最新パーツ性能チェック 第398回

DLSS FGでレイトレ＋4Kも十分遊べる

DLSSで新世代のパワーを発揮！ GeForce RTX 4070 Tiレビュー【後編】

DLSS使用時のパフォーマンス上昇をチェック

　一通り検証が終わったところで、今度はDLSS SRやDLSS FGを併用した時のパフォーマンスも見ておきたい。ここでは解像度は4K一択とし、DLSS SRの設定はすべて“Performance”とした。FSR 1や2に対応したゲームでは参考としてRX 7900 XTXも追加しているが、こちらも“Performance”設定としている。どちらのGPUでもフルHDでレンダリングして4Kにアップスケールする処理という点では共通だ。

　まずは「Call of Duty: Modern Warfare II」で試す。画質は“極限”、アンチエイリアスは“ウルトラ品質”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。グラフ中で“通常”とあるのはDLSSやFSR 1/2を使わない状態を指す。

Call of Duty: Modern Warfare II：3840x2160ドット時のフレームレート

　DLSSを利用するとRTX 4070 Tiでも4K＆60fpsキープが余裕で可能になる。これはRTX 3080などでも同じだが、RTX 3080だと最低フレームレートが60fps台なのに対し、RTX 4070 Tiならば90fps弱まで伸びている。ここで一番フレームレートが出たのは、このゲームと極めて相性が良いRX 7900 XTだった。

　続いては「Forza Horizon 5」となる。画質“エクストリーム”、MSAAはx2に設定するが、DLSS SRやFSR 2を利用する場合はMSAAはオフになる。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Forza Horizon 5：3840x2160ドット時のフレームレート

　ゲームエンジンの特性からなのか、Forza Horizon 5ではDLSS SRやFSR 2を利用しても大してフレームレートが伸びない。

　「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」では画質は最高画質に設定。シナリオ“海賊王と最後の秘宝”のチャプター10開始直後から一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション：3840x2160ドット時のフレームレート

　前掲のForza Horizon 5とは対象的に、DLSS SRやFSR 2が非常によく効くゲームであることがわかる。RTX 4070 TiでDLSSを使わないとRTX 3090にフレームレートで負けてしまっていたが、DLSS SRを利用することでRTX 3090を大きく超えるフレームレートを出せるという点に注目したい。

　Cyberpunk 2077では画質“レイトレーシング：ウルトラ”を選択し、明示的にDLSS SRやFSR 2の“パフォーマンス”設定を追加した。DLSS FG有効時はDLSS SRも同時に有効化されている。

Cyberpunk 2077：3840x2160ドット時のフレームレート

　4K＋レイトレーシング：ウルトラ設定ではまともに動かすことも難しい状態だが、DLSS SRを利用することでRTX 4070 Tiで平均60fpsへ到達し、さらにDLSS FGを加えることで安定的に60fpsを大幅に上回るフレームレートを発揮している。RTX 3090〜RX 7900 XTでもDLSS SRやFSR 1のメリットはあるが、DLSS FG＋SRの組み合わせのパワーには負けてしまう。

　F1 22では画質“超高”に設定。このゲームではアンチエイリアス（TAA＋FidelityFX）とDLSS SRおよびFSR 1が排他となる。すでにDLSS FG対応のバージョンが配信済みだが、DLSS FG使用時のみHDRをオフにしている（F1 22の実装上の制限）。

F1 22：3840x2160ドット時のフレームレート

　F1 22でもDLSS SRやFSR 1の効果は高い。特にRX 7900 XTの場合FSR 1なしでは精細に欠いた部分があったが、FSR 1を併用するとRTX 4070 Ti＋DLSS SRよりもフレームレートが出る（DLSS SRとFSR 1ではFSR 1のほうが処理が単純であるため、軽いのは当然）。だが、RTX 4070 TiはそこからDLSS FGでもうひと伸びといった感がある。

　特に最低フレームレートが激しく伸びるため、スタッターを抑えるという意味ではDLSS FGは非常に効果的だ。ただ前述の通り、HDRとの排他設計をなんとかしていただきたいところだ……。

　Marvel's Spider-Man:Miles Moralesでは画質“非常に高い”＋レイトレーシング系設定を最大に設定。このゲームでもアップスケーラー系技術とアンチエイリアスが排他設定となっている。マップ内を移動する際のフレームレートを計測した。

Marvel's Spider-Man: Miles Morales：3840x2160ドット時のフレームレート

　RTX 4080のDLSS SRやDLSS FGの効果はまったく問題がないが、RTX 4070 Tiでは今ひとつ伸びきらない。特に最低フレームレートがDLSS FGを有効にしても伸びないという点が気になる。βドライバーの不備の可能性もあるが、RTX 4070 Tiの弱点であるメモリーバス幅の弱点が可視化された可能性も捨てきれない。

　「Microsoft Flight Simulator」はAPIをDirectX 12、画質は“ULTRA”に設定。ランディングチャレンジ“シドニー”で一定時間飛行した時のフレームレートを計測した。カメラは常時機外後方に固定している。ここでもアンチエイリアスとアップスケーラーは排他である。

Microsoft Flight Simulator：DirectX 12 API、3840x2160ドット時のフレームレート

　RTX 4080ほどではないものの、DLSS FGの威力は絶大。DLSS SRやFSR 2を使っても80fps付近の壁を突破できていないのは、このゲームは強烈なCPUバウンドであるためだが、DLSS FGでGPU側だけでフレームを生成すればこの壁を突破でき、さらに違和感のない映像になる。現状Microsoft Flight Simulatorをプレイする上ではRTX 40シリーズは至高のGPUといえるだろう。

　The Witcher 3: Wild Huntでは画質“RTウルトラ”をベースに設定。ノヴィグラド市中を移動する際のフレームレートを計測した。ここでもアンチエイリアスとDLSS SRは排他である。RX 7900 XTを除外しているのも前掲の通りだ。

The Witcher 3: Wild Hunt：3840x2160ドット時のフレームレート

　DLSS SRでようやくプレイアブルな60fpsが見えてきたが一歩及ばず。だがDLSS FGを追加することで、RTX 4070 Tiでも4K＋レイトレーシングでも平均60fpsに到達した。だがこのゲームの最適化の問題からか、最低フレームレートが非常に低く、フレームレートが波打つように変動する。RTX 4070 Tiで動かすなら、少し画質を絞る必要がある。

　Portal with RTXでは画質“Ultra”に設定。チャンバー14の最初から最後までをプレイする模様をデモ録画機能で収録し、それを再生した時のフレームレートを計測した。

Portal with RTX：3840x2160ドット時のフレームレート

　RTX 4080であればDLSS FGで60fpsキープが可能だが、RTX 4070 Tiだとカクつきが目立つ。レイトレーシング系の負荷をもう少し絞れば快適になるだろう。