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DXの伝道師が県内企業に勧めるLINE WORKS まずは部内で実践

県内外とつながるコミュニティで活用 長崎県企画部がLINE WORKSとの1年を振り返る

2023年07月14日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 県内のDXを推進する長崎県企画部は2022年にワークスモバイルジャパンと連携協定を締結し、LINE WORKSの活用を進めてきた。今回は、長崎県企画部の三上建治氏にLINE WORKSの導入についてインタビュー。県内外とつながるコミュニティでの活用や中小企業でのDXのきっかけとしてのLINE WORKSのメリットについて聞いた。

県内外とつながるコミュニティで活用 長崎県企画部がLINE WORKSとの1年を振り返る

長崎県 企画部 三上建治氏

DXの宣教師が訴える強い組織に必要な情報共有

 今回お話を聞いた三上建治氏は、経産省や内閣府、JETROなど政府の技術、研究開発、イノベーション政策などに関連する業務を歴任し、2019年から長崎県 企画部/産業労働部 政策監(デジタル戦略の担当部長)として長崎県のDXをリードしてきた。いわばDXの宣教師だ。

 DXの宣教師という言い方は伊達ではない。三上氏が回ったのは、県内の21市町村や県内の大学、県警本部や金融機関などで、テーマもSociety 5.0やAI、IoT、VR/AR、空飛ぶクルマ、カーボンニュートラル、情報セキュリティなど幅広い。「市町村向けのDXセミナーには、首長は参加必須にしてもらいました。というのも、DXは経営改革だからです。最近のトレンドを説明しつつ、最後は強い組織ってなんぞやという話をしてきました」と三上氏は語る。

 そんな三上氏が考えるDXとは、もちろん単にツールを入れることがゴールではなく、たとえば、楽ができるか、先が読めるか、ほかにつながるかなど具体的な効果が出せる活動だという。実際に産業労働部内で掲げている目標は「ラクにしよう」。「体力にせよ、精神力にせよ、余力がないと、人間動けない。ラクをするための活動をたたえ、無駄を省こうとしています」と三上氏は語る。

 もう1つ三上氏が指摘するのは、「VUCA」と呼ばれる先の読めない時代では、過去の経験やノウハウがあまり役に立たないという点だ。「コロナ禍はなんとか乗り切れたが、これからの時代乗り切れるかはわからない。乗り切るためには、不測の事態に対応できる個人、チーム、組織がいま必要」と語る。

 結果としてDXが目指すのは、情報の共有とスピードを実現できるツール。「これから強い組織は、みんなが事案を把握し、情報共有とアクションを同時にできるフラット型が重要」と考えた三上氏が、行き着いた情報共有ツールがLINE WORKSだ。

 三上氏は、「一番DXしてほしいデジタルに疎い企業や行政がいかに脱落せずに使えるか、地域における高齢者にいかに使ってもらえるかを考えたら、LINEの使い勝手を持つLINE WORKSは敷居の低いプラットフォームでした。使いやすさやグループウェアとしての充実ぶり、情報の共有やスピードを実現するのに満たしていると考えました」と振り返る。

県内外をつなぐオンラインコミュニティでLINE WORKSを活用

 三上氏が所属する長崎県企画部とLINE WORKSを展開するワークスモバイルジャパンが連携協定を結んだのは、2022年5月。その後、LINE WORKSの活用検討を進め、庁内外で利用されるようになったという。

 代表的な利用例としては、長崎初のオンラインコミュニティ「長崎友輪家(ながさきゆーりんちー)でのコミュニケーションツールとしての利用だ。おおよそのメンバー数は県内170名、県外180名のあわせて350名で、LINE WORKSを活用することで、双方向で長崎県に関する情報発信や情報共有が可能になったという。「もちろんLINEでもできるのですが、われわれはこのコミュニティのみなさんを大切にしたいと思っているので、LINEではなく、自らがきちんと管理できるLINE WORKSを使ってコミュニティを運営しています」と三上氏は語る。

長崎初のオンラインコミュニティ「長崎友輪家(ながさきゆーりんちー)での活用

 また、長崎県と県外在住の大学生とつながるツールとしてもLINE WORKSは使われている。「長崎県は大学を卒業したら、県外に出て行ってしまう若者が多い。そうした若者とつながるためのツールとしてLINE WORKSを活用しようと検討しています。長崎にも働く場所があること、面白いことをやっているということを発信していきたい」(三上氏)とのこと。個人用のLINEとつながるメリットを活かし、県内への若者の定着につなげたいという。

 庁内連絡用としても、緊急連絡や休日、出張時など職場外での連絡手段として、さまざまな部局、規模で使われているという。LINEは個人ツールだが、LINE WORKSはビジネス向けのツールなので管理しやすいというメリットがある。また、防災や危機管理での迅速な情報共有にも貢献しているという。「たとえば、災害や鳥インフルエンザの対応は、いかに早く関係者に情報共有をするかという点が大事になってきますが、このような場面でLINEWORKSを活用している所属もあります」とのこと。

導入のメリットは情報共有のスピード 今年は利用ルールを整備

 導入のメリットとしては、情報共有のスピードが上がった点だ。コロナ渦において、パソコンでどこでもテレワークできる環境が整備された結果、出張先でも業務が継続できるようになった。しかし、出先とオフィス内ではどうしても伝達の差があった。これを埋めたのがLINE WORKSだ。「電話だと相手がいなければ終わりでしたが、LINE WORKSだとメッセージを打っておけば、きちんと相手に伝わります。しかも、グループチャットになるので、読んでなくても他の人が気づいてくれます」と実際に活用した職員は語る。

デジタル戦略課での活用

 次のステップとしては、議会事務局でのLINE WORKS活用も想定している。「これまで議会事務局職員から議員への連絡手段は電話やメール、FAXが中心でしたが、議員及び議会事務局職員の利便性向上、情報伝達の迅速化、議会のICT化等を目的に連絡手段としてLINE WORKSを活用し始めています。」(三上氏)。メールやFAXでは内容によって電話での既読確認が必要であったが、LINE WORKSでは既読機能があるため、議会事務局職員の既読管理が容易になるほか、議員同士でも既読状況が確認できる。

 また、利用ルールも整備していく。「昨年度は連携協定を締結したばかりということもあり、まずは使い勝手を試してみようという1年でした。今年はもう少し制度設計を進めていく」(県担当者)。

 LINE WORKSのメリットは管理が行き届くという点だ。「LINE WORKSの素晴らしいところは管理者がメンバー管理できるところ。個人のLINEだとグループがどこまでわかりにくいですが、LINE WORKSの場合はグループの外縁がどこまでか、誰がメンバーかを把握できるので、情報の漏えいなどにつながりにくいと思っています」と三上氏は語る。

行政のような堅いところでもうまく活用できる

 長崎県としては、まずはITやツールに慣れてもらうというのが大きな目的。そのためのツールとしてLINE WORKSの敷居が一番低いと考えている。三上氏は、「県内の中小企業がDXに進むためのツールとしてLINE WORKSは最適。 行政のような堅いところでもうまく活用できています」と語る。

 一方で、三上氏はLINE WORKSのようなツールの導入が目的化してしまうことを危惧する。大事なのは、ツールを使ってなにを解決するかだ。「正直、業務の見える化が進んでおらず、自社の弱点や改善ポイントを理解していない会社も多いです。だから、LINE WORKSを活かせない企業もあると思っています」と三上氏は語る。

 DXを推進する長崎県企画部が、連携協定締結と同時にワークスモバイルジャパンとともに仕掛けたのが、県内初のDXイベント「長崎県ビジネスDX "SAI ZEN SEN"」だ。出島メッセ長崎を会場として、県や市町村、金融機関、地元企業、大学などが2日間に渡って登壇し、地方でのDXの可能性をアピールした。3月も2回目となる「長崎DXフォーラム Vol.2」を開催し、県内企業のDXを継続的に促進。先頃もワークスモバイルジャパンが長崎県美術館 でDXイベント を開催し、長崎県も後援。大いに盛り上がっていたようだ。

 長崎県は今年6月、県庁内にとどまらず、長崎県内のDXを一緒に協力して行なっていくとして、県企画部と締結していた連携協定を県レベルの協定にアップグレードした。今後の更なる成果に期待が膨らむ。

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