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モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第80回

レベルを上げて物理で殴るチーズバーガー:

ビーフ3枚+チーズ6枚=1890円、食事というよりレジャーです バーガーキング「トリプルビーフ・ゲレンデ」

2023年01月28日 17時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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「トリプルビーフ・ゲレンデ」
バーガーキング
1月27日発売
1890円
https://www.burgerking.co.jp/#/campaignDetail/1329

量もすごい! 価格もすごい!

 「レベルを上げて物理で殴る」という言い回しがありますけれども、これはネットに限らず、実生活でも結構有効です。下手に創意工夫をするぐらいなら力任せに押し切った方がいいとか、結局のところは物量が大事なんだよとか、てっぺき×3とわるだくみ×3のあとにアシストパワーでさいきょうゲッコウガも倒せるとか、そういうことは往々にしてあります。

 バーガーキングは1月27日より、「チーズバーガー・ゲレンデ」シリーズとして、「トリプルビーフ・ゲレンデ」「チキン&ビーフ・ゲレンデ」「ダブルチキン・ゲレンデ」の3商品を期間・数量限定で販売しています。

 トリプルビーフ・ゲレンデは、ビーフパティ3枚にオニオンとピクルス、まろやかな味わいのゴーダチーズスライスを6枚も重ね、パルメザンチーズとカマンベールチーズを合わせたホワイトチーズソースで仕上げた、ボリュームのある一品。価格は1890円。

 チキン&ビーフ・ゲレンデは、ビーフパティと、およそ185gの鶏むね一枚肉を使用したチーズバーガー。6枚重ねたゴーダチーズスライス、たっぷりのホワイトチーズソースとの相性が抜群で、ビーフとチキンが1度に楽しめます。価格は1570円。

 ダブルチキン・ゲレンデはチキンパティを2枚使用し、ゴーダチーズスライス6枚に、たっぷりのホワイトチーズソースを使用しています。価格は1570円。

 要するに、とても分厚いチーズバーガーのシリーズだと思えばよろしい。公式は「チーズバーガー界を見おろすデカさ!」とうたっています。

 3品とも、価格も相当なものですが、何しろ量が桁外れなので、「適正かな……適正かも……」と思えてくるのがおそろしいところです。

大量のビーフとチーズにかぶりつくという“体験”

包装紙の外からは普通に見えますが……

 今回“登頂”するのは、トリプルビーフ・ゲレンデです。筆者は雪国育ちなのでゲレンデを滑降するのはそれなりに得意ですが、ゲレンデを食べるというのは初めてです。……自分で書いていてまったく意味がわからなくなりましたが、さっそく食べてみましょう。

ドーンと出てきます。この時点で、チーズソースがかなり流れ出している

 見てください。肉が3枚あって、チーズも大量に挟まれています。そしてチーズソースがすごいです。これだけしか書かなかったら最低の食レポですが、しかし、これだけを書くだけでも伝わるデカさがあります。

スライスチーズ+ホワイトチーズソースが溶ける。きれいに食べるのはむずかしい

 問題は、ホワイトチーズソースが液状であること。チーズ自体も溶けるのに、ソースまでトロトロなものですから、容赦なくバーガーの外に溶け出します。手を汚さずに食べるのは至難の業といえますね。

 「包装紙で包んで食べれば、手が汚れないのでは?」というのは、甘い。チーズソースの脂分と、パティの肉汁が包装紙をあっさり侵食するので、すぐベタベタになります。あきらめて手づかみで食べ、あとで手を拭くスタイルのほうが効率的です。食べている最中は上品さを忘れましょう。

手に持つと、ずっしり重い。そして手がベタベタになる

 肝心の味ですが、直火焼き100%のビーフパティと、スライスチーズとチーズソース、そしてオニオン(+ピクルス)が構成要素なので、とてもシンプルです。肉の脂、チーズの舌触り、オニオンの「シャキッ」という食感だけで、愚直に攻めてきます。

 シンプルな構成で、飛び道具的な味付けは何もない。しかし、ビーフパティが3枚、チーズが6枚なので、とにかくボリュームはめちゃくちゃあります。要するに「ボリュームがすごいチーズバーガー」と考えて差し支えない。

 下手に具材をごちゃごちゃと入れず、必要最低限のパーツで攻めているわけですね。まさしく「レベルを上げて物理で殴る」みたいなチーズバーガーとなっています。

シンプルな構成だからこそ、チーズとオニオンのコントラストも活きる

 直火焼きビーフの味わいと、チーズのとろけるコク。ときどき、オニオンとピクルスの食感。食べた感想、それに尽きます。細かいことを語るスキがありません。どっしりした素材の要素と、それらの重なりでガシガシと攻めてくる。アンリ・マティスの絵画のような、大胆で量感のあるテイストです。余計わかりにくいかもしれませんが。

 手をベタベタにしながら肉とチーズに噛みついていくと、自分がはるか古代に暮らしていた人間のように思えてきました。カトラリーや食器がない時代、人間は、獣の肉を、家畜の乳を、そのまま自らの手で食していたはず。それを再現している感じというか。バーガーキングは、我々のDNAに脈々と受け継がれている、太古の記憶を呼び覚まそうとしているのかもしれません。……疲れてるのかな。

断面。とにかく肉とチーズしかないことがわかります。「これだけでいいんだよ、な?」と言わんばかり

 いつも食べているチーズバーガーがまとまって巨大化したというか、スライムが集まってキングスライムになったようなチーズバーガーです。1890円という価格が、高いのか安いのかもよくわかりません。ハンバーガーとして考えればかなり高額です。ただ、ビーフパティ3枚でスライスチーズ6枚だから、と言われると、まあそうなのか……? とも思えてきます。

 というよりも、これは大量のビーフとチーズにかぶりつくという、“体験”を味わうものなのかもしれません。食事というより、レジャー。我々はバーガーキングというゲレンデに登頂するのです。そして野性的な心を取り戻し、お腹も満たす。その価格が1890円だと考えれば……無理があるかも。

 とにかく、分厚いチーズバーガーをしゃかりきに頬張って、ムシャムシャ食べ尽くしたいという人にはオススメです。可能であれば、ウェットティッシュなどを持参した上で食したほうがよいでしょう。

モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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