このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第90回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月1日~7月8日

変わる情シス子会社の位置付け、クレカ会社のDMARC導入率、ChatGPTの業務利用は、ほか

2023年07月10日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年7月1日~7月8日)は、国内企業におけるChatGPTの業務利用動向、気候変動と企業行動に対する親の意識、情シス子会社の課題、クレカ会社のフィッシング詐欺対策、国内モバイル通信サービス市場についてのデータを紹介します。

■[生成AI]「ChatGPT」を業務利用する人は48%、41%が勤務先が利用に前向き(Chatwork、7月5日)
・「ChatGPT」 のプライベートでの利用は48%、ビジネスでの利用は41%
・用途は「情報検索」(31%)、「原稿作成」(30%)、「アイディア出し」(25%)
・勤務先が「ChatGPTの業務利用に前向き」は41%、「検討なし」は21%

 Chatworkが自社ビジネスチャット有料ユーザー1604人を対象に、「ChatGPT」について6月に行った調査より。「ChatGPTを知っている」人は90.2%にのぼり、プライベートでは48.8%が、業務では41.6%が利用経験があると回答した。用途は「情報検索」(31.4%)、「原稿作成」(30.7%)、「アイディア出し」(25.7%)が上位3つ。勤務先がChatGPTの利用に前向きかどうかについて、「すでに利用している」(18%)と「利用検討中」(23.7%)を合わせた41.7%が前向きであることがわかった。

業務でChatGPTを利用している人に用途を尋ねたところ、「情報検索」「原稿作成」「アイディア出し」などが多く挙がった(出典:Chatwork)

勤務先のChatGPTの業務利用についての意識。41%が前向きな一方で、「利用は検討していない」も21%あった(出典:Chatwork)

■[持続性][ESG]51%の親が「企業は気候変動対策に大きな行動責任」(日本HP、7月6日)
・64%の親は持続可能な方法で調達された製品を好む
・環境・社会問題の取り組みに基づいて勤務先を再検討した親は64%
・51%の親が、「企業は気候変動対策に大きな行動責任がある」

 22回目となる同社の「2022サステナブルインパクトレポート」より。米、英、インド、メキシコ、シンガポールの5カ国(日本は含まない)では、91%の親が気候変動に懸念を抱いており、53%が「気候変動が子供を増やすかどうかの考えに影響を与えている」と回答した。また43%は企業の環境・社会問題の取り組みに基づいて勤務先を再検討した。60%の親が「企業の持続可能な取り組みが自身の購買行動に影響を及ぼす」、また51%が「気候変動対策に企業は大きな行動責任がある」と述べている。

■[情シス][ビジネス]情シス子会社と親会社、共に課題は「人手不足」、情シス子会社の形態に変化も(IDC Japan、7月6日)
・親会社、情シス子会社ともに、ナンバー1の課題は「人材不足」
・「親会社ビジネスへの対応能力」は親会社は2番目、子会社と認識の差
・情シス子会社を本社吸収、新たにデジタル専業子会社設立など変化の時代

 国内の情報システム子会社の現状について、その親会社とともに調べた。情シス子会社、親会社ともに最大の課題は「人材不足」だが、回答率は子会社が親会社を上回った。また、「親会社ビジネスへの対応能力」については、親会社は2番目に多い回答となったが、子会社は課題に挙げる人が少ないことから、サービスを提供する側と受ける側で認識が異なることがわかった。大手企業が1990年代に設立した情シス子会社の役割が変わりつつあり、本社に吸収合併して新たにデジタルビジネスの子会社を設立したり、親会社や事業部門と共にワーキンググループを作るなど、形態が変化しつつあるという。

情シス子会社の課題について、親会社(緑色)、子会社(青色)の双方の視点から聞いた。共に課題のトップは「人材不足」。2番目の課題としては、親会社は「新たな業務領域への拡大意欲」、子会社は「本社への提案能力不足」を挙げた(出典:IDC Japan)

■[セキュリティ]クレカ関連のフィッシング急増、だがクレカ会社のDMARC導入は22%(日本プルーフポイント、7月4日)
・DMARCを導入している日本のクレジットカード会社は22%
・78%が自社ドメインになりすます詐欺メールの可視化ができていない
・詐欺メールの配送を積極的に抑止する「Reject(拒否)」「Quarantine(隔離)」ポリシー採用は8%

 経済産業省登録のクレジットカード会社約250ドメインについて、なりすましメール詐欺の対策などについて聞いた。クレジットカード情報の不正利用につながるおそれがあるフィッシング攻撃が増加しており、政府は送信ドメイン認証技術(DMARC)導入などの対策強化を要請している。調査の結果、DMARCを導入しているクレカ企業は22%。ただし、自社になりすましたメールの配送を「Reject(拒否)」する厳格なポリシーを採用する会社はわずか5%だった。

DMARCはDNSにレコードを追加することで、自社ドメインになりすまして送る詐欺メールを防ぐことができる仕組み。欧米では業種により導入が義務化されている(出典:日本プルーフポイント)

■[モバイル]モバイル通信サービス市場は前年比1%減、5Gは同108%増で2027年には全回線の50%と予想(IDC Japan、7月3日)
・2022年国内モバイル通信サービスのエンドユーザー支出額は6.7兆円、前年比1%減
・5G回線数は前年比108%増
・法人向けWANサービスはイーサネット専用線(前年比2%増)とL3ベストエフォート型WAN(同1%増)が牽引

 2022年国内モバイル通信サービスのエンドユーザー支出額は、前年比1.4%マイナスの6兆7710億円となった。同市場は2022年~27年まで年間平均成長率(CAGR)0.2%で成長し、2027年は6兆8500億円を見込む。5G回線数は前年比108.6%で成長しており、2025年には5Gが全回線数の50%を占めると予想する。法人向けは、イーサネット専用線とL3ベストエフォート型WANが好調で、2022年の成長率はそれぞれ前年比2.9%増、同1.7%増。今後も、帯域確保型より安価なベストエフォート型を中心に市場拡大が継続すると予想している。

国内モバイル通信サービス市場の支出額予測。2022年は実績値、2023年以降は予測値(出典:IDC Japan)

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード