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UpdataNOW23のセッションで見た業務に役立つAIの具体例

ウイングアーク製品で生成AIを使ったら? データ活用の未来をリアルデモで披露

2023年11月27日 10時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ウイングアーク1st

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 10月31日にオフライン開催されたウイングアーク1stの「UpdataNOW23」の初日。製品への生成AIの実装状況を披露したのは、同社CTOの島澤甲氏だ。カスタマーサクセス、帳票設計、業務レポート、SQL生成などさまざまな生成AI活用を披露しつつ、最後はAI前提に操作性まで大きく変えたMotionBoardの新バージョンも披露した。

個人の成果に結びつきやすい生成AIを組織の業務で使えるように

 登壇したウイングアーク1stの島澤甲氏は、「この1年の間、生成AIをどのように製品に組み込むかのR&Dをずっと続けてきた」とまずコメント。今回のセッションでは、ウイングアーク1stの主要4製品で、どのように生成AIを組み込もうとしているのかを披露するという。

 島澤氏がまず披露したのは、生成AIに対するスタンスだ。GMOの調査によると、生成AIを業務で用いたことのある人は、北米が29.5%なのに対して、日本では10.7%にとどまる。ただ、業務で使わない理由は「生成AIの使い方がわからないから」という点で共通している。島澤氏は、「いろいろな調査報告があるけど、あまり浸透していない」と語る。

ウイングアーク1st 取締役 執行役員事業統括担当 兼 CTO 島澤甲氏

 では、使っている人は何に使っているのは、文章作成、アイデア出し、調査、要約などが多い。とはいえ、使われている用途には共通点があり、「個人の成果に結びつきやすいこと」だ。この領域に関しては、ウイングアーク1stもカスタマーサクセス向けの「AIアシスタント for MotionBoard Cloud」をリリースしたばかりだ。

 AIアシスタント for MotionBoard Cloudは文字通り、MotionBoard Cloudの使い方や機能を教えてくれるAIアシスタントになる。従来のマニュアルは機能を網羅しているが、このAIアシスタントはやりたいことを伝えると、具体的なやり方が指示される。

リリースされたばかりのAIアシスタント for MotionBoard Cloud

 島澤氏が「前年同月比を調べたい」と聞くと、「1、データソースから必要なデータを取得します」「2、グラフや集計表を作成します」「3、グラフや集計表の設定画面で、前年同月比の計算方法を指定します。一般的には「事後計算」を指定します」などと指示される。さらに「事後計算」ついて聞くと、どういった処理かを答えてくれる。「今までのチャットボットと比べて、文脈を理解してくれるので、お客さまの製品利用に際して、かなりの助けになると思います」と島澤氏はアピールする。

 Bingの画像生成で作った「未来を目指すウイングアーク」のビジュアルを示しながら、島澤氏は「私たちはさらに先を目指す」と語る。今までメインだった個人業務から生成AIの適用範囲を拡げ、組織の業務での適用するのが目指す先。「一部の業務の自動化、全社規模でのデータの利用、システム構築を生成AIで容易にしようとしています。生成AIを定着させるにはいい意味で生成AIを意識させないように企業活動に取り入れることが重要なのではないか?」と指摘した島澤氏は、ウイングアーク1st製品での生成AIの実装について披露する。

SVFでは生成AIで帳票を自動作成

 帳票の設計や運用までをカバーする帳票基盤ソリューション「SVF」で目指すのは、帳票の自動作成だ。従来、帳票を生成するにはまずデータを準備し、データにあったデザインを行なう必要があった。ここで重いのは、デザインの作業だ。ウイングアーク1stでも帳票のデザインは、デザイナーが担当する専門スキルが求められる世界。「帳票をゼロから作るのはけっこう大変」と島澤氏は指摘する。

 こうした帳票を生成AIで自動化しようというのは、SVFでの試みだ。既存の帳票を学習させ、中身を解析し、プロトタイプまで生成AIで作ってしまう。さらなるブラッシュアップも生成AIに言葉で指示できるという世界を目指しているという。帳票作成デモを披露してくれるのはウイングアーク1st SVF開発部 部長 斎藤 学氏だ。

ウイングアーク1st SVF開発部 部長 斎藤 学氏

 「みなさんお使いのSVFは、もうすぐ30周年を迎えます、生成AIとともにますます進化していきます」とコメントした齋藤氏は、SVFのデザインツールを開く。データを渡し、「注文書を作って」という指示を与えるだけで、帳票設計が開始される。使ったデータは仕入れ明細や仕入れ帳票、注文書に用いられるデータで、仕入れ先、発注先、伝票自体の発行年月日、商品単価、数量などが含まれている。

 数分かからず、帳票のプロトタイプが完成。生成AIがストックしてある帳票ライブラリの中からデータに合わせた最適な帳票を選び、データにあわせて、項目を変更している。たとえば、元となった「発注書」を「注文書」に、帳票自体の「帳票ID」も「発注番号」に書き換えられている。生成AIが帳票とデータの中身を認識し、注文書のどの項目に割り当てればよいかのマッピングを自動的に行なっているわけだ。

AIにより帳票を自動生成するデモ

 修正作業も生成AIに任せられる。「タイトルをいい感じに大きくして」といったあいまいな指示を与えても、帳票のトップにあるテキストをタイトルと認識し、適当なサイズに拡大してくれる。最後に印刷を指示すると、宛先や発注番号も単価も入り、計算された状態で帳票が出力される。「5分でここまでできたらAIってホントにすごいですよね。SVFはこれからもワクワクするような進化をこれからも続けていきたい」と齋藤氏はコメントし、島澤氏にマイクを戻した。

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