メルマガはこちらから

PAGE
TOP

化学産業の省エネからゲノム編集、藻類活用まで カーボンニュートラルスタートアップ5社

NEDOドリームピッチ in 関西「カーボンニュートラル ―カーボンクレジットを生み出す社会へ―」レポート

特集
JOIC:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会

1 2 3

 2022年12月9日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)と共同で、「NEDO ドリームピッチ in 関西」をグランフロント大阪のナレッジキャピタルで開催した。

 本イベントは、NEDOが支援している特徴ある研究開発を行うスタートアップ企業と、豊富な開発資源やビジネスネットワークを有する事業会社等のオープンイノベーションを推進する目的で開催されているNEDOピッチの一環として実施された。今回のテーマは「カーボンニュートラル ―カーボンクレジットを生み出す社会へ―」だ。本記事ではカーボンニュートラルの実現に向けて取り組むスタートアップ5社によるピッチの模様を紹介する。

 まず、ピッチに先立ち、近畿経済産業局資源エネルギー環境部新エネルギー推進室長を務める日村健二氏が「カーボンニュートラル、GXに向けた動きとスタートアップへの期待」というテーマで講演した。

近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 新エネルギー推進室長 日村 健二 氏

 日村氏は「カーボンニュートラル、GX(グリーントランスフォーメーション)を推進する社会に取り残されないためにどう対応するのかという受動的な考え方と、企業の成長や日本経済の発展にどのように生かしていくのかという挑戦的な考え方の、両軸で進めることが重要だ」と指摘した。

インフラ向けの蓄電池を開発する
株式会社アイ・エレクトロライト

株式会社アイ・エレクトロライト CTO 副田 和位 氏

 株式会社アイ・エレクトロライトは関西大学のイノベーション創生センターを拠点に、リチウムイオン電池に関する研究開発を行っている。研究室の研究分野である「電気化学」が社会貢献できる形は発電、蓄電、省エネの3つがあり、アイ・エレクトロライトは蓄電により持続可能な世界を実現することをミッションに掲げる。

 アイ・エレクトロライトが開発するのはインフラ向けの蓄電池だ。背景には、温室効果ガスの排出削減目標に向けた再生可能エネルギー導入の必要性と、自然災害が多い日本においてライフラインとしての電力を確保できる蓄電池の需要が伸びていく予測がある。蓄電池が設置可能な場所は、自治体の庁舎や学校などの公的機関だけでも、全国に約23万カ所あるという。

 技術開発の柱は大きく2つある。1つ目は「イオン液体電解質」、2つ目は「低環境負荷技術」だ。「イオン液体電解質」は電池の長寿命化や難燃性、不揮発性による安全性の確保、リサイクルが容易という持続可能性などの効果を発揮する。また、大量の有機素材を消費し、環境負荷の大きい製造プロセスにおいて、負荷の少ない水を用いる技術を確立することで、低環境負荷での生産も実現する。基礎研究と小型蓄電池の開発を終え、今後はインフラ用に蓄電池のサイズを大きくすることに取り組んでいく。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー