最新パーツ性能チェック 第428回
ベンチで知る“第14世代”、Core i9-14900K/Core i7-14700K/Core i5-14600Kは何が変わった?
2023年10月17日 22時00分更新
クリエイティブ系アプリでも14900Kは微妙?
続いては「DaVinci Resolve Studio」を使った動画エンコードの比較を試してみよう。ProRes442HQを使った8Kおよび4Kのフッテージ(内容は同じ)から約2分の動画に編集し、それを8Kおよび4KのH.265で書き出した時の時間を計測した。ビットレートは8Kが80Mbps、4Kが40Mbpsとし、エンコーダーはあえてCPU利用率の高い“Native”を選択している。
NativeエンコーダーはCPUの利用率が高いと書いたが、CPU負荷が高いのはエンコード開始直後だけで、すぐにGPU中心の処理に切り替わる。そのためCore i5とCore i9の処理時間の差は非常に小さい。CPU負荷の低い4Kならなおさら差は出ない。DaVinci Resolve Studioであれば、今回の第14世代は特別なメリットはないと言える。僅差でRyzen勢のほうが全般的に速いのは、エンコード処理の大半で全コアに弱い負荷がかかるため、E/Pコアの差がないコアデザインが有利だった、と考えられる。
続いては「HandBrake」を利用したエンコード速度比較だ。再生時間約3分、4K@60fpsの動画をプリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」および「Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround」を利用してMP4形式で出力する時間を計測した。
このテストはバッチを組んで実施されており、最初にSuper HQ 1080p30 Surroundが実施され、終了後にSuper HQ 2160p60 4K HEVC Surroundが実施される。CPU温度が高くなる状況だと後半のエンコードが厳しくなるテストだ。今回の検証ではPコアの多いRyzen 9 7950Xがどちらのテストでも最速で処理を終了。Core i9-13900KSよりもCore i9-13900Kのほうが2番目(Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround)のエンコードが高速なのは、Core i9-13900KSは速い段階から熱によるサーマルスロットリングが発生しているからだ。
肝心のCore i9-14900KはCore i9-13900KSより微妙に遅いが、PPPを付けて電力制限をかけても30秒も変わらない、という点に注目。後ほど消費電力について検証するが、ワットパフォーマンスという観点からすると、今回のCore i9-14900KはPower Delivery Profileを使って絞ったほうが扱いやすい。
一方、Core i7-14700KはCore i7-13700Kに対し、1本目で約30秒、2本目では約2分半の差をつけて処理を終了している。Core i9-13900K→14900Kは乗り換えるメリットがほぼない(APO等の付加価値は除く)が、Core i7-13700Kであれば14700Kに乗り換えるメリットはある、といえるだろう。
最後に「Lightroom Classic」で筆者がいつも使っているテストをやっておこう。100枚のDNG画像(61メガピクセル。調整入り)を最高画質のJPEGに書き出す。書き出し時にシャープネス(スクリーン用/標準)を付与し書きだし終わるまでの時間を比較した。
以前のバージョンではPコアとEコアを備えるインテル製CPUがやたら強かったこともあったが、現バージョン(正確にはUL Procyonの都合で最新より1つ古いv12.5)ではRyzenでも相当速くなるどころか、Ryzen 9 7900XではCore i9-14900K以上の結果を出している。コア数の少ないRyzenはともかく、上位CPUではインテルとAMDの実力差はわずかであると言える。ここではCore i9-14900KとCore i7-14700Kがほぼ同着となっており、Core i7-14700Kの強さが伺い知れる。
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