最新パーツ性能チェック 第397回
ゲーム7本でワットパフォーマンスを徹底検証!
799ドルのRX 7900 XTキラー!? GeForce RTX 4070 Tiレビュー【前編】
2023年01月04日 23時00分更新
RTX 3090に逆転を許した? 「Rainbow Six Siege」
では実ゲームにおけるフレームレート検証をはじめよう。ここから先の検証では、ゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なく「FrameView」を用いて実フレームレートをチェックする。
グラフ中の「Min (1% Low)」とは、フレームレートの最低値から下位1%までの値の平均値となる。ややこしい表現だが、これが下になればなるほどカクついて見えやすい(スタッターが出やすい)という理解においては今までの下位1パーセンタイル値と変わらない。
「Rainbow Six Siege」では、APIにVulkanを選択、画質“最高”にレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
RTX 4080を基準にすると、RTX 4070 Tiの性能は4〜20%程度下となる。解像度が上がるほど開いていくのは、CUDAコア数に加えメモリーバス幅の差も効いていると考えてよい。
そして3DMarkではスコアーで上回っていたRTX 3090に対しては、ほぼ同等もしくはわずかに下という性能になっている点に注目。RTX 3080に対しては解像度を問わず完全勝利しているため、Ada Lovelace世代の192bit幅はAmpere世代の384bit幅程度の性能が期待できそうだ(ざっくりすぎる計算だが)。
ではこれらのフレームレートは、実際にどの程度の電力を消費して生成されたものなのかを検証してみよう。前回RTX 4080レビューではWindows上のAPIから取得できるGPU Powerを基準にしていたが、今回はRX 7900シリーズレビューと同様に「PCAT v2」を使用し、ビデオカードの消費電力(TBP:Total Board Power)だけを正確に計測する。
ベンチマーク中の実消費電力はフルHDではRTX 4080よりやや大きい程度だが、WQHD以上ではRTX 4080よりやや下。だがRTX 30シリーズの上位モデルと比較すると圧倒的に消費電力は小さい。RTX 4090や4080の検証ではRTX 30シリーズよりもワットパフォーマンスが高いことが判明しているが、RTX 4070 Tiにおいても同じ傾向がみられた。
そこで解像度別の平均フレームレートをTGPで割り10倍した値、即ちTGP 10Wあたりが稼ぎだしたフレームレートを比較してみよう。
高フレームレートが出るぶん10Wあたりのフレームレートは2ケタfps台になっているが、RTX 3090や3080に比べるとワットパフォーマンスは約30〜70%も向上している。
4Kで息切れが出てきた「Overwatch 2」
「Overwatch 2」では、画質“エピック”を選択しレンダースケール100%、フレームレート上限600fps、さらにFSR 1は無効とした。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
フルHDではRTX 3090に圧倒的な差を付けて勝っていたRTX 4070 Tiだが、WQHDでは辛勝、さらに4Kになると平均フレームレートで逆転されてしまった。Rainbow Six Siegeと同様にメモリーバス幅192bitという足枷が超高解像度領域で出てきた感がある。
そしてライバルであるRX 7900 XTには全解像度で敗退。フルHDでは惜敗レベルだが、解像度が上がるにつれ差が開く。こちらはRDNA 3のInfinity Cacheや広いメモリーバス幅が効いたと考えられる。
RTX 4070 TiのTBPは265W前後で、解像度が上がってもさほど増えない。RTX 4080では解像度が上がるほど消費電力も増えているので、RTX 4070 Tiの回路規模とOverwatch 2の負荷では、ほぼ全力で回っていることが示唆されている。だが4Kではメモリーバス等が足枷となってTBPも微妙に下がる、という感じに読み取れるデータとなった(下がり幅は誤差程度ではあるが……)。
TGP 10Wあたりのフレームレートを見ると、RTX 30シリーズからはRTX 4070 Tiのワットパフォーマンスは大幅向上といえるが、フレームレートで上回るRX 7900 XTがすぐ後ろまで迫っている。
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