とある中小企業で起こった営業企画部と情シスのkrew活用ストーリー
krewでkintoneと販売管理システムを連携させたら営業革命が起こった
2023年04月03日 09時00分更新
ひたすらつけていたkintone日報でデータの重要さに気づく
その後、コロナ渦の3年で営業部でのkintone導入は予想以上にスムーズに進んだ。紙で提出していた日報をオンライン提出できるようになると、紙の書類のためにわざわざ出社する必要もなくなり、テレワークも容易になった。特にスマホで利用できる点は営業部全員に喜ばれた。マネージャーからも「家や移動時間に日報をチェックできる。部下にもタイムリーにアドバイスできるようになった」と好評だ。
そして、日報システムの導入で本格的なメリットがでてきたのは、実は導入後1年してからだ。ひたすら溜めるだけだった日報をとある営業マンがクライアント名で検索したところ、過去の対応履歴や担当者の嗜好などをまめに書いている担当がけっこうおり、宝の山であることを発見したのだ。日報を元に過去のアドバイスを実践した部下が、きちんと数字に結びついたことにマネージャーも気がついた。
最初、半信半疑でアプリの仕様策定や改良に関わってきた営業企画室の佐藤も、メンバーから感謝されることも増え、ようやくkintoneの価値や活用を考えるようになった。自らkintoneについて調べたり、情シスの鈴木に学ぶようにして、アプリを作るようになった。日報システムをカスタマイズした議事録アプリのほか、部内で必要な申請書の一部もkintone化したら、メンバーも利用率とフィードバックもずいぶん増えてきた。
しかし、長らくkintoneアプリにできなかったのが、佐藤のメイン業務である予実比較。つまり、テキストではなく、予算や実績、売上、利益などの数字をkintoneで扱ってこなかったのだ。
もともと予実比較に関しては、経理部から月に1回の頻度で実績データをもらい、佐藤がExcelで加工していた。Excelでコピペを繰り返して数字を算出したり、ブック間をまたいで数字を埋めるような作業を行ない、最終的には報告書として仕上げるので、手間がかかる。しかも、経理からのデータ提供は月初になるし、実績の確認が遅くなってしまう。長らく現場のメンバーからは予実比較をなるべくリアルタイムに見たいという要望が出ていた。そこで、すっかり仲良くなった情シスの鈴木と居酒屋で相談することにした。
佐藤:営業部としては、実績をいち早く見たい。経理とも何度も掛け合ったのだけど、これ以上は実績データの提出頻度を上げられないし、早くもならないと一点張り。詳細な数字でなくてもいいんだけどなあ。
鈴木:なるほど。だったら、うちの販売管理システムとkintoneを連携すれば、ほぼリアルタイムに予実を出せるんじゃないですか?
佐藤:そんなことできるの?
鈴木:もともと経理も販売管理システムからデータを取り出しているわけで、数字の出所は同じですよ。販売管理システムも、もともとわれわれが構築や運用やってるので勝手知ったるですし、昨年ようやくオープン系パッケージへのリプレースが完了したので、いろいろ融通効きます。
あとはkintone側で販売管理システムのデータ連携が可能かどうかなんですが、調べたところ、プラグインを使えばできそうなんですよね。
佐藤:そういえば、オレが以前kintoneを調べたときも、データ連携の仕組みはけっこう出てきたな。
鈴木:基幹システムからデータを直接持ってこられれば、予実はリアルタイムに管理できます。データを二重登録する必要もないし、経理の手をわずらわせることもありません。いったんkintoneに持ってきてしまえば、日報のようにデータ分析もできます。今度は数字も持ってこられるので、グラフを使ったり、ダッシュボードを使うこともできます。
佐藤:なんだか営業革命が起こりそうだな。ぜひ前向きに進めたいので、やり方を教えてくれ!
鈴木:では、今度グレープシティのセミナーに行ってみましょう。うちが導入を検討しているkrewシリーズのセミナーがありますので。
kintoneとkrewDataで予実管理に挑む
飲み会で意気投合した佐藤と鈴木はグレープシティのセミナーに参加。結果、krewDataならば、今までkintoneだけでは難しかった予実管理も可能になることがわかった。また、krewSheetを使えば、Excelのような操作で、予実管理を実現できるため、普段からExcelに慣れている佐藤にとっても使いやすくなることがわかった(関連記事:グレープシティが提案するkrewシリーズを使った「脱Excel」への道)。グレープシティの営業に話を聞いた佐藤と鈴木は、さっそくkrewSheetとkrewDataを導入し、販売管理システムとの連携と予実管理に取り組むことにした。
グレープシティのセミナーで得た知識だと、販売管理システムとの連携には、大きく外部ファイルの入出力とCData Connect Cloud(CData製)を用いた連携があるという。基幹システムのデータをいったんクラウドストレージに出力し、kintoneにデータを取り込む方法を選択。krewDataであれば、フロー図のような画面でデータの流れを設計してしまえば、あとは容易に編集できる。krewDataで鈴木が作った仕組みに佐藤が要望を出して改良を加える。とりあえずは予実比較の仕組みが完成した。
佐藤:とりあえず販売管理システムからkintoneにデータまでは持ってこられたので、あとはいつものようにExcelで加工するか。経理にお願いしないでデータを持ってこられるようになっただけで御の字だし。
鈴木:いやいや、せっかくデータを持ってきたんだから共有しないと、クラウドにした意味がないでしょう。
佐藤:そりゃごもっともだけど、予実管理にはフォーマットがあるし、ピボットテーブルでクロス集計しないといけないんだ。やっぱりExcelにいったん持ってこないと。
鈴木:それに関しては、今回導入したkrewSheetとkrewDataを使えばデータの加工処理までやってくれるから大丈夫。ここにやり方が書いてあるぞ。
佐藤:なるほど。年月や営業担当者ごとのグループ集計もできるのか。予算の達成率もkrewDataで算出できる。これだったらkrewDataだけで、予実比較のレポートが作れるかも。
krewSheetのXrossモードを使えば、ピボットテーブルのようなビューができるんだな(関連記事:krewSheetの新機能「Xrossモード」のすごさをkintoneのプロに聞いた)。表示したい項目と集計したい項目を選んでドラッグ&ドロップすればいいのか。これならExcel使いのオレでも大丈夫そう。
鈴木:しかもkrewDataの処理を夜間にスケジュール動作させておけば、マネージャーは昨日の数字を翌日の朝に見ることができるぞ(関連記事:kintoneアプリ間のデータ集計、新しいkrewDataならリアルタイム実行できる)。
佐藤:午前中に施策やてこ入れを指示できるわけだな。これはすごい!