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ChatGPT連携でコード自動修正の未来も!? 松岡CEOが経営者視点で、エンジニア澤口氏が現場視点で語る

テスト自動化のmablって実際どう? ユーザー企業FIXERが語ったウェビナー

2023年05月09日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ローコードテスト自動化ツールのmabl(メイブル)は2023年4月26日、オンラインコミュニティイベント「FIXER松岡CEOに聞く! 実際mablどうですか? 無忖度Webinar!」を開催した。タイトルのとおり、mablのユーザー企業であるFIXERをゲストに招き、ユーザー視点から「テスト自動化」に取り組む価値や「mabl」の評価を“忖度なし”で語ってもらおう、というイベントだ。

 FIXERからはCEOの松岡清一氏、エンジニアの澤口拓也氏らが出席。松岡氏は、システム開発企業の成長戦略というビジネス視点で見たテスト自動化の必要性を、また澤口氏は、現場エンジニア視点からmablに対する評価や改善を求めたい点を率直に語った。

mabl Japan 月例ウェビナーの一企画として開催。(左上より右に)司会を務めたmabl クオリティアドボケイトの小田祥平(odasho)氏、FIXER DevRel担当の荒井隆徳(ゴリ)氏、エンジニアでの澤口拓也(“mablキング”)氏、CEOの松岡清一氏

FIXERではmablを全社導入している。mablを選んだ理由や現場での活用についても紹介した

松岡CEO:経営者視点で「テスト自動化」が必須の理由を語る

 FIXERではプロジェクト型のシステム開発/クラウド移行サービス、クラウドライセンスのリセール、マネージドサービス、SaaSビジネスを展開している。

FIXERの事業領域は大きく4つ。エンタープライズシステムのクラウドネイティブ開発/マイグレーションを得意とする

 FIXERは正社員数270名ほどの規模だが、前四半期(2022年8月期)の売上高は1年前と比較して2.65倍に成長している。同四半期の経常利益率は23%、従業員1人あたりの年間売上高を計算すると4235万円になるという。

 高い売上高とビジネス成長の理由について、松岡氏は「キーワードは『自動化』と『クラウドのスケール』にある」と説明する。旧来のSIerが展開してきた“人月ビジネス”ではなく、自動化のテクノロジーやクラウドのスケーラビリティを積極的に取り込んだ効率の良いシステム開発にこだわることで、“大きく稼げる”ビジネスを実現している。

 「事業に関しては『規模の拡大』と『質の向上』という2つの側面がある。事業規模を拡大するには、案件数を増やすか、1案件あたりの規模を大きくしなければならない。ただし、ここで同時に質の向上を図ろうとすると、エンジニアの数や時間、モチベーションといった有限のリソースがボトルネックになってくる。そこで必要になるのが、機械が人に代わって作業をしてくれる自動化だ。『質の向上のキーワードは自動化』だと考えて、これまで開発プロセスの自動化、インフラ構築の自動化などを進めてきたが、当然、テスト作業もできるかぎり自動化したい。そういうところからmablに行き着いた」(松岡氏)

事業規模を拡大しつつソフトウェア品質も向上させていくためには「自動化」が必須だと松岡氏は説明した

 大規模なシステム開発案件になると、必要なテストの規模も大きなものになる。実際、FIXERが最近手がけた案件では、顧客から「800種類ある帳票の出力テストを1万回やってほしい」という要望があったという。

 「テストに充てられる日数で割ると、誰かがテストケースを1日数千回叩くようなことになってしまう(苦笑)。経営目線でも、こうした作業はできるだけ人ではなく機械にやらせたいし、どう考えてもテストの自動化が必要だった」(松岡氏)

澤口氏:エンジニア視点で「mablを選んだ理由」「改善してほしい点」を語る

 ちなみにFIXERがテスト自動化ツールとしてmablを全社導入した理由について、松岡氏は「社内で澤口さんがいち早くmablを触り、食いついていたから」だと説明した。その澤口氏は、FIXER社内で“mablヒーロー”“mablキング”と呼ばれるほどmablに詳しく、社内でのmabl普及にも一役買っているという。

 そもそもなぜmablを選んだのか。澤口氏はその理由をひと言で「充実した機能」があるからだと語る。

 「たとえば、UI変更が少しあっても自動で対応してくれる『自己修復機能』、テストを定期的に自動で走らせてくれる『プラン機能』、システムがメール送信する確認コードを自動取得するステップをテストに組み込める『mabl Mailbox機能』などがあり、実際に社内でもよく使われている。またプライベートネットワークなど、セキュリティ的にアクセスを制限している環境内のテストでは『mabl Link機能』がすごく便利」(澤口氏)

澤口氏がmablを選んだ理由はシンプルだ

 一方で“無忖度ウェビナー”らしく、現状のmablについて「ここをもっと何とかしてほしい」と感じる点も紹介した。澤口氏は日本語対応の充実、タイムゾーンのJST設定、テストラベルの編集/削除機能の3点を挙げた。

 「mablサポートのチャット対応は非常に早いが、日本語でやり取りすると(mabl本社のサポート担当者によっては)認識のギャップが生まれてしまうことがある。また、mablのテストをクラウド実行するとタイムゾーンがUTCに設定されてしまい、エラーを吐くことがある。最後のテストラベルについては、大量のテストを仕分けるラベルを一括付与できる一方で、編集や削除は1つずつしかできない点を改善してもらえるとうれしい」(澤口氏)

 また将来的に期待することついては、「(モバイル)ネイティブアプリのテスト機能」「QRコードの読み取りテスト機能」という、モバイルアプリ開発にまつわる2つの機能追加を挙げた。

澤口氏がmablに改善してほしいこと、将来的に期待したい機能追加

ChatGPTがテストスクリプトや修正コードも自動生成する未来へ

 最後に松岡氏が、同日にエンタープライズ向けGPTプラットフォーム「GaiXer」を発表したこともふまえて、生成AI/ChatGPTを組み込んださらに高度なテスト自動化の可能性についてのビジョンを紹介した。

 松岡氏が披露したスライドには、mablによるテスト実行結果や不具合情報をChatGPTにフィードバックすることで、ChatGPTが新たなテストスクリプトや修正コードを自動生成する将来像が描かれている。

 「テストスクリプト自体をChatGPTから自動生成することができれば、mablそのもののセットアップもさらに自動化、効率化できるのではないか。さらにその先で、テスト結果や不具合情報をChatGPTが解析してコード修正のリクエストまで自動化してしまえば、これはもう(開発者やテスト担当者の)残業のない、真っ白なホワイト企業の完成ということになる」(松岡氏)

 松岡氏は、mabl自身がAIによる自動化機能を強化していくことに期待を寄せる一方で、こうしたユースケースを早期からユーザーとして提案/要望し、“日本発”の機能として共に実現していきたいと将来への期待を語った。

ChatGPTを組み合わせてテストスクリプトや修正コードの自動生成ができればさらなる自動化と効率化につながると、松岡氏は将来ビジョンを語った

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 なおmabl Japanの次回ウェビナーは「ローコードでできる! アクセシビリティテスト自動化入門!」をテーマに、5月24日(水)19時から開催予定だ。そのほかのイベント開催予定もあるとのことで、最新情報は下記のmabl JapanのConnpassページやmabl Webサイトでご確認いただきたい。

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