このページの本文へ

肉食ナベコの「なんでも食べてみる」 第813回

サントリーウイスキー100周年記念「白州」「山崎」のプレミアムなハイボール発売へ! 「次の100年」に向けて蒸溜所リニューアルも

2023年02月13日 16時10分更新

文● ナベコ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ウイスキーはお好きでしょうか? 今年、ウイスキー、そしてハイボール好きには見逃せない缶製品が登場します。

サントリープレミアムハイボールが6月に発売

 2023年、サントリー創業者・鳥井信治郎氏が山崎蒸溜所でウイスキーづくりをはじめて100周年を迎えます。これを記念した「サントリープレミアムハイボール〈白州〉」が6月6日より数量限定で販売予定。なんと、350mlで希望小売価格600円(税別)という、ハイボールのメジャーな缶製品よりぐっと値が張る1本。

「ハイボールに合う白州モルト原酒のみを厳選し、心地よいスモーキーな香りとフルーティな味わいが特長です。グラスに氷を入れておいしくお飲みいただけるようブレンドしました(リリースより)」とのこと。アルコール度数は9%です。

氷を入れたグラスに注いで飲むのがいいみたい

 100周年を記念した商品として、さらに「サントリープレミアムハイボール〈山崎〉」も秋頃に発売予定(詳細未発表)。価格も白州ハイボールと同じくらいを予定しているそう。

「山崎」のプレミアムハイボール缶も登場します

 ちょっと高級に感じますが、世界からも注目されているジャパニーズウイスキーの原酒を使用して、メーカー直々に仕立てたこだわりのハイボールです。考えようによってはお値打ち。サントリーのウイスキー100周年記念の特別のハイボール、今から発売が楽しみです!

サントリーウイスキー100周年

 サントリーグループの創立記念日である2月1日に行われた、2023年サントリーウイスキー事業方針発表会では、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉」のパッケージお披露目の他、これからの100年へ向けた取り組みとして、ウイスキー蒸溜所の設備投資する旨の発表がありました。2024年にかけて、山崎蒸溜所・白州蒸溜所ではさらなる品質向上や蒸溜所魅力訴求の強化を主な目的とし、なんと100億円規模の設備投資を実施するとのこと。

サントリー代表取締役社長 鳥井信宏氏

 サントリー代表取締役社長である鳥井信宏さんが、サントリーのウイスキー事業の歩みを振り返りました。

 サントリー創業者である鳥井信治郎氏は、日本に洋酒文化を広げようという想いで「赤玉ポートワイン」を1907年に発売。この売れ行きを受けてウイスキー事業へ拡大しようと、1923年に山崎蒸溜所の建設に着手。当初、蒸溜施設は設備に莫大な資金がかかることから反対もあったそうです。1929年には本格的なスコッチを参考にした「白札」を発売したものの、当時の日本人の味覚にあわずに売行き不振。それでも鳥井信治郎氏は諦めず、日本人の味覚にあう香味を研究してブレンドした「角瓶」を1937年に発売。

100年の間に、3人のマスターブレンダーと5人のチーフブレンダーが、ウイスキーづくりにおける「真善美」を生み出す精神を引き継ぎ、品質をつないできています。

 最初に発売したウイスキーが失敗したとはちょっと意外なエピソードですが、そのあと世に出た角は、ご存じのとおり日本で最もポピュラーと言ってもいい愛されるブランドとなっています。

山崎、白州の蒸溜所がリニューアル

 山崎、白州の各蒸溜所からの中継では、それぞれの工場長が蒸溜所の特徴と、改修について語りました。

・山崎蒸溜所

山崎蒸溜所 藤井敬久工場長

 山崎蒸溜所(大阪)は、かつて千利休が茶室をかまえたほど古くから知られている名水の里。

フロアモルティングという伝統的な製法

 蒸溜所の直近の取り組みとしては、かつて取り入れていた「フロアモルティング」という製法をあらためて導入。水に浸した大麦を床にひろげてくりかえし攪拌することで麦芽をつくるというスコッチウイスキーの伝統的な製法。人手が必要なことから、現在ではスコッチウイスキー蒸溜所でもこの製法を残しているところは少ないです。山崎蒸溜所では、再導入することで一層しっかりした味わいの原酒づくりを目指すということ。

パイロットディスティラリーを限定で見学可能にするなど、仕込み設備の甘い香り、蒸溜室の強烈な熱気 貯蔵庫のしずけさなど、蒸溜所をより五感で楽しめる施設に

 ちなみに、蒸溜所にはこのように新しい取り組みを試行錯誤する時に使用する小さなスケールの蒸溜設備、「パイロットディスティラリー」を構えています。100周年の節目のリニューアルでは、パイロットディスティラリーを改修し、一般のお客さんが見学できる機会を設けて品質向上の取り組みを紹介していくなど、山崎蒸溜所自体、今まで以上に“五感”で体験できる見学設備にしていく計画だそうです。

・白州蒸溜所

 白州蒸溜所(山梨)は、山崎蒸溜所と異なるタイプの原酒をつくることを目的として山崎に建設着手した50年後に竣工。初代チーフブレンダーである大西為雄氏が、日本中を歩き回り調査をくりかえしてたどりつた地で、花崗岩に磨かれた良質な水を特徴としています。

白州蒸溜所 有田哲也工場長

 蒸溜所のコンセプトは森林公園工場。公害が問題視されたなどの時代背景もあり、自然との調和をかかげた蒸溜所施設。一年を通して約50種の鳥たちを観察できるバードサンクチュアリにもなっています。

 そんな、白州蒸溜所では、フロアモルティングに加えて、ウイスキーの「酵母」を自社で培養する「酵母培養プロセス」を導入します。また、一般の見学者向けの施設として、森が見えるテイスティングカウンターを構えるなど、豊かな自然の魅力とつくり手の想いがより体験できる場に進化させる予定だそうです。

長いダウントレンドを乗り越えて

サントリー取締役常務執行役員 スピリッツカンパニー社長 森本昌紀氏

 取締役常務執行役員でありスピリッツカンパニー社長である森本昌紀さんは、ウイスキー市場推移について言及。戦後から高度成長期にかけて、ウイスキーは日本経済の成長とともに発展をしてきたところ、1983年から下降して25年に渡る長いダウントレンドを迎えました。流れが変わったのが2008年頃。ハイボールのブームと共にウイスキーが復調。ウイスキーの市場が落ち込んだ時も、品質向上、需要創造活動にチャレンジしてきた結果が表れたと森本氏は語ります。

 実際、サントリーでウイスキーのダウントレンドの時分でも蒸溜所の設備投資をしており、1981年に白州蒸溜所は木桶の新設備を導入。また、1988年に山崎蒸溜所は設備を大改修しています。10年以上のブランクを経て、山崎は蒸溜所大改修の14年後である2003年に世界的なコンペティションであるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で高評価され、白州は新設備導入した25年後の2006年に、同じくISCで高評価を得ています。

 ウイスキーは熟成期間があるため製造してから評価までに時間がかかりますが、ちょうど設備投資をしてからつくったものが14年、25年と熟成して世界的な基準においても高品質と評価されたということ。それにしても、成果があがるのに時間がかかること!

 100周年のこの節目に、蒸溜所設備のリニューアルのために「100億円規模の設備投資」。これから数十年後の未来のウイスキーがさらに豊かな味わいに醸さていることでしょう。

左から、チーフブレンダー福與伸二氏、代表取締役社長 鳥井信宏氏、取締役常務執行役員 スピリッツカンパニー社長 森本昌紀氏

 山崎蒸溜所、白州蒸溜所は、ともに、2023年の秋頃のリニューアルオープン予定。今は、一部のジャパニーズウイスキーの値段が上がり、飲む機会が減ったという人もいるかもしれません。蒸溜所に足を運べば適正価格でウイスキーをいただけることは間違いなし! 秋以降の行楽に蒸溜所見学はいかがでしょう!!


ナベコ

酒好きライター、編集者。酒活動しています。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に参戦するなど。ホットカーペットが気持ちよすぎて床で寝おちして朝陽で気が付く日々。せっかく年始におろしたパジャマを着ないと……。
♪アスキーグルメでおいしい情報配信中♪

カテゴリートップへ

この連載の記事
もぐもぐ動画配信中!
アスキーグルメ 最新連載・特集一覧