ファーウェイのスマホは
姿形を変えてまだ生きている!
ファーウェイのスマートフォンは中国を中心に展開していますが、現在販売されている製品はすべて5Gには対応せず、4Gモデルのみとなっています。政治的な問題もあり、このあたりはどうしようもないことなのですが、実はファーウェイのスマートフォンを5Gに対応させた製品が中国では販売されています。ファーウェイがラインセンスを供与し、別のメーカーがファーウェイ製品をベースにした5G対応スマートフォンを出しているのです。
まずは「Hi nova」。ファーウェイの「nova」シリーズを5G化した製品で、中郵通信設備(PTAC)が製品をリリースしています。2023年3月時点での最新モデルはファーウェイの「nova 10」「nova 10 Pro」を5G化した「Hi nova 10」「Hi nova 10 Pro」で、前モデルの「nova 9」「nova 9 Pro」の5Gモデル「Hi nova 9」「Hi nova 9 Pro」も中国の家電量販店ではまだ販売されています。
OSはEMUIでオリジナルのファーウェイのHarmonyOSは搭載していません。なお、中国販売モデルなのでEMUIですが、GMSも非搭載。ファーウェイのHMSが利用できます。
novaシリーズと言えばフロントカメラ性能も高く、自撮りに適した製品です。Hi Nova 10 Pro、nova 10 Proのフロントカメラは6000万画素とメインカメラ同等の性能を持ち、さらにサブカメラとして800万画素の3倍望遠も搭載しています。2つのモデルを店舗で操作してみましたが、UI周りに差があるものの、使い勝手は同じ。SIMカードが入っていないためモバイルデータ通信は試すことができませんでしたが、大きな違いは5Gか4Gか、というくらいでしょう。
さて、ファーウェイ4Gスマートフォンの5Gモデルを出しているメーカーは、ほかにもTD Techがあります。こちらはMateシリーズとPシリーズの5Gモデルを出しています。家電店で売られていたのは「TD Tech M40」。ベースモデルはファーウェイの「Mate 40」、やや古い製品ですね。
実はファーウェイM40は5G対応スマートフォンとして発売になりました。チップセットはハイシリコンのKirin 9000Eを採用しています。しかし、Kirinの5Gチップセットの供給ができなくなることからTD Techへ早めにライセンスを供与し、Mate 40の兄弟モデルとして拡販しようと考えたのでしょう。TD Tech M40はチップセットにMediaTekのDimensity 1000+を採用しています。
TD-Techは2021年にファーウェイのP50シリーズの5Gモデルも出しましたが、ちょっと面白い展開をしました。まずベーシックモデルのファーウェイ「P50」を5G化した「TD Tech P50」をリリース。ファーウェイ製品はチップセットが4G対応のSnapdragon 888 4Gですが、TD Tech版は4G版ではなく、5Gに対応するSnapdragon 888を搭載します。
またP50シリーズ上位モデルの「P50 Pro」には、5GモデムとeSIMを内蔵したモデムカバーを用意。スマートフォンのカバーとしてこれをP50 Proに装着すると、5Gが使えるようになります。ただし対応キャリアは中国の3社(中国移動、中国電信、中国聯通)のみ。TD Techはその後もファーウェイ「Mate 50シリーズ」「P60シリーズ」用の5Gモデムカバーを出しています。
意外なことに日本人も知っているメーカーからもファーウェイの5Gモデルが出ています。Wikoの中国向け5Gモデル「Wiko 5G」のベースはファーウェイの「nova 9 SE」。チップセットをSnapdragon 680からSnapdragon 695 5Gとして5Gに対応させています。
今回紹介した製品のOSはEMUI、またはHarmonyOSですが、ファーウェイの優れたベースモデルを5Gで使うことができる、貴重な存在となります。残念ながらグローバル展開はされていませんが、ファーウェイの折りたたみスマートフォン「P50 Pocket」を5G化した製品が発売されれば、先進国でも人気になりそうです。どこかのメーカーがやってくれないでしょうか?
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この連載の記事
-
第667回
スマホ
サムスン「Galaxy Z Fold5」をOPPO&ファーウェイの折りたたみ2機種と比べた -
第666回
スマホ
縦折りスマホ「razr 40 ultra」が日本で発売したのでマゼンダ色を希望! -
第665回
スマホ
マニラのスマホマーケットでは意外なメーカーが人気だった! -
第664回
スマホ
シャオミから薄型折りたたみスマホ「Xiaomi MIX Fold 3」が登場! -
第663回
スマホ
折りたたみとカメラモデル強化でOPPOのシンボルカラーは脱グリーン!? -
第662回
スマホ
限定モデルも展示、韓国キャリアのGalaxy Z Fold5/Flip5プロモストアを見てきた -
第661回
スマホ
Galaxy Foldのフィルムが330円の韓国ダイソーの品ぞろえがスゴい -
第660回
スマホ
香港でpovo2.0の海外ローミングをテストしたら快適だった! -
第659回
スマホ
日本発売に期待! シャオミのタブレット「Xiaomi Pad 6」がヨーロッパで発売 -
第658回
スマホ
東南アジアを1ヵ月まわって見つけた日本で見ないスマホたち -
第657回
スマホ
シンガポールの展示会で見つけたスマホや5G関連製品をチェック! - この連載の一覧へ