山梨大学と早稲田大学の研究グループは、繰り返し充放電できる「全固体空気二次電池」を開発した。空気電池は、カソード(正極)活物質である空気中の酸素と、アノード(負極)活物質である金属、イオン伝導性の電解質で構成する電池で、二次電池に比べて理論エネルギー密度が著しく高いことから注目されている。ただ、液体電解質を使うことが多く、液体の漏れや蒸発、発火など、安全性に課題があった。
山梨大学と早稲田大学の研究グループは、繰り返し充放電できる「全固体空気二次電池」を開発した。空気電池は、カソード(正極)活物質である空気中の酸素と、アノード(負極)活物質である金属、イオン伝導性の電解質で構成する電池で、二次電池に比べて理論エネルギー密度が著しく高いことから注目されている。ただ、液体電解質を使うことが多く、液体の漏れや蒸発、発火など、安全性に課題があった。 研究グループは、アノード活物質として水素イオン(プロトン)を取り込みながら酸化還元活性を示す有機レドックス化合物(ジヒドロキシベンゾキノンおよびその重合体)、電解質としてプロトン伝導性高分子薄膜(ナフィオン)、カソードとして白金触媒を含有するガス拡散電極(活物質は酸素)を組み合わせた全固体空気二次電池を設計し、原理実証に成功した。 繰り返し充放電でき、一定速度の発電で30サイクルの充放電が可能。アノード活物質に採用した有機レドックス化合物と、電解質に採用したプロトン伝導性高分子は水分を含んだ状態で使用しており、水や酸素で電極が劣化することもないという。 研究成果は5月16日、アンゲヴァンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition)にオンライン掲載された。今後、構成材料の高性能化や耐久性の改善によって、携帯電話や小型電子機器などの電源に応用できるとしている。(笹田)