。こちらはすでに「Dr.Sum Copilot powered by GPT」として年内のリリースが計画されているという。

 ChatGPTは対話型で処理を作れるということで鮮烈なデビューを果たしたわけだが、全社規模での大規模データを取り扱うのは難しい。一方、Dr.Sumは大規模データの取扱は得意だが、データ処理に専門知識が必要という課題があった。このギャップを生成AIで変えていくというのが、今回のテーマ。具体的にはデータ処理の仮説をChatGPTに教えると、おおまかな処理が生成され、Dr.Sumがそれを実行するという流れを作っていくという。

 デモを担当したウイングアーク1st Dr.Sum開発部 部長 笹原 徹氏は、「これからみなさんにお見せするのは、Dr.Sumの輝かしい未来、しかもそう遠くない未来」と第一声。Dr.Sumのようなデータベースに問い合わせるためのSQLを、自然言語によるリクエストから生成するデモを披露した。

ウイングアーク1st Dr.Sum開発部 部長 笹原 徹氏

 笹原氏は、画面から対象となるデータベースを選び、テーブルを確認。「各社員の月の売上がわかるビューを作ってくれ。達成率はパーセントで表示して」と指示を出す。「ここで特徴的なのは、テーブルの中身をなにも指定していないこと」と島澤氏はコメントする。数十秒で出ていた結果を見ると、予算と達成率も表示された各社員の売上ビューが表示される。

「注目して欲しいのは、2つのテーブルの値を結合するジョインの処理もAIが生成してくれる点。どうですか?」と笹原氏がコメントすると、島澤氏は「私もSQLは書けますけど、これを使い出すと、こっちの方が早いのではないかと思う」と感想を語る。

 笹原氏が「四捨五入して整数で表示して」と追い指示を出すと、ビューはさらにブラッシュアップされる。「田中は3人いるけど、これはまあ社長の田中だろう(笑)」(島澤氏)ということで、「田中」を「田中潤」に書き換えるという芸の細かいデモまで行なった。さらに生成AIからPythonによるスクリプトを生成し、名字と名前を分割したり、生年月日から年齢を算出する。「これがDr.Sumの輝かしい未来です」とアピールして、笹原氏は舞台を降りた。

普段の業務をdejirenで進めれば、生成AIの恩恵も受けられる環境に

 3つ目に紹介されたdejirenは、チャットをベースにさまざまなSaaSをつなぐiPaaS。 dejiren ではおもに現場の業務にどのように生成AIを展開していくかに取り組んでいる。

 島澤氏は、「生成AIは現場からけっこう遠いと思っている」と指摘。その原因の一つとして、できる人と、できない人で差が出てしまうプロンプトエンジニアリングに原因があるという。「あなたは一流の建築コンサルタントで、プロジェクトマネジメントのプロでもあります。以下のメンバーで下記の課題に取り組みます」といった指示は、ある意味プロンプトを生成するためのお作法ではあるが、現場メンバーでこれをやると差が出やすい。

 これを改善するため、業務にはシンプルなインターフェイスを持つdejirenを用い、生成AIもdejirenから活用する。これにより、現場ユーザーはdejirenで通常の業務をやりながら、バックエンドで動作する生成AIのメリットを享受できるという。デモを担当したウイングアーク1st dejiren事業開発部 部長の大畠 幸男氏は「dejirenでみなさまの業務をもっと豊かに、簡単にしていきたいと考えています」と語る。

ウイングアーク1st dejiren事業開発部 部長の大畠 幸男氏

 今回生成AIの手を借りるのは、業務レポートの作成。業務レポートは現場で進捗を確認して作成するのみならず、上司に提出してから得られた課題を現場にフィードバックするためにも使う。つまり、定期的な提出のみらず、業務サイクルの中で常時使われるため、生成AIでもっと楽にレポートを作れないかというのが、今回のチャレンジだ。

 生成AIによるレポートは、dejirenのチャットでやりとりされる業務進捗から作成される。レポート作成はテンプレートをベースにdejirenのバーチャルアシスタントが実行しており、音声からも指示できる。レポートでは概要や関係者、話し合いの様子、ToDoなどが表示されるので、最終的には人が編集することで、PDFのレポートに仕上げることができ、そのまま関係者に配布することも可能だ。

チャットからレポートを生成するデモ

 島澤氏は、「製造業のような現場では機械の稼働状況など、なんらかのインプットはある。こうしたインプットとdejirenを連携させると、業務日報のようなものが自動で作れる可能性が広がってくると思っている」と語る。

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