6月7~9日までシンガポールで開催された通信関連の展示会「CommunicAsia 2023」を取材しました。スマートフォンや5G関連、そしてメタバースに絡みそうなちょっと興味深い展示を紹介します。
数は少ないがスマホや
ゲーミングデバイスの展示もあり
モデムモジュールを展開するQuectelブースには、ゲーミングPCメーカーのRazerがアメリカなどで販売中のモバイルゲームデバイス「Razer Edge 5G」が展示されいていました。Razer Edgeは6.8型ディスプレーにSnapdragon G3x Gen 1を搭載するモデルで、アメリカでは5Gモデルも販売しています。Wi-FiモデルにQuectelの5Gモデムカードを組み込んで5Gに対応させているとのこと。
中国で5Gデバイスも手掛けているTD-Techは、今年2月の「MWC Barcelona 2023」同様、エンタープライズ向け5Gスマートフォン「V900」を展示していました。パッケージの展示もあり、間もなく発売されるとのこと。TD-Techはファーウェイとノキアの合弁企業だったこともあり、ファーウェイの4Gスマートフォンを5G化し自社ブランド品として販売していますが、V900はTD-Tech開発のオリジナルモデルです。
5G CPEの展示が目立つ
業務用など広く使われる
スマートフォンの展示はこれくらいで、それよりも多数目立っていたのが5GのCPE、モバイル回線を使った固定ルーターです。ドコモの「home 5G」などで使われているものですね。5GのCPEは通信速度が高速になったことで、家庭のみならずオフィスなどでの利用が広がっているほか、産業用途として工場向けの製品なども多数出てきています。
CPEは円柱型の製品が多いのですが、Wi-Fi性能を高めたモデルは高速Wi-Fiルーターのようにアンテナを目立つように立てたモデルも。いずれCPEもこのデザインの製品が増えていくかもしれません。
Wi-Fi 7のルーターも多く見かけましたが、次のトレンドは5G CPEへのWi-Fi 7搭載でしょう。CPEやルーターを展示しているブースで話を聞くと、両規格を搭載した製品の投入は今年後半に計画している、というところが多くありました。
韓国はメタバースがらみの
小型ホログラムボックスを展示
さてメタバース絡みと言えそうな製品を韓国企業が出していました。ATECH NETの「Hello Gram」はスマートフォンを使って投影させる小型のホログラムボックスです。
使い方はスマートフォンに専用アプリをインストールして、Hello Gramの本体上部にセットします。そのアプリからホログラム表示したいグラフィックなどを選択すれば、Hello Gramの透明ディスプレー部分に疑似立体的に表示されます。用途としては、NFTアートを立体表示させて机の上などに展示しておく、といった使い方がありそう。
現在はスマートフォンサイズのモデルが韓国で販売中で、さらに大型のタブレットサイズのものも販売予定とのこと。透明ディスプレーの裏側に別のタブレットを置いてそこに背景を表示すれば、より立体的なホログラムのような表示もできます。将来はVtuberの動画表示やビデオ通話時に相手のアバターを3D表示させて会話を楽しむ、なんて使い方もできそうです。日本での販売も予定しているようなので楽しみに待ちましょう。
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