画像生成AIフル活用デザイン「完全自動運転EV」コンセプトカー公開
完全自動運転車両の開発、販売に取り組むTuring(チューリング)株式会社は2023年3月15日、画像生成AI「Stable Diffusion」をフル活用してデザインした「完全自動運転EV」のコンセプトカーを公開。同画像生成AIをフル活用したカーデザインは世界初の事例となるという。
今回公開となったコンセプトカーは、チューリングが2030年に1万台の販売を目指す「完全自動運転EV」をイメージしたもの。カーデザインの過程で「Stable Diffusion」を活用し、静的なイメージにとどまらないデジタルモデリング、CGレンダリングを実施。フルカラー3Dプリントによるスケールモデルや、走行アニメーション、ARデータまでを製作した事例としては世界初となるという。
コンセプトカーのデザインは、チューリングとカーデザイン領域で経験豊富な株式会社日南が共同で製作。両社でデザインの方向性を協議したうえ、複数のキーワードを抽出。キーワードをプロンプト(AIへの指示テキスト)に起こし、「Stable Diffusion」で大量の画像を生成した。生成された画像を分類のうえ、プロンプトの調整と画像生成を複数回繰り返し、2次元のデザインイメージを確定。マニュアルでの微調整とデジタルモデリングやCGレンダリングなどのプロセスを経て3次元のデザインデータを作成した。
また、チューリングは初の自社工場となる「Turing Kashiwa Nova Factory」のネーミングに「ChatGPT」を活用。自社開発のAI自動運転機能を搭載した「THE FIRST TURING CAR」に搭載の自社エンブレムのデザインプロセスにおける「Stable Diffusion」の活用など、業務のあらゆるシーンでAIを活用し、「AIネイティブ」な事業推進を行っている。
チューリングは、完全⾃動運転EVの量産を⽬指すスタートアップ。世界で初めて名人を倒した将棋AI「Ponanza」の開発者である⼭本⼀成氏と、カーネギーメロン⼤学で自動運転を研究し、Ph.D.を取得した⻘⽊俊介氏によって2021年に共同創業。AI深層学習技術を活用した限定領域に留まらない「完全自動運転」の実現を目指している。チューリングは、シードラウンドで10億円の資金調達を実施済みだが、自社での車両生産体制構築を視野に、2023年中にシリーズAの資金調達を実施する予定だという。