課題は日本語を含む他言語対応か
「今動かなければ遅れる」生成AI開発を猛烈に進める、アメリカIT大手の危機感|AIニュースまとめて解説
2023年10月12日 07時00分更新
Meta、チャットAIサービス「Meta AI」発表(9月27日)
9月27日には、米カリフォルニア州・メンローパークにあるMeta本社で、年次開発者会議「Meta Connect 2023」が開催された。筆者も訪れて取材をしている。
Meta Connectは、元々VR/AR関連技術とMeta Quest関連のイベントではあったのだが、今回より、Meta全体に関わるイベントになった印象が強い。今回の柱は3つあり、1つがVR機器の「Meta Quest 3」。次にチャットAIの「Meta AI」、そしてスマートグラスの「Ray-Ban Meta」だ。
生成AIという意味で注目はもちろん「Meta AI」である。
マーク・ザッカーバーグCEOはConnectの基調講演で次のように述べている。
「今年はAIにとって素晴らしい年です。しかし、これは本当に始まりに過ぎない。業界全体を見渡してみれば、ほとんどの人はまだ、LLMやAIの進歩を体験するチャンスに恵まれていない。そこで今日は、最先端のAIを何十億人もの人々が使うアプリに導入する方法について話したい」
確かにこれはその通り。ChatGPTが話題になったとはいえ、日常的に誰もが使っている、というわけではない。
そこでMetaは、Facebook MessengerやWhatsApp、Instagramに生成AIをつなぎこむ。「@Meta AI」とメンションをして書き込むことで、他人との対話の中にAIのチャットを混ぜられる。
チャットAIとともに画像生成AI「Emu」も開発、同様にメッセージングアプリから呼び出しができる。Emuの特徴は「素早い」こと。以下写真の画像の場合でも5秒程度で表示されるという。
MeteはLLMとして「Llama 2」を公開しているが、Meta AIもEmuもLlama 2をベースにしており、さらに独自の機能を追加して実現しているという。
また、Meta AIはキャラクター性を強く重視している。アメリカのセレブリティを「キャラクター役」に指定、それぞれを特定ジャンルの専門家として振る舞う形になっている。これはもちろん、チャットAIに親しみを持ってもらうための施策だ。
キャラクターづけや対話の内容などは、Metaが公開する「AI Studio」というツールを使うことで、企業・個人がカスタム制作可能になるという。
現状英語でテストが始まる段階であり、日本語で利用できる時期は未定だが、他国語化は予定されているそうだ。
さらには、スマートグラス「RayBan Meta」のカメラとマイクを使い、そこから取得した情報をMeta AIと連携させる機能も用意する。これは、スマートグラスをAIの目や耳にする試みであり、非常に面白い。
RayBan Metaは日本での発売予定がないのだが、Meta側にも、「諸事情がクリアーされれば、本モデルもしくは後継機などをアジアマーケットに投入したい」という意向はあるようだ。
AWS上の生成AI基盤「Amazon Bedrock」一般提供を開始。Llama 2が利用可能に(9月29日)
生成AIというとOpenAI・マイクロソフト対Google、的な印象が強く、Amazonの影が薄い。ここまで独自のサービスをあまり展開してこなかったからだろう。
だが実際には、今年の春からAWSが「生成AI開発基盤」としての展開を加速しており、その中核をなすのが「Amazon Bedrock」だ。一般提供開始までの時間は非常に短く、同社が多くのリソースを注いでいると容易に想像がつく。
あくまでも開発側に向けた動きで、ユーザー側にはあまり関係がない。そのため、新聞などでの報道はやはり「OpenAI・マイクロソフト対Google」的な流れが中心かと思うが、Llama 2などのLLMを採用してサービスを構築していく場合、Bedrockは当然重要な選択肢の1つとなる。
年末にAWSは自社イベント「re:Invent」を控えているが、ここでもおそらくBedrockをはじめとしたソリューションが強くアピールされることになるだろう。
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