空調・家電は好調
ライフBAでは、人々の生活を支える豊富な設備の提供などを通じて、あらゆる生活空間における人やモノの快適空間環境を創造するソリューションプロバイダを目指しているという。
とくに好調なのが空調・家電だ。2022年度実績は、第2四半期以降、電子部品の需給状況に改善に加えて、円安のプラス影響や、欧州、日本、北米向けの空調機器の販売が増加。2年連続で過去最高の売上高を更新した。
今後は、空調、暖房給湯、換気送風、冷凍冷蔵で構成するHVAC&R分野に資源を投入。さらに、エネルギー供給データによる需要予測を連動させた再生可能エネルギーの有効活用、カーボンニュートラルなどに取り組む「グリーンエナジーソリューション」、設備の運用データなどに基づいて異常兆候予知を行い未然の故障防止や保守の合理化を実現したり、人の感覚データや人流データをもとに、パーソナルな快適性を実現したりする「安全・安心&快適ソリューション」、設備運用データによるビルの自動管理やロボットの活用による省人化によるコスト抑制に貢献する「ビルマネジメントソリューション」に注力。保守運用から得られるデータをデジタル技術によって活用していく「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を目指す。「循環型デジタル・エンジニアリング企業」は、三菱電機全体で中期的に目指す方針に位置づけているものだ。
そして、ビジネス・プラットフォームBAは、循環型デジタル・エンジニアリング経営基盤を構築し、各BAにサービスを提供することで、統合ソリューションの創出、拡大に貢献する役割を担うという。
金融機関や航空管制などの大規模ミッションクリティカルシステムの開発などでの実績を持つ社外向けの情報サービスシステム事業部門と、グループ社員15万人を対象にした業務システムの開発などの社内向け情報システム部門で構成しているのが特徴で、統合ソリューションをスピーディに創出するために必要となる各種サービスや技術を実装。運用保守サービスや高度なDX人材の活用サービスを、各BAに提供することになる。
社長直轄の2つの組織
注目しておきたいのが、2023年4月に、2つの組織を社長直轄とした点だ。
ひとつは、ビジネス・プラットフォームBAから、半導体・デバイス事業本部を分離し、社長直轄としたことである。
半導体やデバイスの安定的供給により、各BAの成長を支えるとともに、今後、大きな成長が期待されるパワーデバイス事業の戦略的投資を全社的な視点で、適時適切に判断し、確実な成長を牽引していくのが狙いだという。
漆間社長兼CEOは、「社長直轄の事業本部として、各事業のキーとなる半導体デバイスの供給を通じて、三菱電機全体としての競争力強化を図る。パワー半導体向けの戦略的投資も全社的視点で判断し、確実な成長を牽引していく」と語る。
具体的には、SiCパワー半導体に関して、約1000億円を投じる新工場棟の建設をはじめ、2021年度から2025年度までの累計設備投資を、従来計画の倍増となる約2600億円に引き上げる。これにより、8インチによるウェハーの大口径化に対応。2026年度以降もパワー半導体の事業成長を加速させる考えを示す。また、これまでのように前工程への投資だけでなく、後工程に対しても約100億円を投資。生産開発から量産化までの開発効率を高め、開発リードタイムの短縮により、市場ニーズに迅速に対応する体制を整える。
もうひとつの社長直轄組織が、DXイノベーションセンターの新設である。
社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革加速を図る目的で設置したもので、様々なデジタルソリューション事業を創出、推進するために、各BAで蓄積されている広範囲なデータを有機的に結びつけるためのデジタル基盤やデジタル空間を構築し、これを活用したデータの解析、利活用の推進、デジタル人財の確保と育成、顧客やパートナーとの共創などを加速、推進することになる。全社のDX事業推進プロジェクトの支援や、DX開発手法や品質保証の確立にも取り組む。
先にも触れたように、三菱電機では、ありたい姿として、「サステナビリティを経営の根幹に据え、事業を通じた社会課題解決を推進する『循環型 デジタル・エンジニアリング企業』への変革」を掲げている。それを下支えする組織になる。
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