「Adobe Media Encoder」は無制限でも90度台に
続けては、実使用に沿った負荷テストとして、「Adobe Premiere Pro」で作成した約13分間の8K動画を「Adobe Media Encoder」を使って4K、HEVC(H.265)、50Mbpsで、ソフトウェアエンコーディングで書き出しした際のCPU温度などを確認していこう。
無制限時は、CPU Package Powerが、「CINEBENCH R23」から30W程度ダウンするのもあり、CPU温度は最大94度、平均85.05度と余裕のある温度になっている。処理中にサーマルスロットリングのフラグは立つが、動作クロックは安定しており、問題なく作業は完了している。
278W設定時も順当にCPU温度がダウンしており、平均温度は81.56度を記録している。と言っても動作クロックは、ほぼ同じ5400MHz台で推移しており、書き出し時間は横並びになっていた。
季節柄(環境)、ラジエーターが冷えやすい状況ではあるが、「Eisbaer Pro Aurora 360 CPU」は、Core i9-13900Kの性能を十分引き出せており、CPU Package Power 300W前後での運用を可能にする冷却性能を備えていると言えるだろう。
ただ、問題もある。それがラジエーターファン「Rise Aurora 120mm」の動作音で、最大回転時は誰が聞いてもストレスを感じるだろう60dBAオーバーを記録していた。このままでの常用するのはやや厳しい。そこで高性能かつ静かな120mmファンに換装して試してみることにした。
人気の高性能ファン3モデルでテスト
気になるファン動作音を抑えるべく用意した高性能120mmファンは、ADATA「XPG VENTO PRO 120 PWM」、MSI「MEG SILENT GALE P12」、Noctua「NF-A12x25 PWM」の3つだ。
「CINEBENCH R23」実行時の冷却パフォーマンスをチェック
「Rise Aurora 120mm」からファンを交換して、その冷却性能をチェックしていこう。Power Limitは無制限の4096W、278W、253Wで「CINEBENCH R23」を実行した。
無制限時に、CPU温度が100度に達するのはどのファンでも同じだが、平均温度は風量、静圧ともに高スペックなADATA「XPG VENTO PRO 120 PWM」が、93.51度と悪くない結果を出している。278W、253Wでも傾向は同じで、最高・平均ともに「XPG VENTO PRO 120 PWM」が、良い結果を残している。
ただし、ファンの騒音値(排気側と吸気側)を確認すると3モデルは、MSI「MEG SILENT GALE P12」とNoctua「NF-A12x25 PWM」がほぼ同じで、ADATA「XPG VENTO PRO 120 PWM」が最大51.2dBAと高くなっている。とは言え、「Rise Aurora 120mm」と比べると圧倒的に静かだ。
「Eisbaer Pro Aurora 360 CPU」自体が安価とは言えないだけに、さらに「XPG VENTO PRO 120 PWM」3基パックの5900円前後プラスするのは痛いところだが、組み合わせることで動作音を抑えながら、CPU Package Power 300W前後で動作させたCore i9を冷やせるのは悪くない。
マイナス面もあるが魅力ある
「Eisbaer Pro Aurora 360 CPU」
Alphacoolの「Eisbaer Pro Aurora 360 CPU」は、3万5000円前後のコストに、デフォルトラジエーターファンの爆音によるファン交換コスト、そしていまひとつの入手性と、万人向けとは言えないが、なかなか魅力的な冷却パフォーマンスを発揮した。
ビデオカード用ウォーターブロックや、ラジエーターの追加など、アップグレードも可能なので、本格水冷に興味のあるひとは、導入の足がかりとしても良いだろう。
ポンプ&リザーバータンク一体型ウォーターブロック「Eisbaer Pro Aurora (Solo) - Digital RGB」と、PCケースに合わせたラジエーターを組み合わせて、本格水冷システムを構築するのもおもしろそうだ。
なお、Alphacoolはラジエーターを除くと、入手性がいまひとつと言える。そのため、筆者は海外ショップからの個人輸入も使っている。ハードルは高いが、Alphacoolの製品なら、同じドイツの通販サイトで、日本語サイトを用意する「Aquatuning」(https://www.aquatuning.jp/)がおすすめ。日本への送料は基本5320円(重量で変化)かかるが対応は良く、注文後1週間程度で手元に届く。
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