自然災害に備えて、食用や持ち出し袋などは日頃から点検、準備をしておきたいものです。なかでもストックに欠かせないのは「水」ではないでしょうか。
ところが、量販店で大容量の水を眺めていると、価格の差があることに気がつきます。お財布事情を考えると同じ容量ならば一番手頃なものを買いたいところですが、安くてもおいしくない水だと、いざ飲む時に残念な気持ちになってしまいます。
そこで、価格における水の“味の差”を確かめたくて、何本か大容量の天然水(ミネラルウォーター)を購入してみました。
天然水は価格で「味の差」はあるのか? 飲み比べた
飲み比べたのはコチラ。
・matsukiyo 天然水 2L(81円)
・サントリー 天然水 2L(102円)
・コントレックス 1.5L(257円)
薬局のマツモトキヨシでは、自社の「matsukiyo」ブランドの天然水が一番安い価格で売られていました。他にもコカ・コーラ社の「い・ろ・は・す」(2L)も並んでいましたが、サントリーの天然水と同価格帯であったため、価格差での味の違いを比較したかったので天然水国内トップシェアのサントリーのみを買いました。
コントレックスはフランスから輸入した天然水であるため、価格が群を抜いて高いです。他にも、天然水の種類は豊富にありますが、今回はこの3つをチョイス。ストックした時のことを想定して、あえて常温で飲んでみます。
まずは一番リーズナブルに購入できたmatsukiyoブランドの天然水。飲んでみて、うん。おいしい。富士の名水と書かれているため、ミネラルも豊富なのでしょう。若干、ミネラル感のある“深み”というか、水の味の濃さを感じます。
次にサントリーの天然水。こちらは南アルプスの天然水ですね。トップブランドであるため、馴染みがありますが、あらためて飲むとどうでしょうか。
飲んでみると、うん、おいしい……! matsukiyoの天然水とまったく同じ感想になってしまいました。やはり水だし、口に含んだ印象はほとんど差がありません。
ですが、真剣に飲み比べてみると、にわかに味の差があることに気がつきます。matsukiyoブランドの水が、にわかに鉄のような苦みを感じたのに対して、サントリーの天然水は最後までまろやか。非常に飲みやすいなと感じました。
最後に、コントレックス。こちらは“超硬水”として知られています。硬水とは、カルシウムやマグネシウムの含有量が豊富である水。日本の水は基本的に軟水のため、硬水はほとんど輸入のものです。
飲んでみると、明確に違います。水がまろみがあって力強いのですが、だからこそゴクゴクとは飲みづらいのです。カルシウムやマグネシウムが豊富なため、指名で硬水を買う人も多いようですが、飲みなれてないと日常遣いには向いてなさそう。
「おいしい」「おいしくない」は明確ではありませんが、味の差があることはわかってきました。
味を分析する専門家にきいてみた
12万件超の味覚データベースを保有し、食の嗜好性診断サービス「コレスキ」などを提供する味香り戦略研究所の早坂浩史さんに、おいしいと感じる水のポイントをお尋ねしてみました。
以下、いただいたコメントです。
ーーー
天然水の味について、例えば、以下のような要素があります。
ミネラルが多い⇒苦味・塩味を感じる
温度が高い⇒クリア感の減少
塩素が多い⇒カルキ臭がする
鉱物成分(SiOなど)が多い⇒ヌルっと感じる
このように考えると、成分の「〇〇が多い」「●●が高い」で表現される水は、飲まれた時に少し異質な印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。
通常暑い環境で喉が渇いた場合、食中の飲用など必要な条件は、クセの強くない、あまり味の妨げにならない水が“好まれる”=“おいしく”感じることが多いと考えられます。
ただし、おいしい、おいしくないは、主観によるところが大きいです。
(味香り戦略研究所 早坂浩史氏)
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なるほど、私は勝手に「ミネラルが多いとおいしそう」とイメージをもっていましたが、ミネラルが多いと“苦味、塩味”を感じるようです。また、飲む温度も関連するので、今回は常温で飲みましたが、キリッと冷やして飲むと違う印象をもつかもしれません。
つまりは、“飲みやすさ”という点を重視するならば「ミネラルが多い」などと大きくうたっていないもののほうが飲みやすい可能性があります。そういった目線で水の売り場を見てみてはいかがでしょうか?
今回、分かったことはコチラ。
■価格による味の差「おいしい/おいしくない」は明確ではない
■ただし天然水の種類によって味の差はある
■飲みやすさを重視するなら、成分の「〇〇が多い」「●●が高い」など書かれている水は避けた方が無難かも
ガチな天然水飲み比べ結果があった!
味香り戦略研究所は、2022年11月に各社の天然水の味わいと、水が及ぼす料理などへの影響について味覚分析した結果を発表しています。
調査レポート→[《分析発表》コロナ禍でも売れ続けた「水」の “おいしさ”をビッグデータで解明 ?「水」でこんなに変わる、いつもの食卓? コシヒカリ6産地を味比べ&検証「水と鍋」の相性]
調査では、各メーカーの天然水を味覚分析して、「飲みごたえ」と「ミネラル感」のバランスをチャートで示しています。
大手ブランドはだいたい真ん中あたりに位置しているんですね。コンビニ各社が出しているプライベートブランドの水はものによっては個性があるようです。
紅茶を抽出した時の味覚分析などもされています。水によって紅茶の色みからずいぶん違うようです。単純においしい、おいしくないではなく、水質によって適した用途があるのではないかと気が付かされました。水のストックを買う時の参考に覗いてみるとおもしろそうです。
一部修正しました(8月10日)
ナベコ
酒好きライター、編集者。酒活動しています。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に参戦するなど。ホットカーペットが気持ちよすぎて床で寝おちして朝陽で気が付く日々。せっかく年始におろしたパジャマを着ないと……。
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