動画の再生はSoCコアだけで可能
一方でSoCコアであるが、内部は少しおもしろい。インターコネクトは2種類あり、NOC(Network On Chip)はキャッシュ・コヒーレントなファブリックで、これはCPUコアとGPUコア、およびSoC内のLP Eコアやメディアエンジン、ISPなどを相互接続している。
このNOCの右端にあるIOC(IOコントローラー)を介して2つ目のIOファブリックが接続されている。こちらはキャッシュ・コヒーレントではなく、かつPCI Expressのプロトコル(論理層のみ:物理層は独自)を介して周辺機器やIOタイルと接続される格好になっている。
この結果、例えば動画の再生は本当にSoCコアだけでまかなえることになり、コンピュートやグラフィックス、IOの3つのタイルは(極端に言えば)電源を落とすことも可能である。
ちなみにNOCは128GB/秒もの広帯域であり、消費電力的にイマイチと思わなくもないのだが、仮にLPDDR5X-6400をサポートしたとすると帯域は1chあたり51.2GB/秒。2chで100GB/秒に達するわけで、確かにこのくらいの帯域がないと持たないのかもしれない。
また電力管理は、SoCタイルのPUNIT(Power Unit)が全体の管理を行ない、それぞれのタイルに用意されたPMIC(Power Management IC)に制御を送る形で実装されている。
1つ不明なのは、VRMはどうしたのか? である。インテルはかつてFIVR(Fully Integrated Voltage Regulator)をHaswell世代で導入しつつ、Skylake世代で諦めた。理由は省電力動作時に効率が上がらないからで、ところがIce Lake世代ではMIA(Magnetic Inductor Arrays)を利用する形で再びパッケージ上にVRMを実装している。
VRMにはインダクター(コイル)が必須で、ところがHaswell~Skylake世代ではチップ上にインダクターを構成しても容量が非常に小さく、VRM内のスイッチング速度を高くできない結果、低負荷時の効率が悪いというのがSkylake世代の問題であり、MIAはインダクターの中に磁石を仕込むことで容量を大きくして、スイッチング効率を引き上げたという仕組みである。
ただこれは従来型のパッケージでは基板の裏にMIAを配することで対応できたが、Meteor Lakeの場合はCPU/GPU/IO/SoCの各タイルの下にはベースタイルが配される格好になる。
そのベースタイルの下にMIAを仕込むつもりなのか(写真を撮りそこなったが、確かMeteor Lakeのパッケージの裏側は全面ボールだった気がする)、それともベースタルの中に仕込むのか(これは難易度が高そう:厚みがMIA並みになる)、それともFIVRはMeteor Lakeの世代では諦めるのか、このあたりは現状不明なままである。後は製品が出るまでこれ以上細かい情報は出てこなそうである。
デスクトップ向けMeteor Lakeは
LGAのソケットではなくNUCなどの組み込み向け
ちなみにPCWorldのインタビューの中で、Michelle Johnston Holthaus氏(EVP&GM, CCG)が「デスクトップ向けのMeteor Lakeが2024年に出る」(6分33秒付近)と喋ったことでやや騒ぎになったが、これはデスクトップといってもNUCの類の超小型デスクトップの話で、いわゆるLGAのソケット装着タイプの話ではない。
こちらの方は以前KTU氏も触れていたがRaptor Lake-Sのリフレッシュになる予定であり、自作PCユーザーにMeteor Lakeは(Ice LakeやTiger Lake同様)やや縁遠いものになりそうだ。
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