セダンが良いクルマなのは間違いない
再びセダンが脚光を浴びるには?
今回は都内をグルグルっと回ってみました。実にトルクフルで生理的心地よさに満ちている、というのが第一印象。運転していながら楽しくて、ややソフトな乗り心地と相まって「いいクルマだなぁ」と感じずにはいられません。そして、踏めば怒涛の加速をみせるあたりに、往年の「羊の皮を被った狼」を彷彿させ、頬を緩まずにはいられません。確かにBEV(バッテリー電気自動車)の方が、トルクが一気に立ち上がります。ですが「グワッ」という感覚と、頭打ち感のなさが400Rにはありますし、何よりBEVにはない「オトナの余裕」「円熟味」を感じるのです。
後席に座って部員Kの様子をみる寺坂さんも「確かに乗り心地がよくて、いいと思います」と、スカイラインを見直したようです。安定感のある乗り味は、同乗者に安心感を与え、運転手にはいつでも踏めるという自信を与えてくれる。実に素晴らしいではありませんか。
その後、ゆみちぃ部長は400Rと同じエンジンで、サスペンション形式も同様のフェアレディZを試乗。Zは2人乗りで、荷物は400Rほど載りませんし、大好きなProPILOTも付いていません。ですが、Zを降りた彼女は「こっちの方がイイ!」と笑顔で語るではありませんか。「エンジン音(排気音)がイイ」であったり、「カッコいい」であったりと、ゆみちぃ部長はフェアレディZに惜しみない賛辞を送ります。確かにその通りです。部員KもZに乗って「確かにイイなぁ」と思いました。
ですが、部員Kがもしクルマを買うとしたら、Zではなく400Rを選びます。それは「クルマは買ってから予想もしない使い方が求められる」から。その「予想もしない使い方」への対応度が高いのがSUVで、それが現在のSUV人気なのでしょう。
でも、Sport Utility Vehicleといいながら、走りはまったく楽しくない。その真逆がスポーツカー。となると、その間をとるのがセダンであったり、派生となるステーションワゴンなんでしょうね。そして真のスポーツでユーティリティーな乗り物は400Rなのかな、とも。クルマ選びは理想も大切ですが、落としどころも大切だったりするのです。
今回、寺坂さんの様子をみて「セダンが復興するなら、何が必要なのか」と考えていました。どうやら見た目を何とかして、インテリアを何とかすることのようです。スカイラインが今一度「多くの人からの羨望のまなざしを受けるクルマ」になってくれる事を心から切望します。ちなみに星野副社長が最初に買ったクルマは、スカイラインだったそうですよ。

この連載の記事
-
第505回
自動車
「GT-R」と「Z」、選ぶならどっち? 40周年のNISMOが手掛けるロードカーにあらた唯が触れる -
第504回
自動車
最新世代のポルシェ「911」とEVの「タイカン」を乗り比べたらタイカンが圧倒的に恐怖だった -
第503回
自動車
今スポーツセダンを求めるならアルファ・ロメオ「ジュリア・クアドリフォリオ」を強くオススメする理由 -
第502回
自動車
車購入初めての20代女性に「アルト ラパンLC」がピッタリな5つのポイントと2つの微妙 -
第501回
自動車
初めてのMTでも安心! 小さなぜいたく「N-ONE RS」のMT車をオススメする3つの理由 -
第500回
自動車
612馬力の超弩級SUV「Mercedes-AMG GLE63 S 4MATIC+」はクルマのジキルとハイドだ! -
第499回
自動車
BMWが誇る最上位SUV「XMレーベル」は手に余る性能のスーパーSUVだった -
第498回
自動車
ルノースポール最後の「メガーヌR.S.ウルティム」の魅力をシビック TYPE-Rと徹底比較 -
第497回
自動車
Hondaの「N-BOX JOY」はコダワリの詰まった内装と使い勝手が良くてドライブが楽しくなる -
第496回
自動車
Hondaの「N-BOX JOY」はアクティブにアウトドアを楽しむための人のための軽自動車 -
第495回
自動車
電気があれば何でもできる! 電動ポルシェ「パナメーラ」と「タイカン」の個性の違いを解説 - この連載の一覧へ