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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第703回

音声にターゲットを絞ったSyntiant AIプロセッサーの昨今

2023年01月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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後継のNDP120と汎用向けのNDP200

 NDP100に続いてSyntiantは、より高性能なNDP120の開発に着手、2019年8月に設計が完了するとともに、そこからGoogle Networkへの対応をスタートしている。

NDP120の構造。パラメーター数も最大700万とかなり大規模なネットワーク対応ができるようになった模様

 NDP120は最大7ストリームの音声対応や、Cadenceが提供するHiFi 3 DSPの搭載(これは音声のフィルタリングや複数種類のオーディオコーデックへの対応などを可能にする)、さらに性能を強化したSyntiant Core 2を搭載している。

 このSyntiant 2コアはNDP100に搭載された初代のコア(Syntiant 1)に比べて25倍のスループットを実現しているほか、8bit精度への対応を含むより広範な用途向けを狙ったものとなっている。

NDP120の最大層数は256、それぞれ4096ニューロンなのでトータルで1Mニューロン分のマトリックスが構成されているのだろう

 このNDP120のサンプル出荷は2021年1月からスタートしており、サンプル価格は6ドル(1万個発注時の1個あたり価格)と少しお高めになっているが、より高機能な用途を実現できるため、ハイエンド機器向けを狙っているようだ。

 さてNDP100&120は音声向けをターゲットとしているが、このSyndiant 2コアをそのまま利用して汎用向けとしたのがNDP200で、こちらは2021年9月に発表された。

おそらくSyntiant 2エンジンの規模を大きくしたか、複数搭載しているのどちらかかと思われる

 Syntiant社は当初と異なり、最近は“Application for Intelligence of Everything”をキーワードに、映像処理やEVのバッテリー制御、センサーデータの処理などさまざまな用途向けを、このNDP200をベースに提案している。また今年のCESでは、NDP120の廉価版としてNDP115も発表している。

サンプル価格は3.25ドル(1万個発注時の1個あたり価格)。Cortex-M0+やHiFi 3 DSP用に搭載されているメモリー量を減らすなど、いくつかの違いが見られる

 最初から大きな市場を狙うのではなく、まずは小さい市場を確実につかみ、そこから次第に市場を広げていくという、AIスタートアップらしからぬ堅実なビジネスを行なっているのがSyntiantというわけだ。

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