権限委譲と検査不正問題
その一方で、検査不正問題は、依然として大きな課題だ。
2021年6月の鉄道車両用空調装置などの検査不正が判明して以降、外部調査委員会による品質検査の不正行為の事実関係と真因の究明に取り組んでいるほか、全社変革プロジェクトと連携しながら、品質風土、組織風土、ガバナンスの3つの改革を推進。再発防止策にも取り組んでいる。
だが、2023年4月には、子会社5社において、新たに12件の新たな検査不正が判明した。これで検査不正は合計で209件に達した。
三菱電機の漆間社長兼CEOは、「子会社に対しても、しっかりと調査を行い、すべてを出し切ることに取り組んでいる。本体側で行われていたことが子会社にも及んでいることがわかった。この事実は真摯に受け止める」と述べた。
2022年度の業績において、検査不正問題の影響は、売上高では軽微とし、営業利益では約100億円の損益影響があったという。修理や再検査費用、調査経費、品質保証の体制強化に向けた設備の償却費などが含まれており、品質保証体制の強化に向けた投資は2022年度末までに150億円に達しているという。
漆間社長兼CEOが語るように、すべてを出し切ることが、信頼回復の第一歩となる。
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