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グラムス、商品画像の一括作成で2次流通のデジタル化をリード

堺市発のイノベーションを創出するスタートアップ起業家連続インタビュー第6回

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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ビジネス志向のソリューションを生むグラムス

 商品の入荷からコマースサイトへの登録、在庫管理までオンラインコマース事業者の業務は多岐にわたるが、その中でもコマースサイトに掲載する商品データの作成が特に負荷の高い業務となる。そして商品データの中でもサイト訪問者の注意を惹くのは商品の画像データとなる。

「例えばオフラインのショップでもそこらに投げ散らかしてある服などは誰も買いたくならない。それと同じで撮影したままの写真は暗かったり鮮やかでなかったりして、そのままではお客様が買おうという気にならない。それをハンガーにかけてお客様がいいなと思うような状態にしなくてはいけない。それが画像処理。

 写真を撮るところからネットショップにアップできる商品データに仕上げるまでのプロセストータルで考えることが非常に大事になる。商品ごとに特定のカメラを使うとか別のソフトで処理してしまうと、効率化の幅が狭まるしコミュニケーションコストも発生する。トラブルも起こりやすい。我々はそれを実務でやっていたからわかっているので、(カメラに依らず)写真を撮ったらそれでOKとなる『ZenFotomatic』を開発した」(三浦氏)

「ZenFotomatic」は撮影した商品画像に対して、彩度から輝度、コントラスト、シャープネスなどの色彩補正、背景のカット、センタリング、リサイズなどをAIによって自動処理する。この処理は大量かつ一括、全自動で処理されるため(手動による設定変更も可能)、すぐにコマースサイトにアップして商品の販売を開始できるようになる。

 自動処理を行う分、「ZenFotomatic」の画像処理は学術的な厳密性や職人による最高品質を追求したようなものではない。その意味で、商品画像の撮影に著名カメラマンを雇うことのできる新品市場よりも、2次流通市場のようにコストをかけずに大量の商品を捌くビジネスモデルの方が相性が良い。

「我々は学術的に100点満点の精度を持つ画像処理のようなことを求めているわけではない。満点の画像を1日10個ではなくて、十分に見栄えのする80点の画像を素早く生成して1日に1000個の商品を店頭に並べられる、そういうビジネス用途のソリューションを開発した」(三浦氏)

 2次流通市場は今、急速な成長を遂げつつある。市場全体の規模は2兆円を超えており3兆円を超えるのも時間の問題とされている。グラムスの成長は「ZenFotomatic」がこの市場の特徴にマッチしたためと言えるだろう。

 グラムスは「ZenFotomatic」の提供だけでなく、ささげ業務全体の代行事業も行っている。商品情報のDB登録からバーコードの発行、コマースサイト用の商品画像撮影や同時掲載する文章の執筆など、多岐にわたるささげ業務をグラムスが代行する。特に急速に成長してきた2次流通事業者では人手不足から拡大するビジネスに対応しきれないことも少なくない。自らEC事業を行ってきた経験を持つグラムスは「ZenFotomatic」以外にもささげ業務全体のプロセスを支援する社内システムを構築しており、効率的な業務が可能になっている。

「新品なら同じバーコードを持つバッグであっても、セカンドハンドになると1個1個異なる商品として登録する必要がある。例えばそのためのバーコード発行のツールは自社で開発した。他にも商品写真の撮影時に自動で採寸を行うツールもある。それらをまとめたささげ業務支援のトータルパッケージを開発中で、『ZenFotomatic』はその中核として位置付けている」(三浦氏)

 大手の2次流通事業者は既に自社の業務システムを導入済みで、そのフローを大幅に変更することには抵抗がある。既存のフローにはその歴史もあれば理由もあるからだ。開発中のシステムは各ツールを適用する順番などは柔軟に組み替えられるようにしてあるとのことだ。グラムスが長年培ってきたEC業務の知見を具体化したシステムが日本のアナログ流通のデジタル化に寄与することを期待したい。

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