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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第741回

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

2023年10月16日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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動画の再生はSoCコアだけで可能

 一方でSoCコアであるが、内部は少しおもしろい。インターコネクトは2種類あり、NOC(Network On Chip)はキャッシュ・コヒーレントなファブリックで、これはCPUコアとGPUコア、およびSoC内のLP Eコアやメディアエンジン、ISPなどを相互接続している。

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

NOCは、AMDで言えばインフィニティファブリックに相当する部分となる

 このNOCの右端にあるIOC(IOコントローラー)を介して2つ目のIOファブリックが接続されている。こちらはキャッシュ・コヒーレントではなく、かつPCI Expressのプロトコル(論理層のみ:物理層は独自)を介して周辺機器やIOタイルと接続される格好になっている。

 この結果、例えば動画の再生は本当にSoCコアだけでまかなえることになり、コンピュートやグラフィックス、IOの3つのタイルは(極端に言えば)電源を落とすことも可能である。

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

ここではハイライトされてないが、LP EコアもSoCタイル上にあるので、制御などCPUを必要とする場面でもコンピュート・タイルを動かす必要が本当にない

 ちなみにNOCは128GB/秒もの広帯域であり、消費電力的にイマイチと思わなくもないのだが、仮にLPDDR5X-6400をサポートしたとすると帯域は1chあたり51.2GB/秒。2chで100GB/秒に達するわけで、確かにこのくらいの帯域がないと持たないのかもしれない。

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

NOCそのものの帯域を絞って、必要なものはサブチャンネルを用意するという選択肢も検討したものの、スケーラビリティに欠けると判断したそうだ

 また電力管理は、SoCタイルのPUNIT(Power Unit)が全体の管理を行ない、それぞれのタイルに用意されたPMIC(Power Management IC)に制御を送る形で実装されている。

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

おそらくPUNITに指令を出すのはSoC上のLP Eコアになるのだろう

 1つ不明なのは、VRMはどうしたのか? である。インテルはかつてFIVR(Fully Integrated Voltage Regulator)をHaswell世代で導入しつつ、Skylake世代で諦めた。理由は省電力動作時に効率が上がらないからで、ところがIce Lake世代ではMIA(Magnetic Inductor Arrays)を利用する形で再びパッケージ上にVRMを実装している。

 VRMにはインダクター(コイル)が必須で、ところがHaswell~Skylake世代ではチップ上にインダクターを構成しても容量が非常に小さく、VRM内のスイッチング速度を高くできない結果、低負荷時の効率が悪いというのがSkylake世代の問題であり、MIAはインダクターの中に磁石を仕込むことで容量を大きくして、スイッチング効率を引き上げたという仕組みである。

 ただこれは従来型のパッケージでは基板の裏にMIAを配することで対応できたが、Meteor Lakeの場合はCPU/GPU/IO/SoCの各タイルの下にはベースタイルが配される格好になる。

Meteor LakeのGPU性能はRaptor Lakeの2倍 インテル CPUロードマップ

従来型のパッケージでは基板の裏にMIAを配することで対応できた。Hot Chips 33におけるインテルのプレゼンテーションより

 そのベースタイルの下にMIAを仕込むつもりなのか(写真を撮りそこなったが、確かMeteor Lakeのパッケージの裏側は全面ボールだった気がする)、それともベースタルの中に仕込むのか(これは難易度が高そう:厚みがMIA並みになる)、それともFIVRはMeteor Lakeの世代では諦めるのか、このあたりは現状不明なままである。後は製品が出るまでこれ以上細かい情報は出てこなそうである。

デスクトップ向けMeteor Lakeは
LGAのソケットではなくNUCなどの組み込み向け

 ちなみにPCWorldのインタビューの中で、Michelle Johnston Holthaus氏(EVP&GM, CCG)が「デスクトップ向けのMeteor Lakeが2024年に出る」(6分33秒付近)と喋ったことでやや騒ぎになったが、これはデスクトップといってもNUCの類の超小型デスクトップの話で、いわゆるLGAのソケット装着タイプの話ではない。

 こちらの方は以前KTU氏も触れていたがRaptor Lake-Sのリフレッシュになる予定であり、自作PCユーザーにMeteor Lakeは(Ice LakeやTiger Lake同様)やや縁遠いものになりそうだ。

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