知財がカギ スタートアップと大企業の共創事業のポイント
「初めての共創ビジネスに効く、スタートアップ・新規事業担当者向け知財セミナー by IP BASE in大阪」レポート
提供: IP BASE/特許庁
特許庁スタートアップ支援班は2023年7月31日、「初めての共創ビジネスに効く、スタートアップ・新規事業担当者向け知財セミナー by IP BASE in大阪」を、NTT西日本の協力のもと、「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」にて開催した。弁理士法人瑛彩知的財産事務所 竹本如洋氏によるスタートアップが知っておきたい知財の基礎に関する講演、NTTコミュニケーションズ株式会社におけるオープンイノベーション活動および知財の取り組みの紹介、登壇者によるパネルディスカッションが実施された。
イベントの冒頭には、NTT西日本から「QUINTBRIDGE」の紹介と、主催である特許庁から同庁のスタートアップ支援施策の紹介が行われた。
「QUINTBRIDGE」は2022年3月に開業。企業からスタートアップ、自治体、大学などが自由に交流し、それぞれの思いやアセットを共有しながら共創を進め、実社会での活用をめざしている。
2023年6月30日時点で、法人会員は873組織、個人会員は1万2206人に上る。連携パートナーも広がっており、他のオープンイノベーション施設やVC、地域金融機関など49組織と連携。開設から15カ月で、ピッチ、セミナー、ワークショップ、交流会などのイベントを477回開催し、延べ利用者数は9万2000人を超えたという。
村山氏は「『QUINTBRIDGE』においてはNTT西日本も共創パートナーの一員であり、大企業、中小企業、スタートアップ、自治体などさまざまな組織の共創を目的としている」と紹介。「会員のみなさんそれぞれがアセット、課題、フィールド、アイデアを持ち寄って、世の中の新たな価値を提供し、社会を前進させる場所。それが『QUINTBRIDGE』です」と締めくくった。
特許庁による「スタートアップ支援施策」の紹介では、特許庁 総務部企画調査課 スタートアップ支援係長の大塚美咲氏が登壇。「知財アクセラレーションプログラム(IPAS)」、知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」、「ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣プログラム(VC-IPAS)」について紹介した。
「VC-IPAS」は、知財専門家をVCに派遣し、キャピタリストと協働してスタートアップを支援する取り組みだ。これまで実施してきたプログラムでは支援できるスタートアップの数に限りがあったため、「VC-IPAS」では、VCを巻き込んで知財支援の輪を広げることを目的としている。2022年度は試行的に実施され、2023年度から派遣先のVCを公募する形で本格的にスタートした。
2022年度の派遣先VCからは「以前から知財の知識を持っていたつもりだったが、実際に専門家と協働することで、知財の専門家を活用するタイミングをつかむことができた。プログラム後も積極的に専門家を活用していきたい」、「派遣された専門家の意見や調査結果により、投資委員会が通りやすくなり、投資実行に至った」、「スタートアップの知財をサポートすることでスタートアップからの信頼が上がった」といった高い評価を得られたという。
また専門家からは「スタートアップが応募する『IPAS』とは異なり、『VC-IPAS』では、知財に関心の薄かったスタートアップにも広く知財に関する支援を届けられるのが良い」、支援先のスタートアップからは「自分たちで専門家を探さなくても、適切な専門家と出会えた」など、専門家やスタートアップからも好意的な感想が多かったそうだ。
なお、2023年度の派遣先の公募は6月21日に締め切られており、9月からVCへの派遣がスタートしている。