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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第97回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 8月19日~8月25日

ChatGPTを積極利用する企業像、データセンター建設投資がクラウド特需で急増、ITエンジニアの英語レベル、ほか

2023年08月28日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年8月19日~8月25日)は、急増する国内データセンター建設投資額、「ChatGPT」の利用動向、ランサムウェア攻撃の地域別/業種別動向、音声認識などのボイスボット市場の成長、ITエンジニアと英語学習についてのデータを紹介します。

■[データセンター]クラウド利用増を受け、2023年の国内データセンター建設投資は前年比16%増の3222億円を予想(8月22日、IDC Japan)
・データセンター建設投資は2023年3222億円、前年比16%増
・2024年から2027年まで年5000億円規模の投資継続を予想
・建設業界の人手不足、原材料高騰など建設コスト増も影響

 データセンターの建物/電気設備/冷却システムなどの新設・増設にかかる投資額の調査。この市場は2023年、前年比16.4%増加し3222億円を見込む。さらに2024年は2023年比1.55倍となり5000億円を上回ると予想、その後も2027年まで毎年5000億円以上の投資規模が続くと見ている。背景には、クラウドサービス向けのハイパースケールデータセンターの増設特需が東京/大阪で拡大していることがあるという。また建設業界の人手不足、世界的なインフレ、原材料の価格上昇により、建設コストが高騰していることも投資額を増大させる要因としている。

国内の事業者データセンター新設/増設投資の予測(2022年は実績値)(出典:IDC Japan)

■[生成AI][生産性]「ChatGPT」活用するのはベンチャー/大企業、男性、管理職、用途は文書作成関係が最多(リスクモンスター、8月23日)
・3人に2人が「ChatGPTを知っている」、実際の利用者は14%
・利用に積極的なのはベンチャー(「使用中」33%)と大企業(同20%)
・役職別では一般社員より管理職(33%)が使用中

 20歳~69歳のビジネスパーソン1000人を対象に2023年5月、対話型AI(ChatGPT)の使用について調べた調査より。65.5%がChatGPTを知っていたが、「実際に使っている」人は14.9%、「使用予定」は15.9%と、合計でも30.8%にとどまった。ChatGPT認知者における利用者比率も22.7%で「低水準」としている。利用用途は「文章の生成/添削/構成/要約」が最多(34.9%)。「システム構築・プログラミング」については、「活用できている」人が最も多かった(46.2%)一方で、「うまく活用できず、今後は使用しない予定」人も最多の19.2%となった。

ChatGPTの使用状況(出典:リスクモンスター)

ChatGPTの用途。文書作成関係で使う人が多いが、まだ業務上ではなくプライベートで使用している比率の方が高い(出典:リスクモンスター)

■[セキュリティ]2023年第2四半期のランサムウェア攻撃は国内で前年比25%増、グローバルは9%減(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、8月22日)
・2023年第2四半期、国内ランサムウェア攻撃は前年同期比25%増、1件/62組織
・グローバル平均は1件/44組織で前年同期比9%マイナス
・業界別では「政府/軍事」(1件/25件)、「ヘルスケア」(1件/27件)が上位、増加率トップは「コンサルタント」(128%増)

 同社の脅威インテリジェンス、チェック・ポイント・リサーチ調べ。2023年第2四半期(4~6月)、国内のランサムウェア攻撃は前年同時期比25%増となった。グローバルはマイナス9%、APAC平均は29%増。1週間あたりランサムウェアの影響を受ける組織の割合は、日本は62組織につき1件で、北米(1件/94組織)よりも多い結果となった。最も多かったのはアフリカで1件/30組織。業界別トップは「政府/軍事」(1件/25件、前年同期比4%減)、ほかには「ヘルスケア」(1件/27件、同16%増)など。

2023年第2四半期、地域別ランサムウェア攻撃状況、日本は世界平均よりは比率が低いものの、前年同期比では25%の増加(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

グローバルの業界別ランサムウェア攻撃状況(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

■[AI]2022年のボイスボット市場は19億円で前年度比49%増、2023年は同65%増を予想(アイ・ティ・アール、8月22日)
・2022年、国内ボイスボット市場は前年度比49%増の19億円
・大企業での大口案件が伸びを牽引、2023年は同65%増を予想
・2022年~27年までCAGR35%増で成長、2027年には88億円規模を予想

 音声認識や自然言語解析技術を活用するボイスボット市場は2022年、前年度比49.6%増の19億円となった。音声認識、自然言語処理などの技術の進化により品質が改善していることもあって、大企業を中心に導入が進んでいるという。2023年には前年度比65.8%増と、2022年度を上回る伸びを見込む。この市場は2022~27年度のCAGRを35.9%と予想、2027年度は88億円に達する見込みという。

ボイスボット市場は、大企業が牽引し、2027年には2022年の4倍以上になる予想だ(出典:ITR)

■[エンジニア][学び]ITエンジニアの89%が英語を使う機会が増えると予想、現在の英語レベルは「挨拶・自己紹介」が33%(ビズメイツ、8月22日)
・英語を使う頻度が増えたITエンジニアの82%が英語を学習中
・学習方法は「英語学習アプリ」(66%)「オンライン英会話」(53%)など
・89%が「ITエンジニアが英語を使う機会が増える」と予想

 過去3年で業務で英語を使う頻度が増加したと感じているITエンジニア/マネージャー108名を対象にした調査。業務で英語を使う場面は「コミュニケーション」(63.9%)「プレゼン」(50.9%)「コーディングやプログラミング作業」(50%)など。89.8%が、今後ITエンジニアが英語を使う機会が増えると回答した。94.4%が、エンジニアが英語を学ぶことはキャリア形成につながると回答。英語学習者で困っていることは、「仕事に関連する専門用語を覚えること」(51.7%)、「時間の確保」(50.6%)、「モチベーションの維持」(46%)などが挙がった。

ITエンジニア・マネージャーの英語レベルは「あいさつや自己紹介」が最多の33.3%(出典:ビズメイツ)

英語学習法はアプリが最多の66.3%(出典:ビズメイツ)

ITエンジニアが英語を使う機会が増えると思う理由(出典:ビズメイツ)

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