プロンプトはChatGPTへの命令文
ChatGPTにやってもらいたいことを指示する命令文のことをプロンプトと呼ぶ。
たとえば「日本で一番短い一級河川は?」「猫の赤ちゃんに名前を付けたいので案を出してください」など「知りたいこと」や「してほしいこと」を書いたものがプロンプトだ。
これまでコンピュータープログラムになにかやらせたい場合は基本的にプログラム言語を覚える必要があった。
だが、ChatGPTは「自然言語処理」と呼ばれる、人間が使う言語をそのまま理解する能力を持っているので、相手をプログラムだとは思わずに「人が読んで理解しやすい形」の質問をすればよい。
プロンプトのパターン
プロンプトにはいくつかパターンがある。ここではどのようなプロンプトがあるかをざっくりと見ていこう。
「質問」パターン
問いに対する答えを求めるタイプのいちばんベーシックなプロンプト。
とはいえこのパターンには注意が必要だ。なぜならChatGPTは必ずしも正解を回答するとは言えないからだ。
「え〜〜〜〜??!!」っと思った人。気持ちはわかる。でも事実なのでしっかりと認識してほしい。もう一度書くが、「ChatGPTは必ずしも正解を回答するとは言えない」のだ。
なぜそんなことが起こるのだろうか。
それはChatGPTの「入力されたプロンプトの指示に忠実に従う」という機能のおかげだ。それゆえChatGPTは自分にはわからない質問があった場合「わかりません」と言うかわりに「それは◯◯です」と嘘をつくことがあるのだ。
と言いつつも、ほとんどの質問には正しく回答するし、最近はわからない、判断できない質問に対しては「わたしはAIなのでわかりません。しかし……」と正直に告白することも多くなってきたのであまり心配する必要はない。だが、仕事や学習で使う際は「絶対に正解とは限らない」ということだけは頭の片隅に入れておいてほしい。
「指示」パターン
「正解が出てくるかどうかわからないなら使えないんじゃない?」と思った方、いいことを教えよう。ChatGPTは「質問する」よりも「指示する」方が圧倒的に性能を発揮するのだ。
このように「翻訳して」「要約して」「計画を立てて」といった、「質問」ではなく具体的な「指示」をするとChatGPTは忠実にその指示に従ってくれる。
それだけではなく「100個のパターンを出して」「小学生にもわかるように説明して」「“つまり”という言葉を使わずに書き直して」などのわがままな指示にもがんばって対応してくれるのだ。
そう、ChatGPTの得意技のひとつは「人に頼むと怒られそうなめんどくさいこと」だったりするのだ。
「創作」パターン
「創作」「創造」といった分野は人間の特権と思ってしまいがちだが、ChatGPTはこれも得意としている。
ただし、ChatGPTはその性質上「無難な」回答にまとまってしまいがちなので、そこをどう崩していくのかはプロンプト次第となる。
ChatGPTはたとえ1000回やり直しを命じても決して怒ったりはしないので、妥協せずプロンプトを改良していくといいだろう。
コツとしては「設定」や「制約条件」を細かく決めこんでいくことだ。条件が狭くなるにつれChatGPTの回答もより芯を食ったものになっていく。
「話題の設定」パターン
特定のトピックを与え、それに関する情報や意見を生成させるもの。ディスカッションやディベートのような形式で出力するといったことも可能だ。
このパターンを使えば、特に聞きたいことがない時でもChatGPTを話し相手にすることができるのだ。
以上でChatGPTの代表的なプロンプトのパターン紹介は終了だ。プロンプトの世界はとても奥が深く、効果的なプロンプトの書き方を研究する「プロンプトエンジニアリング」という言葉が注目を集めるくらいだ。
次回はさらに具体的なプロンプトの実例について解説する。
田口和裕(たぐちかずひろ)
1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。2019年にはタイのチェンマイに本格移住。Amazon著者ページ(http://amzn.to/hvm19A)
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