このページの本文へ

5分で解説! あなたとスマホは狙われている 第84回

対策は、内容に驚いて慌てて文中リンクをタップしないこと

1年で偽Webサイトによる詐欺が90万件以上! フィッシング詐欺の現状を知っておこう

2023年07月11日 07時00分更新

文● せきゅラボ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

フィッシング詐欺は、報告された数だけでも年間100万件ペースに増加している

・ここ数年、フィッシング詐欺が急増。あなたが驚いて急いでアクセスしてしまうような内容のメールやSMSを送り付け、偽のWebサイトに誘導し、個人情報を騙し取る手口。
・金銭目的がほとんどなので、通販や銀行、クレジットカード会社など、おカネにまつわる企業・団体を騙ることが大半。最近では官公庁を装うことも。
・対策は、驚くような文面を見ても慌てないこと。自分で検索した公式サイトを訪問して、同様の告知がないか確認してみましょう。見当たらないなら、送られてきたメールは偽物です。

フィッシング詐欺は年々増加中!

 実在する企業・団体などを装って驚かせたり、不安にさせたりする内容のメールやSMSを送り付けることで、受信者を本物そっくりの偽Webサイトに誘導し、クレジットカード情報をはじめとする個人情報を入力させて盗み取る……。

 こうした詐欺は、被害者を騙して釣り上げることから「フィッシング詐欺」と呼ばれ、ここ数年は右肩上がりで増加しています。おそらく、あなたのもとにも届いたことがあるでしょう。

 フィッシング詐欺に関する情報を収集・分析しているフィッシング対策協議会が発表した「フィッシングレポート2023」によると、同協議会に届けられたフィッシング詐欺の報告は2019年の時点では10万件未満でしたが、2020年には4倍の約22万件に増加。そして2021年には50万件を超えました。

 さらに2022年は上半期だけで約45万件、下半期に至っては50万件超の届け出があった模様です。わずか半年で前年の総件数に達しており、その勢いは留まるところを知りません。直近の2023年5月は、たったひと月で11万件を超えています。

 悪意ある人たちは、フィッシング詐欺で得た銀行口座の情報をもとに現金を不正に引き出したり、偽Webサイトにプリペイドカードの番号を入力させてその額面の金額を騙し取ったりすることで金銭を得ようとします。

 警察庁の発表(2023年4月)では、2022年度におけるインターネットバンキングの不正送金の被害は、都内での発生件数1111件、被害額はおよそ14億8083万円にも上ります。

通販、銀行、官公庁……フィッシング詐欺はあなたとおカネを結ぶ組織を装う

 フィッシング詐欺は主に金銭を目的としていますから、悪意ある人たちはおカネにまつわる企業・団体を装うことがほとんどです。

 実際、フィッシング対策協議会に届けられた報告のうち、およそ半数が通販サイト系を装っています。なぜなら通販サイトにはクレジットカード情報を預けている場合が多いため、偽Webサイトでそうした項目を入力させても不審に思われにくいからです。

 また、銀行やクレジットカード会社を騙って、「不正アクセスが疑われるため口座(サービス)を一時停止します」などと私たちがビックリするような文面を送り付け、個人確認と称して現金を不正に引き出すための情報を入力させようとする手口もポピュラーです。

 さらに最近では、国税庁や総務省といった官公庁を装い、税金未納だと偽って金銭を騙し取ろうとするフィッシング詐欺が目に見えて増加しています。官公庁から届いたと思しきSMSをタップすると、いきなり督促状などと書かれた偽Webサイトに飛ばされるわけですから、慌ててしまう人も多いでしょう。

 こうしたフィッシング詐欺は、あなたを驚かせて正常な判断力を失わせるために、わざと過激な文面を送り付けてきます。ですから騙されないためは、慌てて行動を起こさないことが唯一の対策になります。

 また、常識的に考えて、広くサービスを提供している企業・団体、または官公庁が、むやみに慌てさせる、もしくは半ば脅すような内容を消費者に送信することは不自然です。

 たとえ「緊急」などと書かれていても、一分一秒を争うわけではありませんから、まずは落ち着きましょう。次に、自身で検索した、もしくはブックマークしてある該当サービスの公式サイトを訪問し、送られてきたメールやSMSに記載されている内容が告知されているか確認しましょう。

 あなたが驚くような内容なのですから、公式サイトでも同様に告知されていてしかるべき重大事です。もし見つからないのであれば、送られてきたメールやSMSは偽物と判断して良いでしょう。それでも不安に思うなら、公式サイトから問い合わせすることをおすすめします。

カテゴリートップへ

この連載の記事