日産の象徴にして、日本の誇り「NISSAN GT-R」。その頂点ともいえる「GT-R NISMO」のMY2022モデルに、ASCII.jp自動車部の“ゆみちぃ部長”こと、アイドルの寺坂ユミさんが試乗しました。しかも一般道で。果たして傷をつけずに帰ってくることはできたのでしょうか?
最新型が発表されたので
終了するMY2022に乗った!
デビューして14年が経つNISSAN GT-R。モデルイヤー制を取り、年次改良モデルを投入することで、いまだ魅力を失っていないことは誰もが知るところでしょう。その年次改良の中で、大きな転機は2つあるように思います。
まずは、2014年のGT-R NISMOの誕生。レース専用車両「GT-R NISMO GT3」に搭載されている「GT3タービン」を搭載し、最高出力600PS、最大トルク66.5kg・mという強心臓を得たGT-R NISMOは、ニュルブルクリンク北コースで量販車世界最速タイムを樹立。日産の技術力を世界に知らしめたのでした。
そして、Vモーショングリルが与えられた2017年の年次改良。ここでGT-Rはグランドツーリングの「プレミアムエディション」とレーシングの「NISMO」と、グレードを明確に分離。NISMOは「日産とニスモが生み出すパフォーマンスモデルの頂点」として、レースで得られた知見を数多く投入するモデルとなりました。
GT-R NISMOは、MY2014、MY2017、MY2020、MY2022と、ほぼ2年ごとに年次改良モデルが登場。その度に価格は上がり続け、今回試乗したGT-R NISMO Special editionの価格は2464万円! それでも先行公開から約3ヵ月間で予約注文台数が予定の販売数を超えたため、価格発表の段階ですでにオーダー受付を終了していたというから驚きです。こういう話を聞くたびに、部員Kは「お金を持っている人がいるんだなぁ」と思いつつ「どうして俺は働いても働いても生活がラクにならないんだ」とボヤいております。
どうしてこんな値段になるの? というと、カーボンパーツがテンコ盛りだから。あっちこっちカーボンです。専用色「NISMOステルスグレー」(撮影車)は、最近多く見受けられるようになったグレー系の中でも、とりわけスゴ味を感じさせるわけでして。「これ、傷をつけたら大変なことになる」と誰もが思うわけです。そして「サイドリップが60万円、フロントバンパーが100万円」など、ホントか嘘かわかりませんが、とにかく高いといった話を聞くと、貧乏人の部員Kは気が気ではありませんが、ゆみちぃ部長は「カッコいい! 早くのりたーい!」とテンション高め。
実車を見たゆみちぃ部長は、さっそく自撮り。そして安定の「納車しました」とTwitterに投稿。7.6万のインプレッション、600件のファボを荒稼ぎしたのでした。
納車しました。 pic.twitter.com/0Qg1KgCeox
— ゆみちぃ( ˇωˇ ) (@129Ym_afilia) April 17, 2023
では、2022年モデルについて、簡単にご紹介しましょう。600PSという最高出力を含むスペック、仕様に変更はないのですが、クリア塗装とされたカーボンファイバー製エンジン・フード、レッド・リム加飾付きのレイズ社製20インチ鍛造アルミホイールの採用が外観上の違いといったところ。
エンジンの中身こそが最大の違いで、ピストンリング、バルブスプリング、コンロッド、クランクシャフト、フライホイール、クランクプーリーといったパーツの重量、バランスを徹底的に追求してばらつきを半減させ、フリクションを低減しているのだそう。GT-Rのエンジンはそもそも、こうしたパーツの精度、重量が厳しく管理されているというのに、さらに究めてきたというわけです。
部員Sは「ここに組んだ人の名前が書いてあるんですよ。エンジンが組めるのは匠という人たちで、日産の中でも数名しかいないんですよ」と、ゆみちぃ部長に説明。するとゆみちぃ部長は「へぇー。すごーい」と、感情のない声で応えます。つまり早く乗せろ、というわけで、乗っていただきましょう。後席へ。
運転席を前に倒して乗ったわけですが「なんですかコレは。めっちゃ狭い!」と悲鳴に似た声をあげます。「2400万円もして、コンパクトカーより狭いって何なんですか!」と、そうなりますよね。ゆみちぃ部長でコレですから、普通の男性が入るのは不可能に近いです。
さらに部長を苦しめたのが出る時。「うおっ! うごっ」と悶絶の声をあげます。ただでさえ大変なのに、部員Kから「サイドステップに踏まないで! 割ったら60万円だからね!」などという指示が飛ぶわけで「なんなんですか!」と半ギレ部長。そんな我々の様子を日産の人たちは生暖かい目で見ていたのが印象的でした。
運転席を降りて荷室をチェック。「意外と大きいですね」といった表情。ゴルフバッグは難しそうですが、スーツケースは2つ、余裕で入りそうです。
レーシーな運転席に座るゆみちぃ部長。「すごい! なんかすごい!」とすごいとヤバいを連発。「ここもカーボン、ああそこもカーボン。あちこちカーボン」とカーボン祭。赤い差し色の室内に言葉が出ません。これが本物のすご味、というやつです。
好きなクルマのタイプはSUV、静かな電気自動車(BEV)が大好きで、日産車ならアリアが最高! という彼女。荷物は載らない、ウルサイ、車高は低い、運転支援はほぼ皆無のGT-R NISMOは真逆の存在といえるでしょう。
車内は、ソプラノのようなGT-3のタービン音に、チタン製マフラーの中低音が轟きわたります。それにアクセルを踏めば匠が組み上げたエンジンのメカノイズに6段ATが変速のたびにガシャガシャという音が乗ってきます。ブレーキを踏めば、セラミックローターから「キーっ!」と悲鳴に似た金切り声が。まさにメカノイズの大合唱! それがGT-R NISMOの車内空間です。
普通なら「このクルマ、うるさくないですか?」と文句が出て当然。ですが、なぜか彼女は満面の笑みをみせます。「なんか、笑っちゃいますね。すごすぎて」というと「コレはアリですよ!」とのこと。おそらくおいしい食事をいただいた時に、思わず笑ってしまうのと似た感情なのかなと思います。
驚くべきは、超ハイパフォーマンスなクルマであるにも関わらず、意外と運転しやすいということ。「車高も低いんですけれど、めっちゃ前後左右が見やすいクルマなんですよ。普通に乗れちゃったことに、自分自身驚きました」というあたりに、日産自動車の高い技術力を感じずにはいられません。なにせ、レーシングカーと同じタービンを乗せたクルマが、渋滞と信号だらけの都心部で走れちゃうんですよ。
「あー、面白かった!」と満面の笑み部長。途中、信号待ちしているときに海外の方(おそらく観光客)に、写真を撮られたようで、「普通のクルマじゃこんなことないですよね!」と興奮気味で語ります。
一方、部員Kと日産自動車のスタッフは車両の傷確認。「大丈夫です!」というスタッフの声を聞いて、部員Kはホッと胸をなでおろしたのでした。
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