OT×ITのインテグレーションを担うHitachi Digital Services
Hitachi Digital Servicesは、旧Hitachi Vantaraのデジタルソリューション部門として、深い業種ナレッジを有する人材を擁し、ドメインソリューションの提供を通じてノウハウを蓄積してきた。たとえば鉄道分野においては、鉄道車両の保守のようなOTの知見と、設備からのデータ収集や分析、クラウドインテグレーションいったITのノウハウを融合し、英国において240台の車両を管理。都市間高速鉄道計画の実現に貢献している。「OTとITでは必要とされる知見や人材が異なるが、日立グループはOTとITのナレッジを集結できる強みがある」(阿部執行役専務)という。
また、クラウドマネージドサービスとして「HARC(Hitachi Application Reliability Centers)」を展開しており、金融、製造、小売などの幅広い業種における導入実績を有する。ビル空調設備保守システムでは、インシデント管理を効率化することで、90%のシステム問題への事前対処を実現した。今後のHARCの強化施策として、日本で開発した運用効率化の自動化ソフトウェアや生成AIの活用を進めていく考えを示した。生成AIは、インシデントの原因追求や対処方法のレコメンドなど、対応品質の向上に活用する。
データインフラストラクチャーを担う新生Hitachi Vantara
新生Hitachi Vantara(Hitachi Vantara、日立ヴァンタラ)では、第三者から高い評価を得ているデータストレージをベースに事業を展開する。ミッションクリティカルに対応した性能や信頼性を強みとし、ハイブリッドクラウドにおけるデータの一元管理に効果を発揮する高信頼SDS(Software-Defined Storage)により、データ仮想化を実現できることを示した。「新生Hitachi Vantaraが持つデータインフラストラクチャーの技術は、生成AIの需要拡大に伴い、ハイブリッドクラウド市場における強い武器になる」(阿部執行役専務)とアピールする。
また、ハイブリッドクラウド基盤である「EverFlex from Hitachi」では、業種向けハイブリッドクラウドサービスを、as-a-Serviceモデルで提供する。同社は、ハイブリッドクラウド市場での、世界トップベンダーを目指すとともに、パートナーと連携して生成AI向けのデータインフラストラクチャーを提供して、社内外のAIトランスフォーメーションに貢献していく。
「3本の矢」で生成AIの機会をとらえ、海外ITサービス事業で売上高1兆円を目指す
発表のなかでは、海外ITサービス事業で売上高1兆円を目指す方針も示した。
日立製作所の德永副社長は、「今回の再編対象の売上高は約5000億円規模。これにGlobalLogicの2023年度見通しである約2500億円を加えた7500億円が、現在の海外ITサービス事業のベースとなる。生成AIで生まれた機会を捉えて、売上高1兆円を目指す。Hitachi Digital Services、Hitachi Vantara、GlobalLogicの3本の矢で、海外で存在感を出していくことが、Lumada事業の成長の鍵になり、次期中期計画のベースになる」とした。
記者説明会には、Hitachi Digital Servicesのロジャー・レヴィンCEO、Hitachi Vantaraのシーラ・ローラCEO、日立ヴァンタラの島田朗伸社長も出席した。
Hitachi Digital ServicesのレヴィンCEOは「企業変革を支援することが、新会社のミッションであり、なかでもHARCは、デジタルサービスにおいて大きな差別化になると考えている」と述べ、生成AIをアクセラレーターとして企業変革に貢献していく姿勢を強調した。
Hitachi VantaraのローラCEOは、ハイブリッド型クラウドデータインフラを開発、提供することで、顧客の事業課題の解決に取り組むとしたうえで「顧客第一主義を掲げ、変革と革新を通じ、成長を加速させることを目指す」と語った。
日立ヴァンタラの島田朗伸社長は「ハイブッリドクラウド環境でデータを効率的に管理し、簡単、安全に使うことができる技術とノウハウを蓄積しているのが日立ヴァンタラの特徴」だと説明したうえで、旺盛な需要に応えることでビジネスを大きく成長させたいと抱負を語った。