トヨクモは11月1日、トヨクモの子会社として「トヨクモクラウドコネクト」を設立した。
新会社はクラウドベースでkintone等のSaaSを組み合わせたパッケージを迅速・安価に開発・提供する。
ここ数年の間、自治体や企業が求めるシステムを1から開発するスクラッチ開発から、SaaSを組み合わせて「利用」する開発手法が急速に進んでいる。行政DXは生産性の向上をもたらす一方、行政DXには新たな課題(現場開発の限界、セキュリティー問題等)があることも分かってきたとしている。
とくに行政DXの問題点としては、「業務担当者によるシステム構築」「取扱情報の機密性の高さ」「対象となる住民数の多さ」等に端を発し、「情報漏洩」「システム停止」等といった 致命的な失敗に至るケースが散見されるという。
これまでシステム開発者が構築してきたアプリケーションを、ノーコードツールの恩恵を最大限に享受するため「業務担当者」が構築することが増えており、業務担当者は現場の業務に精通していてスピーディーに現場に則したシステムを構築できる一方、システム的な知見が無いのでトラブルに発展する箇所を予期できないとしている。
また、自治体では住民からの申請や住民への告知などデジタル化の範囲も様々だが、その多くが住民の個人情報といった高い機密性の情報を取り扱っている。先述のように、業務担当者が実装するシステムで個人情報を扱うことで、ふとした設定ミスが重大なインシデントに繋がることがある。
さらに、自治体でのシステム運用は域内全ての住民が対象という大規模運用となるが、業務担当者が機能検証するだけでリリースすることもあるという。システムをリリースした際にアクセスが急増しないか、どのように案内すれば良いか、などの検討・検証しない自治体も存在し、システムが停止する事例もあるという。
これらの理由でトラブルが発生した際、SaaSメーカーとしてトヨクモは設定支援などをしていないことから、トラブルは常に事後的に知らされ、対応も後手になっていたという。また、提供するサービスは正常に稼働しているものの、サービスとして提供していないアクセス分析などの調査依頼を受けることもあるとしている。
トヨクモクラウドコネクトでは複数のSaaSを組み合わせたパッケージを提供し、世の中に存在する数多くの同種の特定業務を業務パックとして提供。素早く安価かつ安心安全に業務を開始できるようにするという。