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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第707回

Xeon W-3400/W-2400シリーズはワークステーション市場を奪い返せるか? インテル CPUロードマップ

2023年02月20日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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プラットフォームは新規のチップセット
メモリークロックもオーバークロック設定が可能

 プラットフォームであるが、これは先にも書いたようにLGA4677が採用される。ただXeon Scalable向けにはC741というチップセットが対応するが、Xeon-WではW790が利用される。W790はC741と似ている構成ではあるが、以下の相違点もあり、パッケージサイズも異なるあたり、C741の転用ではなく新規のチップと思われる。

  • CPUとの接続はDMI 4.0×8(C741はDMI 3.0×8)
  • オーバークロック動作をサポート
  • PCI Expressを28レーン出せる(C741は最大20レーン)。またC741はPCIe Gen3のみの対応だが、W790はPCIe Gen3/Gen4に対応する。
  • C741はUSB 3までの対応だがW790はUSB 3.2に対応。
  • SATAポートはC741の20ポートから8ポートに削減。
  • W790にはAX211(Wi-Fi 6E)対応のWi-Fiが搭載されるが、C741にはなし。
  • W790はなぜか4ポート分のディスプレー出力に対応。

 そのW790の構成は下の画像に示すとおりだ。

PCIe 4.0がx16とあるが、このはかにPCIe 3.0がx12用意され、合計28レーンである

いろいろな意味でCPU周りの配線が大変そうだな、と思う

 すでにASRockはこのW790を採用したマザーボードを発表しているため、今後他のメーカーもこれに追従するだろう。

 ついでにオーバークロック周りの話を最後に書いておきたい。モデルナンバーにXが付いたSKUがいくつかあることからもわかるように、15製品のうち8製品は倍率アンロックモデルである。

15製品のうち8製品は倍率アンロックモデル。このうちハイエンドのXeon w9-3495Xのみボックス販売がない(つまりOEM供給のみでリテールパッケージは用意されない)のはやや不思議である

 これに加え、メモリークロックに関してもオーバークロック設定が可能である。ただし、Xeon W-3400/W-2400ではアンバッファドDIMMは利用できず、レジスタードDIMMのみサポートされる。

 インテルによればレジスタードDIMMに対応したXMP 3.0のプロファイルがすでに存在するそうなので、いずれはオーバークロック対応のレジスタードDIMMが市場に投入されるかもしれないが、現時点では定格動作+α程度で満足するしかないだろう。

 もう1つは消費電力の話。記事冒頭で示した全SKUの画像にProcessor Base Powerとして、いわゆるTDP(PL1)の値は示されているが、もう少し細かく動作周波数とPL1/PL2の値をまとめたのが下表である。

動作周波数とPL1/PL2の値をまとめたもの
Processor
Number
Base(GHz) Turbo Boost
2.0(GHz)
Turbo Boost
Max 3.0(GHz)
Max Turbo
(GHz)
PL1 PL2
w3-2423 2.1 4 4.2 4.2 120 W 144 W
w3-2425 3 4 4.4 4.4 130 W 156 W
w3-2435 3.1 4.3 4.5 4.5 165 W 198 W
w5-2445 3.1 4.4 4.6 4.6 175 W 210 W
w5-2455X 3.2 4.4 4.6 4.6 200 W 240 W
w5-2465X 3.1 4.5 4.7 4.7 200 W 240 W
w7-2475X 2.6 4.6 4.8 4.8 225 W 270 W
w7-2495X 2.5 4.6 4.8 4.8 225 W 270 W
w5-3425 3.2 4.4 4.6 4.6 270 W 324 W
w5-3435X 3.1 4.5 4.7 4.7 270 W 324 W
w7-3445 2.6 4.6 4.8 4.8 270 W 324 W
w7-3455 2.5 4.6 4.8 4.8 270 W 324 W
w7-3465X 2.5 4.6 4.8 4.8 300 W 360 W
w9-3475X 2.2 4.6 4.8 4.8 300 W 360 W
w9-3495X 1.9 4.6 4.8 4.8 350 W 420 W

 ハイエンドのXeon w9-3495Xでは実にピークで420W、リテールで購入可能なXeon w-3475Xでも360Wである。これだけでも結構どうかしていると思わなくもないのだが、2月9日にWCCFTechが伝えたところによれば、Cinebench R23をオーバークロック動作させた際にはCPU単体で700W、システム全体では900Wオーバーの消費電力だったそうだ。

 この情報がもし正しかったとすれば、それだけの電力供給がW790マザーボードでは可能なように設計されていることになる。もちろんこれは空冷でどうにかできるわけもなく、水冷チラー(ジサトライッペイ氏が購入した初期不良の1KWチラーでも足りるかどうか……)が必要なレベルであろう。

 もうここまでくると、真っ当な製品枠ではなくロマン枠で考えるべきなのかもしれない。まさかワークステーション向け製品の中にロマン枠の製品を紛れ込ませてるとはさすがに想像の斜め上であった。ぜひジサトライッペイ氏には、このロマン枠製品をがんばって手懐けてほしいものである。

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