電話の応答をAIに任せて負担を減らせる「LINE AiCall」
企業において、電話窓口の重要性はとても高い。メールやチャットが広まっているものの、まだまだ全体で見れば顧客とのやりとりは電話が多いのだ。とはいえ、大企業でない限り、サポートセンターはコストの関係で設置するのが難しい。社内で担当者を用意しても、電話が集中してしまうと対応しきれない。
これは、飲食店でも同様だ。筆者が経営している「原価BAR」でも、各種グルメサイトや自社ホームページで予約を受け付けている。しかし、それでも予約の電話は鳴り続けている。電話に出てしまえば、すぐに予約を受けて終わるのだが、その度に作業を中断しなければならず、開店準備が進まない。営業中だとダイレクトに影響を受けて仕事が回らなくなる。
電話応答を自動化できれば、その分、人のオペレーションを減らすことができる。電話自動応答システムというと「IVR」が昔から使われている。たとえば、コールセンターにかけると、「○○の要件なら1、△△の要件なら2、を押してください」のように音声が流れ、番号を押していき、対応を案内したり、適切な部署に直接つないでくれる。
しかし、この仕組みで予約を受け付けようとすると、すべて番号のプッシュ入力で対応せざるを得ず、ハードルが高い。そのうち、顧客が面倒になり離脱してしまう可能性もある。
そこで今回試したのが、音声認識で電話対応できるAIサービス「LINE AiCall」だ。LINEのAI技術である音声認識と音声合成、会話制御を活用し、自然な形で会話ができるのだ。
フルスクラッチは無理なのでAIスタッフ“さゆり”さんを活用
LINE AiCallはBtoBのサービスで、システムはオーダーメイドで開発する必要がある。さすがにそれは無理なので、今回はエビソルが提供している「AIレセプション」サービスを利用させてもらった。AIレセプションはAIスタッフである“さゆり”さんが予約応対をしてくれるというものだ。
LINE AiCallで受けた予約はエビソルが提供する「ebica」に登録される。ebicaは飲食店向けのクラウド型予約管理システムで、複数のグルメサイトからの予約を自動で取り込めるのが特徴。空席情報をリアルタイムでグルメサイト側に反映するので、手間をかけずに最大席数を公開できる。
これまでは、複数のグルメサイトからの予約を管理し、集約するだけでもものすごく手間がかかっていた。ダブルブッキングを防ぐために、それぞれのサイトでは少な目のテーブルを公開するなどの対策を取っていたが、ebicaを使えば、効率的に予約を受けられる。
予約数などのデータはダッシュボードで可視化でき、経営方針を考えるのにもとても役立つ。iPadアプリが用意されているほか、ウェブでも操作でき、画面が見やすいので、ITに詳しくない飲食店スタッフでも迷わず操作できる。
まずはebicaの設定画面で、営業日や営業時間、テーブルのレイアウトなどを登録する。これらの情報を元にAIスタッフが応対を行なうのだ。
AIレセプションでは、現状の電話番号を継続して利用するほか、050から始まる予約専用ダイヤルを使うこともできる。今回は、テスト導入だったので予約専用ダイヤルを発行してもらい、ホームページやグルメサイトに掲載した。ちなみに、現状の番号を継続して使う場合は、契約している通信会社から、別途ボイスワープの転送料が発生する。
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