DevOpsのためのテスト自動化プラットフォーム「mabl」入門 第1回
いまテスト自動化が強く求められる理由から、自動化のベストプラクティス、mablの基礎まで
DevOps時代に欠かせない「テストの自動化」とは?
2023年04月05日 11時00分更新
皆さま、こんにちは。mabl(めいぶる)のodasho(おだしょー)です! わたしはmablで、ソフトウェア品質向上に向けたさまざまな活動を行うQuality Advocateとして、日々ご支援や啓蒙活動に取り組んでいます。
本連載では、すでにソフトウェアの品質に課題を抱えていたり、「興味はあるんだけど、実際何から始めれば良いの?」と悩んでいたりする方に向けて、これから複数回に渡って、テスト自動化や「mabl」の具体的な使い方について書いていきたいと思います。
まず第1回は「DevOps時代に欠かせない『テストの自動化』とは?」と題して、そもそもテストの自動化がなぜ今注目を浴びているのか? から紐解いていきます。
1. はじめに:なぜ今、テストの自動化が注目されているのか
近年、ソフトウェア開発の世界では「DevOps(開発と運用の統合)」が一般的なアプローチとなっています。DevOpsの目的は、開発チームと運用チームが連携して効率的なソフトウェア開発と維持を行うことで、製品の品質を向上させると同時に、市場投入までの時間を短縮することにあります。
変化が早く、将来が不確実な世の中(VUCA)のビジネスにおいては、短いサイクルでソフトウェアのアップデートを繰り返し、世の中の変化に柔軟に対応させていく必要があります。そこで、DevOpsというアプローチが一般化しました。
ただし、ソフトウェア品質の低下はビジネスリスクに直結しますから、品質の維持や向上のためのテストも欠かせません。DevOpsによるリリースサイクルの短縮化はすなわち「テスト頻度の増加」も意味しており、人手をかけるテストはすでに立ち行かなくなっています。そこで、品質低下のリスクを回避し目的を達成し続けるために、テストの自動化に注目が集まっているのです。
2. テストの自動化とは
ここからは、テスト自動化の基本概念やその重要性について説明したうえで、mablを活用したテスト自動化の方法を紹介していきます。
テストの自動化とは、文字どおり「ソフトウェアのテストプロセスを自動実行すること」です。開発者やQAエンジニア(後述)は、テストを自動化するためのスクリプトを用意し、ソフトウェアの新しいバージョンがリリースされるたびに、それらのスクリプトを実行して、アプリケーションの品質をチェックします。テストの自動化は、コードの変更がアプリケーションの動作に悪影響を与えないことを確認し、バグや欠陥を早期に検出する役割を果たします。
3. テスト自動化の重要性
DevOpsの時代において、テストの自動化は次のようなメリットをもたらします。
●効率性の向上:手動テストに比べ、自動化されたテストは迅速かつ正確に実行できるため、開発者やQAエンジニアの手間を減らし、開発サイクル全体の効率を向上させます。
●リリースサイクルの短縮:自動化されたテストは迅速に実行できるため、リリースサイクルが短縮され、新機能の迅速な市場投入が可能になります。
●品質の向上:テストの自動化は、アプリケーションのバグや欠陥の早期発見、修正を可能にするため、品質の向上に寄与します。
●コスト削減:テストを自動化することで効率や生産性が向上するため、手動テストよりもコストが低く、長期的には開発コストの削減に繋がります。
●リスクの低減:自動化されたテストは一貫性と網羅性が高いため、人為的なミスや見落としが少なくなり、リスクが軽減されます。
筆者もその一人ですが、過去には多くの時間をかけて手動テストをしていた開発者やエンジニアが多かったと思います。テストの自動化を取り入れることで、そうした負担が大幅に軽減されることは間違いありません。
4. QAエンジニアとは
製品の開発プロセスにおいて、バグや機能不足、パフォーマンスの問題を見つけ出し、解決策を提案することで製品の品質の向上を支援する「QAエンジニア(Quality Assurance Engineer)」という職種も注目を集めています。
主な業務としては、テスト計画の作成、テストケースの設計、テストの実施、テスト結果の分析、問題点の報告や修正の追跡などが挙げられます。さらに、QAエンジニアは開発チームと連携して品質向上の取り組みを進めるため、コミュニケーション能力も重要です。
先に説明したDevOps、また欧米を中心に採用が進んでいるアジャイル開発では、QAエンジニアが開発プロセス全体に関与し、継続的な品質改善を目指します。テスト自動化の導入やツールの活用も求められるため、技術的なスキルも必要とされます。QAエンジニアの活躍により、ユーザーに安心して使える高品質な製品を提供することが期待されています。
5. テスト自動化のベストプラクティス
テスト自動化を成功させるためには、以下のベストプラクティスを参考にしましょう。
●テスト戦略の策定:テスト自動化を開始する前に、テスト戦略を策定し、自動化すべきテストと手動で行うべきテストを明確にします。
●継続的なテスト:テスト自動化は、開発プロセス全体を通じて継続的に実行することが重要です。CI/CDツールとの統合を通じて、新しいコードのリリースごとにテストが実行されることが望ましいです。
●テストのメンテナンス:テストは、アプリケーションの変更に合わせて継続的にメンテナンスする必要があります。
●チームのコラボレーション:テスト自動化は、開発チーム全体で協力して実施することが重要です。開発者、テスター、運用担当者など、関連するすべてのステークホルダーが連携し、テスト戦略や自動化プロセスに関する情報の共有が求められます。
●適切なツールの選択:プロジェクトの要件やチームの技術スキルに応じて、最適なテスト自動化ツールを選択することが重要です。
6. mablとは
mablは、クラウドベースのテスト自動化プラットフォームです。エンドツーエンドの自動テストを簡単に作成、管理、実行できるように設計されています。mablの主な特徴は以下のとおりです。
●ローコード/ノーコード:mablはローコード/ノーコードでE2E(エンドツーエンド)テストやAPIテストを作成できるため、テスト自動化に関する専門知識がなくても利用が可能です。
●クラウドベース:mablはクラウドベースであり、スケーラビリティやアクセシビリティが高く、複数の環境やデバイスでのテスト実行が容易です。ローカル環境での実行も可能です。
●単一プラットフォーム:mablの各テスト機能やインサイト提供などを含む全てのサービスは単一のプラットフォーム上で提供されています。
●網羅的なテスト:mablは、先述したE2EテストやAPIテスト、リグレッションテスト、パフォーマンステストだけでなく、EmailやPDFを含む顧客体験に沿った多様なテストを網羅しています。
●AI機能:mablはAIを活用して、テストの作成やメンテナンスを効率化し、変更に対応した自己修復機能(Auto Healing)を提供しています。
●CI/CDツールとの統合: GitHubやJIRAなどに代表されるDevOpsを実現するための様々なツールとのインテグレーションを可能としています。
7. mablを活用したテスト自動化の方法
mablを活用したテスト自動化は、以下のような手順で行われます。詳しくは本連載でご紹介していきます。
●アカウント作成:mablのWebサイト上でアカウントを作成し、ワークスペースを作成、環境の設定、アプリケーションの指定をします。
●テストの作成:mablトレーナーを使用して、テストシナリオを作成します。画面上の操作を記録し、テストステップを自動生成することができます。
●テストの実行:テストシナリオを作成したら、mablダッシュボードやmablトレーナーからテストを実行します。テストは目的に合わせて、ローカル環境やクラウド環境で実行することができますし、クロスブラウザ(複数種類のブラウザ)やモバイルWebでのテストも可能です。
●結果の確認:テスト実行後、mablダッシュボードで結果を確認します。成功/失敗のステータスやエラーメッセージ、スクリーンショット、DOMのスナップショットなどが表示できます。
●テストのメンテナンス:テストが失敗した場合、原因を特定し、テストシナリオを修正またはアプリケーションを修正します。mablのAI機能は、テストのメンテナンスを支援し、レイアウト変更などに合わせた修正を自動的に行います。
8. mablとDevOpsの統合
mablは、既存のDevOps環境とシームレスに統合することができます。CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリ)ツールと連携すれば、新しいコードがリリースされるたびに自動的にテストを実行して、問題を早期に検出できます。これにより、品質の高いソフトウェアのリリースを円滑に行うことを可能にします。
9. まとめ
DevOps時代において、テストの自動化はソフトウェア開発における効率性、品質、速度の向上に欠かせません。mablを使用することで、ノーコード/ローコードを用いて簡単にテスト自動化を実現し、開発サイクル全体の効率化と品質向上を実現します。さらに、mablをDevOps環境に統合することで、リリースサイクルを短縮し、市場投入までの時間を削減できます。
mablでは2週間の無料トライアルを提供しています。とはいえ、2週間で何をすれば良いかわからない方もいらっしゃるかもしれないので、オンライン学習教材(mabl University)も用意しています。さらに、認定資格試験(mabl Skills Certification)もありますから、学習成果を認定資格取得というかたちで確認できます。
テスト自動化の啓蒙を目的とした本連載では、今後もmablを活用したテスト自動化に関する情報を提供していきます。皆さんのソフトウェア品質改善に役立てていただけると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
この連載の記事
-
第6回
TECH
DevOpsツールと連携してもっと便利に! 最適なテスト自動化環境を構築する -
第5回
TECH
アクセシビリティテストをどう自動化する? ~アサート活用で簡単に!~ -
第4回
TECH
mablで簡単に実現するローコードなAPIテスト自動化 -
第3回
TECH
mablで手軽に始めるローコードなE2Eテスト自動化 -
第2回
TECH
mabl 101 ~これから始めるローコードテスト自動化!~ - この連載の一覧へ