日本が音楽市場に打てる一手はあるのか?
まつもと このインタビューのまとめとして、次の音楽の世界に対して日本だからこそできること、日本発や日本由来であることの強み、可能性についておうかがいします。
鈴木 私は、日本のエンターテイメント、音楽も映像も含めたコンテンツそのものに無限大の可能性があると思います。しかし現在は、私も含めた業界人全体の底上げが必要かなと思っています。
業界人全体のナレッジや経験、そして海外へのビジネス開拓のスピードや熱量を上げていかないと、私たちの持っているポテンシャルが制限されたままになってしまうのでは。これを会社や業界をあげてどう取り組んでいくか。
まつもと つまりプロデューサーのスキルを底上げするってことですか?
鈴木 プロデューサーに限らず、全員ですよね。極端に言えば、全員が英語を喋れて、海外で交流できるようになれば世の中は変わると思います。
まつもと 日本発というと、どうしても初音ミクのようなものを想起してしまうのですが、コンテンツの独自性とか、あるいはアニメのような日本のコンテンツ文化が持っている可能性について、鈴木さんはどんなふうに捉えていらっしゃいますか?
鈴木 可能性どころか、すでにナラティブになっていると思います。私はよくナラティブという言葉を使うのですが、その定義として「共通の文化基盤」と捉えています。
日本のアニメ・ゲームというポップカルチャーを通じて、日本のコンテンツ文化のナラティブは全世界的に定着していると思っています。だからこそ、そこをつないでビジネスに変えていくスキルを持つ人が全然足りていないのではないかと。
まつもと 本日はありがとうございました。
〈前編はこちら〉
〈連載一覧はこちら〉
この連載の記事
-
第108回
ビジネス
『陰実』のDiscordが熱い理由は、公式ではなく「公認」だから!? -
第107回
ビジネス
『陰の実力者になりたくて!』の公認Discordはファンコミュニティー作りの最前線だ -
第106回
ビジネス
ボカロには初音ミク、VTuberにはキズナアイがいた。では生成AIには誰がいる? -
第105回
ビジネス
AI生成アニメに挑戦する名古屋発「AIアニメプロジェクト」とは? -
第104回
ビジネス
日本アニメの輸出産業化には“品質の向上よりも安定”が必要だ -
第103回
ビジネス
『第七王子』のEDクレジットを見ると、なぜ日本アニメの未来がわかるのか -
第102回
ビジネス
70歳以上の伝説級アニメーターが集結! かつての『ドラえもん』チーム中心に木上益治さんの遺作をアニメ化 -
第101回
ビジネス
アニメーター木上益治さんの遺作絵本が35年の時を経てアニメになるまで -
第100回
ビジネス
『THE FIRST SLAM DUNK』で契約トラブルは一切なし! アニメスタジオはリーガルテック導入で契約を武器にする -
第99回
ビジネス
『THE FIRST SLAM DUNK』を手掛けたダンデライオン代表が語る「契約データベース」をアニメスタジオで導入した理由 -
第98回
ビジネス
生成AIはいずれ創造性を獲得する。そのときクリエイターに価値はある? - この連載の一覧へ