〈中小企業の経営に関する実態調査 第2弾〉中小企業経営者の8割以上がDX・GX人材の採用・育成活動に取り組めていないと判明 明確な人物像を描けているのは1割程度!
フォーバル GDXリサーチ研究所
DXの取り組みレベルがステップ3の企業は、約9:1でビジョンがある企業が多いのに対し、DXに取り組めていない企業は、約2:8で経営ビジョンがない企業の方が多いという結果に 経営ビジョンの明確化が鍵!
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバルGDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業の経営者645人に「中小企業の経営に関する実態調査」を実施しました。
ゼロゼロ融資の返済開始によって、多くの中小企業が倒産し、健全経営を行えていない企業が多かったということが明らかになりました。健全経営を行うためには、DX推進による可視化経営を実現し、正確な経営状況を知った上で最適な意思決定を行う必要があります。また、環境省は『中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック』において、1.優位性の構築 2.光熱費・燃料費の低減 3.知名度や認知度の向上 4.社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化 5.資金調達力の強化がGXに取り組んだ際のメリットと挙げており、中小企業経営者にはDXとGXを推進する意義があります。
しかし、中小企業の場合、DX人材・GX人材が社内におらず、推進ができないというケースが多いです。そういった背景から、今回は中小企業のDX・GXへの取り組みに対する意欲と進捗度、推進に必要なDX人材・GX人材への理解度に関する実態を調査いたしました。
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2023年6月12日~7月11日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :645人
1.DXは71.3%、GXは54.7%の中小企業経営者が取り組み度を上げたいと回答!
しかし、専門人材の育成・採用に関して、
DX人材は82.6%、GX人材は92.6%が十分にできていないと回答し、
DX・GX人材が不足している状況が明らかに
Q1. DX・GXの取り組みレベルを今より上げたいと思いますか。
中小企業経営者に、DXの取り組みレベルを今より上げたいと思うかと聞いたところ、71.3%が「はい」と回答しました。また、GXに関しては54.7%が「はい」と回答。 大半の中小企業経営者がDX・GXを積極的に経営に取り組もうとしていることが判明しました。
Q2. DX人材・GX人材の採用や育成を進めていくための活動はできていますか。
DXやGXを進めていく上で必須の人材の採用や育成の活動はできているか聞いたところ、DX人材に関しては、「全くできていない」、「あまりできていない」を合わせて82.6%が「できていない」と回答。また、GX人材に関しては、「全くできていない」、「あまりできていない」を合わせて92.6%が「できていない」と回答しており、DX・GXの取り組みレベルを上げたいと思っているにも関わらず、その人材を採用・育成できていないという結果となりました。中小企業の多くで、DX・GX人材が不足している状況と推察されます。
では、必要なDX人材・GX人材の人物像はどのように描いている経営者が多いのでしょうか。
2.DX・GX人材の明確な人物像を描けているのは1割程度
人物像の描き方1位は「不足しているスキルの補填」
DXの取り組みレベルがステップ3の企業は、約9:1でビジョンがある企業が多いのに対し、
DXに取り組めていない企業は、約2:8で経営ビジョンがない企業の方が多いという結果に
経営ビジョンの明確化が、DX・GXの推進度を上げる鍵に
Q3.DX人材・GX人材について、明確な人物像は描けていますか。
DX人材・GX人材の採用や育成について、できていないという中小企業が多いと分かりましたが、経営者はどの程度、自社に必要な人物像を描けているのでしょうか。
今回の調査では、必要な人物像を「十分に描けている」と回答したのは、 DX人材に関してはわずか10.8%、GX人材に関してはさらに少なく4.3%という結果となりました。人物像のイメージが不十分なまま、採用・育成を進めてしまっている企業が多いと推察されます。
Q4.DX人材とGX人材について、明確な人物像はどのようにして描きましたか。
では、DX・GXに必要な人物像はどのように描いている経営者が多いのでしょうか。DX人材・GX人材の明確な人物像の描き方について聞いたところ、いずれも「不足しているスキルの補填」が1位となり、「経営ビジョンからの逆算」、「現場からの意見を聞いて」も上位に挙がりました。以上のことから、 DX人材・GX人材の採用・育成の際には、自社に不足しているスキルの補填を行える人材であることが重視されていると分かります。
しかし、自社に不足しているスキルの補填を行えるという観点のみで進めると、短期的な課題解決のみに収まってしまい、中長期的な会社の目標に対し貢献できない可能性もあります。そのため、経営ビジョンから逆算し、中長期的に企業に貢献する真に必要な人材の人物像を設定する必要があります。
Q5.経営ビジョンを持っていますか?また、DXへの取り組みレベルはどの程度進んでいますか。
DX人材・GX人材の採用・育成には、経営ビジョンの逆算が必須ですが、経営ビジョンを描けているかでDX推進度、GX推進度に差はあるのでしょうか。
中小企業経営者に経営ビジョンの有無について聞いたところ、DXの取り組みレベルがステップ3という企業のうち、ビジョンがある企業とない企業の割合は、87.5%:12.5%と約9:1であるのに対し、DXに取り組めていない企業のうち、ビジョンがある企業とない企業の割合は24.4%:75.6%と約2:8となりました。また、GXに関しては、 ビジョンがある企業とない企業の割合は、75.0%:25.0%と約8:3であるのに対し、GXに取り組めていないいない企業のうち、ビジョンがある企業とない企業の割合は36.8%:63.2%と約4:6となりました。DX、GXとも推進度が進むほど、ビジョンがある企業の割合が多くなるという結果となり、DX、GXを進めるにはビジョンが明確化されていることが重要と推察されます。
中小企業の倒産が相次ぐ中、健全経営には経営ビジョンの策定がマストであり、DX・GXの推進もそこから逆算したものであるべきです。DX・GXをやること自体が目的化しないよう、まずは経営ビジョンを明確化することが必要です。
また、DXを推進することで、可視化経営ができるようになり、経営ビジョンも立てやすくなるため、収支状況のデータ化などできることから始めることも重要です。DX・GXを上手く取り入れ、健全経営を目指しましょう。
【有識者のコメント】中小企業のDX推進について
フォーバルGDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
■本調査リリースについてコメント
時間と費用の制約、さらには具体的なスキル定義の欠如といった複合的な要因によって、中小企業の多くがDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の推進に苦戦しているという現実が最新の調査で明らかになりました。こうした現状を打開するための戦略として、企業は自分たちが目指すべき未来を明記した経営ビジョンを策定し、その目標に合致する人材育成に注力すべきだと示唆されています。企業が自社のビジョンに向かってDX/GXを進めていく上で、必要とする具体的なスキルセットを定義し、それをもとに適切な人材を育成することが含まれます。調査から明らかになったことは、自社の経営ビジョンが鮮明な企業ほど、DX/GXによる変革の推進が積極的で、その取り組みもより進展しているということです。これは経営ビジョンと人材開発が、企業のDX/GX取り組みの成功にとって欠かせない要素であることを強調しています。したがって、ビジョンの達成に向けて全社員が一丸となり、DXやGXを進めることと、環境変化を読み取る経営ビジョンの構築に取り組むことが、企業の持続的な成長にとって不可欠であると強く提言されています。
■フォーバルGDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。