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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第181回

BA型ドライバー追加で高音質化、AVIOTの骨伝導ヘッドホン「Openpiece Elite」を試す

2023年04月03日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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快適な装着感と、期待を上回る高音質

 Openpiece Eliteを装着してみた。違和感が少なく、締め付けも軽いので快適に使用ができる。音は骨伝導という点から想像していたよりも良い。骨伝導ヘッドホンの音が不明瞭で不鮮明というイメージを持っているのなら、それとは異なった感じのサウンドだ。というか、普通に(一般的なイヤホンと遜色がなく)聞こえることに軽く驚いた。中高域の楽器音は思ったよりも鮮明で、特に音の広がり感が良い。音の広がり感や包まれ感に関しては普通のイヤホンよりも良いほどだ。

 ただし、これは再生する楽曲によってだいぶ異なる。例えばピアノの伴奏にヴァイオリンが鳴っているような音楽についてはかなり良く合う。また、アンビエントミュージックなど、電子音が主体の楽曲も音場感が広くてかなり良い。ただ、メタルやロックを聞くには、さすがに低音が軽すぎるので、物足りなく感じられる。BGMや瞑想といったシーンに添える音楽を聴くのに向いた製品だと思う。そうした意味では“ながら聞き”に適した、オーディオグラスなどと近い性質の製品とも言えるかもしれない。

付属ケースに入れたところ

 音の良さは搭載されているBA型ドライバーの働きもあるのだろう。BA型ドライバーは、骨伝導ドライバーの特性上、歪みが出やすい中・高音域を補うという考え方で搭載しており、骨伝導ではなく普通に空気振動で伝わる。ただし普通のイヤホンよりも耳道までの距離があるので、一種の耳掛け式スピーカーのような形ではあるかもしれない。

 もちろん耳を塞がないので、周りの音はすべて普通に聞こえる。例えば、映画をテレビスピーカーから聞いている際、その音はイヤホンで再生している音楽と一緒に聞こえる。音漏れは少なめで、音漏れ抑制モードにして数十センチ離すと、静かな室内でも音はあまり聞こえない。なにか音がしているのが分かる程度だ。BA型ドライバーは、空気伝導なので、音が周囲に漏れそうだが指向性が高いため、音漏れがしにくいのだという。こうしたデバイス自体の特性に加え、音漏れ抑制モードではさらに音が漏れにくいチューニングを施しているようだ。

 Openpiece Eliteは電車の中でロックを楽しむのには向いていないが、静かな屋内や戸外でBGM的に音楽を楽しむのには向いている。静かな部屋でリモートワークをしながら音楽を楽しむ用途では、専用のマイクも便利に使えるだろう。戸外での音楽を楽しむのにオーディオグラスを検討しているユーザーも一考してみる価値はあると思う。音の包まれ感はこの機種独特の良さがある。聴く音楽と用途を考えて、自分に合うかどうかを検討するといいだろう。

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