モノクロイメージのホーム画面が「クール!」だが……
Nothing Phoneは従来のスマホとは異なるモノクロ&シンプルのアプローチだということは、パッケージングやプロダクトを見れば誰でも理解できるだろう。加えてそのアプローチを支援するイメージのアイコンや壁紙も、同様のコンセプトで製作されている。
筆者も初めてモノクロイメージのホーム画面を見たときは、つい「クールだ!」と思ってしまった。ミーハーな筆者は時間の経つのも忘れて、深夜まで壁紙選びとクール(素っ気ない)なアイコン選びに明け暮れてしまった。特に時間の大半を使ったのは、そのシンプルなモノクロ系のアイコン選びだった。
設定のアイコンパックページでアイコンのカラー、デザインを自由に選ぶことができるがすでに世界中でカラフルなデザインが溢れて15年ほど経つので、そうやすやすとNothing Phoneの思うようにはいかない
設定メニューの中の「カスタマイズ」に続いて「アイコンパック」を選択することで、4つのパターンのアイコンデザインを選ぶことができる。パターンは「デフォルト」「Nothing」「カラー」、ウェブで140円で別売している「Nothing Iconpack」をアプライしたもう一つの「Nothing」の合計4種類だ。
まずデフォルトは、普通のAndroidスマホのイメージ。続く最初の「Nothing」はNothing Technologyの提供する、アプリ以外の世界中の誰もが使うアプリであるマップやKeep、Playストアなどのアイコンをモノクロ化したモノが表示される。そして3番目の「カラー」はNothingの規定したアイコンの背景がユーザーの好みのカラーに設定できるタイプだ。
そして最後の「Nothing」は、よりシンプルなドットピクセルの集合イメージで表現されたアイコンとして表示される。この辺りのアイコンの賛否はユーザーによるだろうが、背景のモノクロ壁紙や色数の少ないオフカラーの壁紙には、極めてマッチしそうなのは簡単に想像できる。
ただここで、日本人なら納得できない大きな課題に遭遇する。日本ではメジャーなアプリでも、SBCS圏(Single Byte Character Set)である欧米では不要でメジャーでもなくその存在も知られていないアプリである「PayPay」や「乗換案内」「ヨドバシ」「楽天」などのアイコンは、ことごとく何も手を加えられないままスルーで表示されてしまう。
技術系が得意な人なら、すべてのアイコンをモノクロ化するとかの対処ができるかもしれないが、まああくまでその場しのぎだ。そしてNothing Phoneも他のスマホと同様、よりその「Simplify効果」を強調するためにアプリアイコンの縦横配列数を変更したり、加えてアプリラベル(名前)をオンオフできる。どうもNothing Phoneは、シンプル化に極めて注力しているスマホだと分かる。
従来のハード一辺倒のスマホに比較して、そのチャレンジ精神やアプローチ努力からモノクロ化の素晴らしさと格好良さは日本人の筆者にも十分伝わるのだが、残念なのは我々日本人にはそのアプローチは響いても、その効果を製品企画側の人間と同じように感じることが難しいことだ。
Nothing Phoneを発想した人達と同じ立ち位置に立って使うには、この際はまず日本人であることを忘れ、使用言語=英語、使用国=日本で英語版スマホの世界にドップリと浸かって体感してみるのが近道だ。もちろんカラフルなアイコンが特徴の国内アプリはホーム画面から一掃するか、別ページに置いたフォルダの中に押し込むことだ。
結局のところ筆者は、まだ今もNothing UIとAndroidスマホ・デフォルトUIの間を行ったり来たりして悩んでいる。次回は、Nothing Phone (2)の素晴らしい接写機能やダウングレードと感じたウォーターマーク(スタンプ)機能の変更、Glyphネオンサイン、バッテリー共有、FeliCa欠落の現実などを考えていく予定だ。

今回の衝動買い
・アイテム:Nothing「Nothing Phone (2)」256GB Whiteモデル
・購入:ヨドバシ.com
・価格:9万9800円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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