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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第86回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月3日~6月9日

キャリア構築の自律的行動が少ない40代、バックアップからのランサム被害回復は安くつく、ほか

2023年06月12日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年6月3日~6月9日)は、BPA/iPaaSなどのソフトウェアエンジニアリング技術、プロアクティブ人材、クライアント仮想化市場、2022年のランサムウェア攻撃、についてのデータを紹介します。

■[ソフトウェア] BPA、iPaaS、API管理の利用は50%超え、利用が増えるソフトウェア・エンジニアリング・プラットフォーム(ガートナージャパン、6月7日)
・利用最多は「ビジネスプロセスオートメーション(BPA)」で54%が利用
・1年以内に利用予定が多いのは「API管理」
・1年以内に「ノーコード/ローコード開発ツール」も50%を超えると予想

 国内企業のソフトウェア・エンジニアリング・プラットフォーム技術の利用動向調査として、問い合わせの多い6種(BPA、iPaaS、API管理、データ統合ツール、ノーコード/ローコード開発ツール、イベント駆動型テクノロジ)について調べた。最多はBPAの54%。これら6種の利用は加速しており、うち3つは利用率50%を超えている。1年以内の利用予定を含めるとAPI管理が最多になる。ガートナーでは「多様な技術を適切に管理するための対策に着手する必要がある」としている。

国内企業のソフトウェア・エンジニアリング(SE)プラットフォーム利用状況(出典:ガートナージャパン)

※訂正:掲載当初、ノーコード/ローコード開発ツールの利用率予測の数字に誤りがありました。現在は修正済みです。おわびのうえ訂正いたします。(2023年6月12日 編集部)

■[キャリア][人材]キャリア構築に向けて自律的に行動するプロアクティブ度、40代が最も低い(日本総合研究所、アビームコンサルティング、6月6日)
・プロアクティブ人材は仕事への意欲が非プロアクティブ人材の2倍
・プロアクティブ度が最も低いのは40代
・プロアクティブ人材の方が定着率は高く、転職0回は47%、非プロアクティブ人材は40%

 キャリア構築に向けて自律的に行動する「プロアクティブ人材」について、企業に勤務する2万人以上を対象に調べた。4つのプロアクティブ行動(革新行動/外部ネットワーク探索行動/組織化行動/キャリア開発行動)の実践度合いに基づいて、プロアクティブ度が特に高い人材(プロアクティブ人材)と特に低い人材(非プロアクティブ人材)をグループ化。両者を比較したところ、「職務成果」「キャリア実現度」「仕事への意欲」の3要素すべてで、およそ2倍の差があった。また転職回数「ゼロ回」と「4回」の割合を見ると、プロアクティブ人材が47.2%と7.3%、非プロアクティブ人材は40.7%と9.5%であり、プロアクティブ人材のほうが定着率が高いこともわかる。年齢や性別で分類すると、プロアクティブ度は40代が最低、また年齢を重ねるごとの低下幅は男性のほうが大きい。

「職務成果」「自己実現」「ワークエンゲージメント」の3要素で、プロアクティブ人材(濃い茶色)は非プロアクティブ人材(薄い茶色)を約2倍上回った(出典:日本総合研究所、アビームコンサルティング)

「プロアクティブ度」は男性20代、女性60代が最も高く、男女とも40代が“底”になった(出典:日本総合研究所、アビームコンサルティング)

■[仮想化]クライアント仮想化ソリューション市場は2023年2.7%増の予想、コロナ前に戻るのは2027年以降(IDC Japan、6月6日)
・クライアント仮想化ソリューション市場は2023年2.7%増、コロナ前の水準に戻るのは2027年以降
・楽観シナリオでは2023年は3.5%増、2026年にコロナ前の水準に
・悲観シナリオでは2024年までマイナス成長、プラスに転じるのは2025年以降

 2022年の調査実績をもとに、2023~2027年の国内クライアント仮想化関連市場規模を予測した。同市場を「シンクライアント」「クライアント仮想化ソフト」「クライアント仮想化ソリューション」の3つに分類し、さらに新型コロナによる影響を考慮し、Baseline(基本シナリオ)/Optimistic(楽観シナリオ)/Pessimistic(悲観シナリオ)の3つを作成した。たとえばクライアント仮想化ソリューション市場の2023年は、基本シナリオで2.7%増、楽観シナリオでは3.5%増、一方で悲観シナリオは4%減と予測されている。

国内クライアント仮想化ソリューション市場、基本/楽観/悲観の3シナリオの予想(出典:IDC Japan)

■[セキュリティ]2022年にランサムウェアの被害を受けた組織は55%、52%が身代金支払う(ソフォス、6月2日)
・日本の組織の58%が2022年にランサムウェアの被害を受ける、2021年の61%から減少
・ランサムウェア攻撃の72%でデータが暗号化、52%が身代金支払い
・身代金を払ってデータ復旧するコストは75万ドル、バックアップ利用の2倍以上

 「ランサムウェアの現状 2023年版」(グローバル版/日本版)より。2022年、ランサムウェアの被害を受けた日本の組織は58%で、2021年の61%から減少した。被害を受けた組織へのランサムウェア攻撃の72%で、実際にデータが暗号化されている。グローバル調査において、データ回復に要するコストは、バックアップ利用の回復で37.5万ドル、身代金を支払った場合は75万ドルと2倍以上の開きがある。さらに、身代金を支払った場合のほうが復旧に要する期間も長くかかるという結果も出ている。

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