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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第231回

秋のヘッドフォン祭 2023開催、各社の新製品をレポート

2023年11月01日 17時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 10月28日に、恒例となる“秋のヘッドフォン祭 2023”が開催された。主催はフジヤエービック。場所はJR東京駅に隣接したステーションコンファレンス東京(サピアタワー5Fと6Fを貸し切り)。たくさんの展示の中から、いくつか紹介していく。

final

 今回もたくさんの新製品を発表したのがfinalだ。

 平面磁界型ヘッドホンの「D7000」は「D8000」の兄弟機となる。特徴はディフューザー(音響拡散器)に新機軸を取り入れている点だ。ディフューザーは普通、きれいな幾何学模様を描くものだが、D7000は一見乱雑で不規則に見える形状にしている。耳の形状を考慮したとのことだ。Dan Clark AudioのAMTSを想起させる。女性ヴォーカル曲を試聴したが、とてもスムーズな声の再現が感じられた。

秋のヘッドフォン祭 2023 - final D7000

D7000

 完全ワイヤレスイヤホンの「ZE8000 MK2」は「ZE8000」の新しいモデルで遮音性を上げた新しいイヤーピースとデジタル信号処理(8Kサウンドの計算アルゴリズム)に根本的な改善を加えたという。8Kサウンドはボーカルや楽器など特定の音を際立たせるのではなく、どの音に意識を集中しても高い情報量を得られるサウンドを目指している。一般的なイヤホンの音作りとは異なるアプローチであり、高音質イヤホンの音に慣れた人ほど、慣れるまで時間がかかる面もあるが、ZE8000 MK2では意識しなくとも音が拾える(順応時間を短くする)ようにしたという。音を聞いてみると違和感が感じられるほど意欲的な音作りだった初代よりも、より一般的なイヤホンに近い音作りになったと感じた。

秋のヘッドフォン祭 2023 - final ZE8000 MK2

左がZE8000 MK2

 finalが代理店を務めるDITA Audioからも新しいイヤホン「Project M」が公開された。新規ユーザーを獲得するための製品で、DITAの入門機という位置付けももたせているようだ。

秋のヘッドフォン祭 2023 - Project M

DITAのダニー社長とProject Mイヤホン

 ダイナミックドライバーとBAドライバーを各1基搭載したハイブリッド型イヤホンで、大半の音はダイナミックから出しているとのこと。DITA Audioとしては初めてプラスチック樹脂を採用したハウジングも特徴だ。ケーブルは先端の端子を交換ができる「Awesome Plug」を継承している。試聴してみると、パンチがあって中高域がクリアなハイブリッド型らしいサウンドだった。

FitEar

 FitEarはサンレコフェス 2023で展示した“名前のない試作機”に名前を付与して展示した。

 プロ用のヘッドホンは「Monitor-1」という名称となった。Monitor-1は軽量で装着感も良く、ケーブル端子が頑丈な点がプロ機らしい。音の誇張感はプロ機らしく少ないが、解像力が高く音の素性がわかりやすい。こちらは新鋭開発者の白井氏によるものだ。

秋のヘッドフォン祭 2023 - FitEar Monitor-1

FitEarのMonitor-1

 もうひとりの新鋭開発者・堀田氏が開発したのが「IMarge」だ。シェルのカラーリングが改良されている。こちらはSonionの新しいESTドライバーを採用したハイブリッド機で、ダイナミック型ドライバーをフルレンジで使用している。FitEarらしい素直な音に聞こえるが、よく聞くと音楽の複雑な構成要素を分析的に取り出せるような巧妙な音作りがなされている。

秋のヘッドフォン祭 2023 - IMarge

IMarge

Campfire Audio

 ミックスウェーブは、Campfire Audioの新しいChromaticシリーズ4モデルを国内発表した。販売は「Ponderosa」と「Supermoon」が先行、「Supermoon」は以前カスタムIEMとして発売されていたモデルと内容は同じで、新たにChromaticシリーズに位置付けたモデルである。

 Supermoonは14mmの平面磁界駆動型ドライバーを搭載。内部パーツを3Dプリンターで一体成型した構造を採用している。低音の重みが感じられるサウンドで、スケール感も雄大だ。

秋のヘッドフォン祭 2023 - Campfire Supermoon

Supermoon

秋のヘッドフォン祭 2023 - Campfire Ponderosa

Poderosa

 Ponderosaは5基のBA型ドライバーを搭載したモデルで、ドライバー構成とイメージカラーの緑色が「ANDROMEDA」を思わせる。能率も高く、中高域よりの先鋭的なサウンドは初代のANDROMEDAを想起させる。

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